MIRAISE CEO 岩田 真一 / CTO 布田 隆介

MIRAISEの投資基準とは?

2021年1月21日

MIRAISEでは、課題解決に挑むエンジニア起業家の生の声をお届けするラジオ番組「MIRAISE RADIO」を配信しています。こちらのブログでは、「読む MIRAISE RADIO」として、起業家たちのストーリーをラジオの雰囲気そのままにお伝えしていきます。

● スピーカー|MIRAISE CEO 岩田 真一 / CTO 布田 隆介
● MC|MIRAISE PR 蓑口 恵美

「投資家は怖い」――。

そんなイメージを持たれている起業家の方は、少なくないのではないでしょうか。

今回は、MIRAISEパートナーの2人に「どんな起業家に投資しているのか?」について、じっくり話してもらいました。起業のステージや投資額、そして起業分野や起業家の資質など…ぜひ、投資家の生の声に耳を傾けてみてください。

ビジネスのスタートラインに立つエンジニア起業家を支援

――今日は、MIRAISEの投資基準、すなわちどのような企業・起業家に投資するのかという点について伺っていきたいと思っています。お二人は、実際にどのような起業家に会い、どのステージの起業家に投資しているのでしょうか?

岩田:基本的には、プレシードとシードステージの企業を投資対象としています。ですが、一部、例外もあります。企業側からリクエストを頂いたり、他の投資家からの技術的なサポートを加えたいという場合には、より進んだステージの企業に出資することもあります。

逆に、いわゆるプレシードや、さらにまだ起業を考えている段階にあるエンジニアに対しては、『On-Deck』という起業支援プログラムを提供しています。

布田:よく「ステージ」とは言いますが、実はステージの明確な基準はこのように存在しないので、起業家がシードと言えばシードですし、シリーズAと思っていればシリーズAであり…ですから、大まかに「ビジネスの初期段階にあるエンジニア起業家」と考えていただければいいかなと思います。

岩田:僕の中では売上が立っていない企業は全部シードですね。ところで『On−Deck』については、「MIRAISE RADIO #03」で詳しくお話ししておりますし、MIRAISEサイトにも詳しく載っておりますので、ご興味のある方はぜひアクセスしてみてください。

――次に、投資カテゴリーについて伺います。MIRAISEでは、どのような分野に投資を行っているのでしょうか?

岩田:ベンチャーキャピタル(VC)はそれぞれテーマを持っていることが多く、ハードウェアだけ、研究開発型ベンチャーだけ、バイオだけに投資をするファンドもあります。一方MIRAISEは、エンジニアが起業した会社であれば、カテゴリーは絞っていない感じですね。

ただ、Webテクノロジーが主であり、いわゆるディープテックと言われる半導体や、バイオやメディカルなどの研究開発型のものには投資をしません。Webテクノロジーに対する投資を深くしていこうというのが我々のスタートであり、モチベーションだったので、その点にはこだわっています。

布田:MIRAISEのサイトにこれまで投資をした会社がすべて載っているので、見ていただければわかると思いますが、本当にさまざまな会社があります。メディアもあれば、ブロックチェーンもあり、ツールを提供している会社もあり…という感じで。ただ、Web系はスケール(事業規模を拡大)するのが得意なので、その要素があれば、特に分野は限定していないですね。

岩田:そうですね。今使えるテクノロジーを網羅しているのがエンジニアだと思います。ですから、それを使って、もっと効率的に、もっと安価に、かつボトルネックのない、そしてエンジニアでない人には思いつけないようなテクノロジーソリューションを思いつけるか。そういうところを見ていますね。

――では、「どこの起業家か?」という地域についてはいかがでしょうか。起業家というと、基本的には大きな都市にいるイメージをお持ちの方も多いと思うのですが…。

岩田:住んでいる地域はまったく関係ありません。大分や福岡の会社にも投資しています。今はリモートでディスカッションできる環境が整っていますからね。

日本のITはかなり出遅れています。ソフトウェアとインターネットを見落としてしまって、グローバルの競争力が落ちているのです。MIRAISE創業以来、日本のITを支え、推進していきたいという思いを強く持っています。ですから、投資先は日本国内がほとんどですね。

――海外への投資も行っているのでしょうか?

岩田:日本人のエンジニア起業家が海外で起業しているケースもあり、そういう例にはかなり注目して投資をしています。そのエンジニアがアメリカで起業していればアメリカに投資することになるし、ヨーロッパならヨーロッパが投資先ということになりますが、起業家が日本人であれば、特に住んでいる国や地域は意識しません。

起業家にしっかりと向き合うサポート体制が強み

――では実際に、どれくらいの金額感、バリュエーション(価値評価)での投資が多いのでしょうか?

布田:だいたい500万円〜2,000万円くらいが多いでしょうか。その投資により、だいたい5〜8%くらいのシェアを取る形にしています。より大きな額を調達したいという場合は、一緒に他の投資家を探すこともしていますね。

岩田:その起業家の足りないところをサポートしてもらえそうだなと思った場合は、「こういう会社に投資しようと思っているんですけど、ご一緒にいかがですか?」と他の投資家にお声がけすることはありますね。投資家にもそれぞれ得意分野があるので。

布田:また、特にシードラウンドの場合は、起業家自身が自分の会社やプロダクトの価値がよくわからないということが多いですね。

――そうですね。今これを読まれている方の中にも、「500万円〜2,000万円って多いの?少ないの?」と疑問に思っていらっしゃる方もいるかもしれませんね。

布田:バリュエーションがわからなくても特に問題ありません。「わからない」と言っていただけるほうが、むしろディスカッションしやすい面もあります。現在持っている数字、例えばユーザー数などを出してもらえれば、こちらから「だいたいこれくらい」という話もできますので。

岩田:投資家は怖いと思っている人もいるかもしれませんけど(笑)、我々はかなりオネストにやっていると思っています。本当に適正だと考える投資額、バリュエーションを提示するようにしています。ただ一つの投資家の話だけしか聞かないのは、起業家にとってはリスクが高いですから、他の投資家もたくさん回るよう勧めています。

――そうして、MIRAISEチームの回答が本当に妥当なのかどうか、確かめてくださいということですね。

岩田:VCにはそれぞれ強みがありますが、我々は、起業家をきちんとサポートできるプラットフォームを持っているということにけっこう自信を持っています。長いお付き合いになるので、投資額やバリュエーションについてはもちろんのこと、今後どのように成長していきたいかといった話も、しっかりとディスカッションして、お互いに納得できることを大事にしています。

大切なのは「テクノロジーで社会課題を解決する」意志

――お二人とも起業の経験がおありなので、起業家視点から相談に乗っていただけるというのも心強い点ですね。最後に、投資対象となる起業家の資質や、どんなエンジニア起業家に投資していきたいかについて、聞かせていただけますか?

岩田:対象は、エンジニア起業家の中でもソフトウェアエンジニア、プログラマーに限定しています。社長自身がエンジニアの場合はもちろんですが、共同創業者の中にエンジニアがいてCTOをしており、CEOと同等程度の株を持っている会社であれば、投資対象になります。

日本では、CTOで共同創業メンバーとなっていても株を5%しか持っていないようなケースも散見されます。それではCTOの意見も通りにくいでしょうし、我々が期待しているエンジニア発想のソリューションにはなかなか発展していきません。ですから、エンジニアがシェアを十分持っているかどうかは大事ですね。

――エンジニアのレベルという点ではいかがですか?

岩田:エンジニアにしか投資しないというと、何だかすごいエンジニアじゃないとダメなのかなと思われるかもしれませんが、そんなことはまったくありません。これまでには、1年くらいしかエンジニア経験のない人に投資をしたこともあります。レベルや能力云々よりは、テクノロジーが好きで、精通しており、テクノロジーを活用して社会課題を解決しようという強い意志を持っているかどうかを重視しています。

布田:あとは、プロダクトのデザインや使いやすさなども、トータルで見ています。

岩田:起業家とのコミュニケーションも重要視しています。我々とのメールのやり取りが遅かったり、大事な情報が伝えられてなかったりなど、コミュニケーションがうまくいかないと、お客様、パートナー、ユーザーとのやりとりにおいてもそうなのではないかという懸念を持ってしまいます。我々に限らず、投資家はしっかりとそういうところを見ているので、その点は気をつけておいたほうがいいと思います。

頑固さは意思の強さという意味で起業家の資質のひとつではありますが、その一方で独りよがりになりすぎていたり、あまりにも描くビジョンが大きすぎたりすると、なかなか実際のソリューションにはならないケースもよくあります。VCとして起業家との相性も大事なので、最近は投資検討に至るまでのディスカッションが長くなっていることが多いですね。

――起業家には投資家を選ぶ権利もあるので、いろんな方の意見を聞きながら、納得できる相手を見つけてほしいですよね。

岩田:ぜひそうしてほしいと思いますね。

布田:MIRAISEの投資基準もアップデートされることがけっこうありますから。

岩田:今日喋ってることが変わるかもしれない(笑)。MIRAISEチームでは日々「このケースはこうしたほうがよかったよね」「次からはこうしよう」などといったディスカッションを本当に頻繁にしているので、投資手法やサポート体制はどんどん洗練されていくと思います。

――ぜひ、そういった内容は今後もお伝えしていきたいですね。MIRAISEの投資基準について伺ってきましたが、エンジニアであり、まだプロダクトがなかったとしても、ワクワクするアイデアさえ思いつけば、相談に乗っていただけるということがわかりました。最初の方でご紹介した起業支援プログラム『On-Deck』もありますで「実はかなりハードルが低いのかも?」と感じた方もいらっしゃると思います。少しでもMIRAISEに興味をお持ちいただけたら、ぜひMIRAISEのサイトも覗いてみていただきたいです。


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◆MIRAISE RADIO - #03. MIRAISE | On-Deckプログラムとは



Interviewee Profile:

Megumi Minoguchi

PR, MIRAISE