株式会社Virtualize 代表取締役 小宮山 瑛鉄さん

Virtualize- スマホ1台でOK!好きなアバターで自由に歌う音楽メタバースの創る未来

2022年8月30日

-------------------------------------------
MIRAISEでは、課題解決に挑むエンジニア起業家の生の声をお届けするラジオ番組「MIRAISE RADIO」を配信しています。こちらのブログでは、「読む MIRAISE RADIO」として、起業家たちのストーリーをラジオの雰囲気そのままにお伝えしていきます。

● スピーカー|株式会社Virtualize 代表取締役 小宮山 瑛鉄 氏
● MC|MIRAISE プリンシパル & CTO 布田 隆介 / Head of Comm 蓑口 恵美
-------------------------------------------

自分以外の誰かになってみたい――。
人間であれば、少なくとも一度はこのような願いを持ったことがあると思います。現在注目を集めている「メタバース」は、それを実現する世界です。

今回は、スマホ1台で誰もが好きなアバターで、好きな曲を思い通りに演出できるプロダクトを開発する株式会社Virtualizeの小宮山瑛鉄(こみやま・えいてつ)さんにお越しいただきました。YouTubeから3Dの世界へ。音楽メタバースがもつ可能性をぜひ聞いてみてください。

スマホからバーチャルライブを配信できるアプリ「StarLi」

――Virtualizeが提供しているサービスについて教えていただけますか?

小宮山:スマホやPCからアバターを使ってライブ配信できる音楽メタバースアプリ「StarLi」を提供しています。

現在は、3Dアバターを持っている方が簡単にバーチャルの音楽ライブを開けるというサービスです。3DアバターのファイルをStarLiにアップロードし、その後YouTubeライブのような感覚で、簡単に音楽ライブを開くことができます。

布田:自分は歌うだけでよくて、その曲に合わせてAIが空間を創り、照明など演出もして盛り上げてくれるんですよね。それを見て、視聴者は投げ銭などでサポートするといったプラットフォームです。

ーーどんなユーザーが使っているのでしょうか?

小宮山:直近のターゲットは、いわゆるVチューバー、バーチャルタレントといった限られた層ですが、今後はユーザーの裾野をどんどん広げていきたいと思っています。アバターを使う人に限らなければ、歌や音楽などのライブ配信をしている方は非常に多くいます。そうした方々がアバターを使い、StarLiのバーチャル世界でリッチな演出をつけて音楽配信をするという流れを作っていきたいです。

ーー自分の歌や音楽を披露したい人は、現在はほとんどがYouTubeなどで二次元的に配信している状況ですよね。

布田:現状では、バーチャルライブを行う際はある程度広い空間を確保して、全身の動きをデジタル化するモーションキャプチャーを使うなど、かなり大掛かりな機材が必要です。それをリアルタイムで配信するとなれば相当にコストもかかるので、有名なVチューバーでも数ヶ月に1回くらいの頻度でしか開催できないと思います。

より手軽に配信したいとなると、現在では「ポケカラ」のようなカラオケアプリしか選択肢がありません。個人で楽しむ分にはいいのですが、ファンを作り、コミュニケーションを取りながら成長していきたいといった場合には不十分です。より手軽に、費用も抑えながらライブ配信に挑戦したい層に、StarLiはぴったりだと思います。スマホ1台で手軽に配信できますし、資金が豊富な人でなくても使うことができますから。

「バーチャル世界を創る!」高校時代に決意

――次に、StarLi開発の経緯についてお聞きします。

小宮山:高校時代には「バーチャル世界を創ろう」と決意していました。その後大学に入ってVRを研究し、会社に入ってからもずっとVRに関わってきました。ソーシャルVR「VRChat」などでは、すでにVRの機材を持っている方がすごい熱量でいろいろやっていたりするのですが、なかなか一般の方々へは広がっていかない。そこで、もっと幅広い層に利用してもらえるメタバースの世界を提供しようと、Vurtualizeを立ち上げたのです。

――現在最もホットともいえるトピックに、すでに高校時代から着目していたのですね。それはなぜですか?

小宮山:当時身体的なコンプレックスがあり、生まれ持った身体の不公平さを感じることが多くありました。また、私は田舎の出身で、比較的リアルのコミュニティの種類が少ない場所で生活していました。しかしインターネットに触れて、別の世界が大きく広がっているということに気づいたのです。アニメなどの影響もあるのですが、この2点が、私がメタバースに目を向けた大きな要因だったと思います。

布田:メタバースの中でも、音楽にフォーカスした理由は?

小宮山:ずっとVRに取り組みつつ、音楽と映像の研究も並行して行っており、ミュージックビデオの自動生成のような試みもしていました。こうしたスキルを活かせるのが音楽メタバースだと思い、StarLi開発に繋がっています。

――身体障害がある方がある音楽Vチューバーの世界大会で優勝したというニュースを見かけた記憶がありますが、リアルの世界での制限やコンプレックスなどに関係なく、拡張された世界で自由に自分を表現できることを求めている人は本当にたくさんいると思います。その中で、StarLiは現在どのようなユーザーに使われているのでしょうか?

小宮山:今は自分の3Dアバターを持っているという限られた方しか使えません。また定常的にユーザーがいるフェーズはもう少し先になります。現在は、資金調達に取り組んでおり、それを元手にアバターのメイキング機能を開発するつもりです。現在は3Dアバターを1体作るのに100万円ほどかかってしまいますが、スマホから自分のアバターを手軽に作れるようにすれば、より多くの方にStarLiを使っていただけるフェーズに進めると考えています。

布田:MIRAISEが出資してから開発を進めて、ようやく形になってきたところですね。現在はベータ版として、Vチューバーとして活動されている方々をお呼びして、期間限定のイベントとしてStarLiを使ってもらっている段階です。ライブを見た方の反応はいかがですか?

小宮山:幸いかなり好評で、「感動した」「きれいだった」など、ポジティブなコメントも多くいただいています。

――実際にライブを見ると、すごく賑やかに盛り上がっている様子が映像から伝わってきます。星が降ったり、スポットライトの色が変わったりなどは、ライバーの方自身が設定するのではなく、StarLi側で行っている演出なのですか?

小宮山:そうです。配信者の方が曲を選択すれば、自動的に3Dの演出が行われるという仕組みになっています。

布田:例えばサビに合わせて自動で星やシャボン玉が飛んだり、ライティングやカメラワークが変わったりなど、AIが曲を解析して自動で演出を行います。小宮山さん、そしてVirtualizeの持つこうした技術により、毎回クオリティの高いライブが見られるのです。

――WebサイトやTwitterでライブの告知がされているので、皆さんにもぜひチェックしていただければと思います。主に土日の夜に開催されているので、お休みの日に夕食を食べ終わってから、ゆっくりライブを楽しめますね。

『StarLi』公式ホームページリンク:https://www.starli.jp/
『StarLi』公式Twitter:https://twitter.com/StarLi_info

誰もが好きな姿・好きな場所で自由に自己表現できる世界へ

――最後に、今後の目標やビジョンについてお聞かせいただけますか?

小宮山:まず1つ目に、先ほどお話ししたアバターのメイキング機能を、他社に引けを取らないくらいクオリティの高いものにしていきたいと思っています。2つ目としては、ライブに欠かせない要素のひとつであるダンスをより簡単に作れるシステムを開発中です。TikTokのような感覚で、スマホのカメラで踊っている様子を撮影して、その動画をアバターのダンスに変換してアップロードする形を考えています。

布田:メタバースは空間を自在に作れるので、それこそ武道館などの有名なコンサート会場やライブハウスも作れますし、例えば大阪城の麓のように、一般の人がなかなか立てないようなステージをStarLi上に構築することもできます。それこそ宇宙だっていいんですよね。さらに、オリジナル曲も作るライバーがStarLi発で有名になり、現実のテレビ番組で歌うとか…そんな話を小宮山さんから伺っています。それを可能にする技術を小宮山さんのチームは持っていると思いますし、時代にもフィットするビジョンですよね。

――映画「竜とそばかすの姫」の世界が、StarLiの延長線上にありそうですね。現実のアイドルやアーティストは、ヒットするにはどうしてもルックスの良さが必要だとされていますが、それに関係なく、自分の好きな姿で好きな曲を多くの人に聴いてもらえるようになるのですね。

小宮山:そうですね。歌は好きだけど、さまざまな事情でそれを披露する機会がなかった方たちがStarLiと出会い、スマホ1台を通してどんどん自己表現していくという世界を広げていければと思っています。

布田:そのために今、資金調達と開発にどんどん取り組んで、ユーザーも増やしていこうと頑張っているんですよね。

――映画「竜とそばかすの姫」で描かれていたように、近い将来、多くの人が当たり前のようにバーチャル世界を楽しむ時が来るんだなと、聞いていて本当にワクワクしました!皆さんもぜひ、StarLiのライブ情報をチェックして訪れてみてくださいね。本日はありがとうございました。


『StarLi』
『StarLi』公式Twitter

Interviewee Profile:

Ryusuke Fuda

Principal & CTO