株式会社つなげーと 代表取締役 鈴木 一郎さん

つなげーと -世界中どこにいても、安心して人とつながれる社会を

2020年6月19日

MIRAISEでは、課題解決に挑むエンジニア起業家の生の声をお届けするラジオ番組「MIRAISE RADIO」の配信をスタートしました。こちらのブログでは、「読む MIRAISE RADIO」として、起業家たちのストーリーをラジオの雰囲気そのままにお伝えしていきます。

● スピーカー: 株式会社つなげーと 代表取締役 鈴木 一郎
● MC: MIRAISE Partner 岩田 真一 / PR 蓑口 恵美


ライフスタイルの多様化が加速する中、オンラインでもオフラインでも“安心して”人とつながれる世界を実現しようとしているのが株式会社つなげーとです。

日本で最も多くの社会人サークルを運営支援するプラットフォーム「つなげーと」を運営する代表取締役の鈴木一郎さんが、「つながり」を求める人の根源的な想いに寄り沿い、テクノロジーで安心安全な場づくりをどのように実現しようとしているのかを伺っていきます。

全国2万以上の社会人サークルが集うプラットフォーム「つなげーと」

――さっそくですが、つなげーとが提供しているサービスについてお話しいただけますか?

鈴木:社会人向けサークルのプラットフォーム「つなげーと」を運営しています。趣味やスポーツを楽しむサークルを検索したり、メンバーを募集したりするようなサービスですね。例えば「世田谷でバドミントンをしたい」というように、希望地域✕やりたいこと、趣味などでサークルを探し、メンバー申請をして仲間になり、楽しんでもらうコミュニケーションツールです。今はリアルで活動する2万以上のサークルに登録いただいていて、国内でも最大級のプラットフォームだと自負しています。

――もう2万も登録されているんですね!

鈴木:バドミントンやボルダリングの練習会など、日々さまざまなイベントを立てていただいています。ちょっと面白いものだと、鬼ごっこしよう!なんていうのもあって(笑)。

――鬼ごっこ…大人がですか?

鈴木:そうです。大の大人が、公園に集まって3、4時間鬼ごっこをすると。1ゲーム10分くらいなんですが、けっこうヘトヘトになるらしいんですよね(笑)。鬼につかまった人から自己紹介するなどの工夫があって、3時間くらいそうして走り回ったあとはもうわーっとみんなが仲良くなっているのだそうです。そんなサークルもありますね。

――そのように、いろんな所で大人たちの楽しいサークル活動が行われていて、新たな出会いがあり、つながりが生まれているのですね。

鈴木:そうですね。就職や転職などで知らない土地にやってきて、新しい友達を見つけたくて使ってくれるユーザーさんが多いのかなと思っています。

岩田:サークルのプラットフォームみたいなものは昔からあったと思うんですけど、「つなげーと」登録サークルにはどこもちゃんとしたリーダーがいる、というのが特徴的ですね。それが「つなげーと」がここまでうまくいっている理由のひとつだと思います。

例えば先ほどの鬼ごっこのサークルだと、ただ鬼ごっこするだけじゃなくて「つかまったら自己紹介してね」とか、仲良くなるための工夫がありますよね。みんなが楽しめるように上手に仕切ることができる人がサークルを立ち上げて、メンバーを募集して、安心して集まって楽しめる。そういう仕組みを作っているのが、うまくいっている要因としていちばん大きいのではないかと思います。こうしたコミュニティ作りに対する思い入れを、さらに聞かせていただけますか?

鈴木:岩田さんがおっしゃったように、「つなげーと」に登録してくれているサークルリーダーの方は本当にコミュニティに対する思いが強いですね。彼らは、自分たちの提供する場を通してみんなが仲良くなってほしいと心から思っている。サークル運営って実は本当に大変で、リーダーシップはもちろんのこと、マーケティング的素養も必要です。活動場所や集まるお店を決めたりなどの細々した作業や手配もいろいろありますし…それらを無償で、何年もやっていたりするんですよね。

――新しく入ってきた人とどう仲良くなっていくか、馴染んでもらうかということもありますよね。

鈴木:そうなんです。新しいメンバーに対して「あの人にまず声をかけてもらったら打ち解けるかな」、みたいなことをいろいろと考えて試行錯誤しているんですね。そうしてコミュニティ作りのために頑張っているサークルのために、何かお手伝いできるような機能、コミュニケーションのさらなる活性化につながる機能を日々開発しています。

岩田:「つなげーと」のサービスは、人は集中しているけれど関係性が薄い場所、それこそ東京のような都市部の人々に非常に刺さるんじゃないかと思っていました。新生活のために東京に出てきたけど知り合いはいない。友達が欲しいけど、趣味や気が合う人がどこにいるかわからない。安心して人と出会える場所が欲しい人は多いんじゃないかと思いますよ。

――私もかつてバスケサークルをやっていたんですけど、メンバー集めって本当に大変で…引っ越して、その活動には結局ピリオドを打ってしまいました。仲間が簡単に見つけられれば、今でも続けていたかも…と思います。このあと、「つなげーと」でバスケサークル探させていただきます(笑)

鈴木:いろいろとヒアリングをしても、サークル運営においていちばん大変なのはやはりメンバー集めだとおっしゃる方が多いですね。「つなげーと」は、この点においていちばん力になれているかな、と思っています。

――そうしてリーダーの負担がどんどん減って、リーダー自身が楽しんでいる状態になると、仲間が集まりやすくなるという好循環が生まれていくんでしょうね。

逆境の中で誕生した新サービス「ツナガリ」

岩田:このたびのコロナウイルスの影響による自粛ムードの中で、オフラインイベントは激減してしまいました。鈴木さんも経営者として、チームとともにこの難を乗り切る中で奮闘されていることと思います。これまでずっと、リアルのサークル活動支援に力を入れてこられましたが、このタイミングでオンライン上でのサービスをリリースされましたね。好調だと伺っていますが、詳しく聞かせていただけますか?

鈴木:この突然のコロナ禍で、「これはやばい!」とすごい危機感を覚えました。「つなげーと」はずっと、リアルの活動にこだわってきていました。それがこのコロナ禍の中でいちばん仇になってしまって…。そこで大きな決断をしました。「つなげーと」のユーザーが何を求めているかというと、やはり友達を作りたい、仲間が欲しいという根源的な欲求なんですね。それをオンラインでも叶えられるようにしようと、「ツナガリ」というサービスを立ち上げたのです。

「ツナガリ」は、Zoomを使って友達をマッチングするというサービスです。異性・同性、どちらにも対応しています。コーディネーターと呼ばれる仲介人、仲人みたいな人が間に入るのが大きな特徴で、Zoomで3人で会話して、友達作りをしてもらうというものです。

岩田:事前にお互いがプロフィールなどを把握していたとしても、いきなり初対面で話を続けるのはなかなか難しいですよね。コーディネーターが入ることで、「○○さんはこういうことがお好きなそうですよ」とか間を取り持ってもらえて、楽しい会話が続けられるということですね。

鈴木:そうですね。やっぱり初対面の人同士がビデオチャットで話をするってけっこう緊張するものだと思います。そこでコーディネーターが、ちょっと話が盛り上がらないときにうまく話を振ってくれたりとか、またその場にいてくれるというだけでもユーザーさんにとっては安心感があるんじゃないかなと。

岩田:そうした「ツナガリ」の安心感は、「つなげーと」を踏襲している感じですね。

鈴木:そうですね。コーディネーターのような人を介入させるのは、ITビジネス的には非効率かもしれません。しかし、人が介在することによる温かみや安心感は、人がいない場合と比べると全然違うんじゃないかなと。まだ始めて1ヶ月半くらいなのですが、すでに40回くらい使ってくださっているリピーターの方もいて、非常にありがたく思っています。

――1ヶ月半で40回!それはすごいですね。

岩田:ユーザーの満足度が非常に高いんですよね。これからも友達として仲良くしていきましょうと、連絡先の交換までに至る率も高いと聞いています。

――具体的には、どのようなテーマでユーザーさんが繋がっていくのでしょうか?

鈴木:やはり趣味嗜好ですね。例えば、映画好き同士で話そうとか、スポーツ好きで集まろうとか。あとは、女子会ができるような女友達が欲しいというニーズも多いですね。

サークルリーダー経験が「起業の種」に。これからも、人と人とを繋げていく

――鈴木さんが「安心して人と繋がれる」いうテーマで起業したいと思われたきっかけについて、お話しいただけますか?

鈴木:今から8年くらい前、東日本大震災のあとにコミュニティみたいなものを作りたいなと思って、ブログに毛が生えたくらいのサービスをリリースしたのが「つなげーと」の始まりです。当時、僕は吹奏楽団の団長をしていて、その楽団のコミュニケーションツールが欲しいと思ったのがきっかけでした。週1回集まって練習していたのですが、それぞれの思いを知る機会なんかは意外となくて…。そこで、Web上でチャットなどを使って意見交換できるような場を作ってみたところ、非常に盛り上がりまして。それを体験して、他のコミュニティにもこうしたニーズがあるんじゃないか、困っている人がいるんじゃないかと思い、オープン化していったのです。

――「自由に話せる」というだけだと、炎上したりなど、良くない方向に行ってしまうことも考えられますよね。

鈴木:そのとおりです。ですから、プラットフォーム運営においては「安心・安全」をとても重視していて、例えば報告の機能をつけるなど、かなり気を配っています。

岩田:ご自身が経験したサークルリーダーとしての目線、培ったノウハウをサービスにうまく盛り込んでいますよね。鈴木さんのように、ミッション、ビジョンが強い起業家は本当に成功確率が高いと思っています。

ちょうどMIRAISEが出資させていただいた直後くらいに、今回のコロナ禍が起きて…。そんな状況下でも、自分たちのアセットを見直し、バリューを問い直して工夫していくのはとても大事なことですよね。鈴木さんも、売上やユーザーが急減するという逆境の中で、受託案件を増やしたり、急遽オンラインサービスを立ち上げたりなど、経営者として素早い対応を見せました。「ツナガリ」は1ヶ月くらいでリリースしたサービスですよね。

それが、エンジニア起業家の強みだと思うのです。経営者自身がものを作れるというということですね。難しい状況を逆手に取り、この時期でなければできなかったようなサービスを生み出して、危機を乗り越えた。1段階ステップアップしたな、と感じています。

鈴木:今回のコロナ禍は本当に災難でしたが、「つなげーと」をどうしていこうか、ということを俯瞰して見られる機会となったのは、不幸中の幸いでした。結果的にオンラインのサービスに活路を見いだせたことで、ビジネスとして何とかやっていけるという手応えを得られたと思っています。

――最後に、つなげーとが今後目指していきたいこと、考えている未来についてお聞かせいただけますか?

鈴木:我々はこれまで、人と人とを繋げることにこだわりを持ってやってきました。出会いの場をさらに安心・安全なものにする、繋がりの場をもっと作っていく…そうしたことを、テクノロジーの力でこれからも追求していきたいと思っています。

株式会社つなげーと
◆社会人サークルプラットフォーム「つなげーと
◆お見合い友達づくりサービス「ツナガリ
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Interviewee Profile:

Shin Iwata

Partner & CEO, MIRAISE