MIRAISE CEO 岩田 真一 / CTO 布田 隆介

MIRAISE創業ストーリー「エンジニアに起業という選択肢を」

2020年5月4日

MIRAISEでは、課題解決に挑むエンジニア起業家の生の声をお届けするラジオ番組「MIRAISE RADIO」の配信をスタートしました。こちらのブログでは、「読む MIRAISE RADIO」として、起業家たちのストーリーをラジオの雰囲気そのままにお伝えしていきます。

● スピーカー: MIRAISE CEO 岩田 真一 / CTO 布田 隆介
● MC: MIRAISE PR 蓑口恵美


MIRAISEは、課題解決に挑むエンジニア起業家を支援するため2018年に創業したベンチャーキャピタルです。

MIRAISEの大きな特徴は、エンジニア起業家のみを投資対象としていること。MIRAISEパートナーである岩田は「エンジニアはとても起業に向いている」と話します。エンジニア起業家を支援する理由や創業のきっかけを、岩田と共同創業者である布田が熱く語ります。

日本にエンジニア起業家を増やしたい

――まずはじめに、MIRAISEについて簡単に紹介していただけますか?

岩田:MIRAISEは、2年ほどの準備期間を経て2018年12月にスタートしました。主にシード期を対象としたベンチャーキャピタル(VC)で、シードラウンドで資金調達が必要な会社に対して出資するほか、ビジネスのサポートも行っています。一番の特徴は、エンジニア(プログラマー)自身がファウンダーであるか、もしくは優秀なプログラマーが参画しているチームに限定して投資するファンドだということです。現在は26社に出資しています。(2020年10月時点)

――MIRAISE設立のきっかけは?

岩田:AtomicoというヨーロッパのVCでパートナー(※)だった頃から日本のスタートアップ・エコシステムや起業家を支援したい、日本に起業家を増やしたいという思いがありました(※)。しかし、Atomicoの投資単位は大きすぎて日本のシード期のスタートアップが必要としている金額と合わなかったんですね。それで、シード期のスタートアップに対し、日本のファイナンスの状況に合った投資をできるようなファンドを作りたいと思ったのが最初のきっかけです。

※ 現在はAtomicoのベンチャーパートナー

――共同創業者である布田さんとはどのように出会ったのでしょうか?

岩田:当時ベンチャーキャピタリストをしながら「未来スケープ」というプロジェクトを立ち上げました。自分の頭で考え、何かをつくることで、社会のために貢献する。そうした起業家精神、マインドセットを日本人はもっと持った方がいいんじゃないかという思いから始めたものです。その「未来スケープ」のサイトを作る際、知人から紹介してもらったのが布田さんでした。

布田:最初にお会いしたのは、何だかマニアックな場所にある渋い喫茶店でしたね(笑)。岩田さんの作りたいサイトを伺って、こういう技術を使うといいんじゃないかと提案するような、いわゆる普通のエンジニアとして接していました。ただ、僕も起業してTRUNKという教育系の会社をやっていたので、自分の事業の話もいろいろ聞いていただいて。

――「未来スケープ」は、社会人1000人にインタビューしてそれぞれの人生の地図を見せていく、というプロジェクトですね。

岩田:そうです。MIRAISEをやりながら「未来スケープ」もライフワークとして続けています。

「未来をつくる人材を育てたい」共通の思い

――布田さんは教育関連の事業で起業していますし、教育への熱い思いがありますよね。

布田:そうですね。TRUNKがやっていたのは、大学生に向けた実践的な教育です。プログラミングやデザイン、マーケティングなどを無料で学べて、職業体験するところまでをサポートするというものです。岩田さんの、さまざまな人生を見せる「未来スケープ」とはアプローチは異なりますが、根っこの思いは同じだと感じますね。

――教育やキャリアへの思いが共通するというお二人ですが、布田さんはなぜMIRAISEに参画することになったのでしょうか?

布田:最初に喫茶店で出会ったあとも、僕がちょくちょく起業家としての相談をしたり、岩田さんからは「こんな面白いものがある」と連絡が来たりと、チャット友達のようなやりとりをしていました(笑)。2年くらい経って、岩田さんが日本向けにファンドを作ろうと思っているという話をしてくれたんです。それで、ぜひお手伝いしたいと。

僕は以前から投資に興味はあって、TRUNKが大学生向けに起業プログラムを提供したり、将来的にVCのように学生に投資したりできそうですよね、という話を、半分夢物語、半分本気で岩田さんにしていたこともありました。

岩田:当時、未来スケープの活動は東大の先端科学技術センターで研究員として行っていました。確かその話をしたのは駒場だったと思います。自分の考えを全部伝えたら、すごく興味を持ってくれた。

布田:当時は、僕は投資家から出資されるのがあまり好きじゃなくて、TRUNK社は3〜4年くらい自己資金だけでやっていました。そのサバイバル時期のノウハウがあるので、出資を受けた会社に対しても助けになれそうだなと。そして僕自身がエンジニア起業家でもあるから、同じ立場の人たちをターゲットにしたVCなら、協力できることは他にもいろいろありそうだと思ったのです。

岩田:僕自身エンジニアからビジネスパーソンになっていく過程はけっこう大変だったんですね。事業が成長して資金的に余裕が出来ればプロのビジネスパーソンに入ってもらうことができるけど、そこまでは自分で頑張らないといけません。ただ、教えてもらえればできる。そういうことが実体験としてありました。

TRUNKが教えている内容がとても実践的だったので、そのコンテンツを使って一緒にできたらいいなという思いがありました。ビジネスやファイナンスの基礎を指導し、支援していくうえで、TRUNKがすでに持っているコンテンツを組み合わせたらとてもいいんじゃないかと考えたのです。

――未来をつくる人材を育てていくために、岩田さんのバックグランドであるVCと、布田さんの手がけていた教育とが重なって、一緒にスタートしようということになったのですね。そして共通項目としては二人ともエンジニア。

岩田:そうですね。それぞれ持っているアセットを活かしていけるといいなと思っていました。布田さんは新しい技術に詳しく、若いエンジニアへのリーチもあります。TRUNKはもともとコミュニティにも力を入れていたので、そのコミュニティマネジメントのノウハウが今のMIRAISEの起業家コミュニティに活きていたりする。

じゃあ僕が何を持っているのかというと…外資系での経験、海外の企業・起業家ネットワーク、アメリカ、ヨーロッパ、東南アジアの投資家とのつながりなど、グローバルなところでしょうか。そして、起業経験があるというのが僕と布田さんとの共通のアセットですね。僕の仲間集めは、熱心に口説き落とすというより、一緒にやってほしい人に話をして、それぞれのやりたいことと一致したら手伝ってほしいな、というスタンスです。布田さんに対しても、蓑口さんに対してもそう思っていました。

――一緒に目指せる未来があるかどうか、ということですね。

岩田:そうですね。やってみて本当に楽しくて、やりがいがあると思ってもらえたらいいなと。そうなれば、もっと深く関わっていくと思いますし。MIRAISEはそういう感じでスタートしました。布田さんも自分のTRUNKというスタートアップがあり、蓑口さんも週4日は別の会社で働いていましたしね。

僕自身もそうだったのですが、どこかに所属するとなかなかすぐにやめられない感覚ってありますよね。そういうのは嫌なので、ちょっとドライに聞こえるかもしれませんが、いつでもやめられるような空気にしておきたい。言いたいことを言い合える、フラットな関係で。もちろん、本心ではやめてほしくないですけどね(笑)。MIRAISEのように少数精鋭でやっていくビジネスにとっては、こういう環境が大事なんじゃないかと思っています。

フリーランスになったら、次は起業を目指してみよう

――MIRAISEは、起業するエンジニア、テクノロジーで社会を変えていこうとする人を応援し、彼らが活躍しやすい環境を考え、創り、提供しているチームです。そのMIRAISEの今後の展望について、岩田さん、布田さんそれぞれお聞かせいただけますか?

布田:僕はソフトウェアが好きなので、ソフトウェアのツール系の会社なんかはいつも探していますね。コードを書く際、今はほぼ海外製のツールしか使っていない。GitHubもそうですし、エディターから何から海外で作られたものです。でも、そこにすごい技術があるわけではなくて、普通にエンジニアが自分が欲しいもの、使いやすいものを作ったんだろうなという感じなんですね。

日本だと、なかなか最初の投資が受けられない。自分のアイデアを形にすることは、お金にならないからと本業の合間にこつこつ手がける「週末プロジェクト」になってしまっているという場合が多いと思います。海外の事例を見ると、実はそこでちゃんと起業すればマネタイズできるんですね。ですから、そうしたツール系のソフトウェアを開発したい!と思っている人は、最初は軽いディスカッションからでもいいので、ぜひ会えるといいなと思っていますね。

――岩田さんはいかがですか?

岩田:まず「エンジニアはすごく起業に向いている」ことを認識してほしいと思います。ものを作れる人は本当に強いのです。昔から、ホンダの本田宗一郎さん、ソニーの井深大さんなど、日本を支えてきた世界的大企業はエンジニアが起業してるケースが多いんです。僕らが20、30代の頃は本当に日本製品が強かったのですが、ソフトウェアの時代になると、Apple、Google、Facebook、Zoomなど…周りを見回すとみんなアメリカを中心とした海外のものになってしまいました。

しかし日本におけるユニコーン企業を眺めてみると、その多くはエンジニアが起業しているんです。僕がAtomico時代に投資を手がけたスマートニュースなどもそうですが、ユニコーンレベルに育てていけるようなソリューションやプロダクトを思いついて生み出せるのは、エンジニア起業家だと思っています。

ですから、エンジニアの方は起業を特別なことと思わずに、選択肢に入れておいてほしい。フリーランスになったなら、その先として起業を視野に入れてほしいのです。MIRAISEでは起業のファーストステップをサポートするアクセラレーター的なプログラム「On-Deck」も用意しておりますので、是非!

――ビジネススキルがまだまだ足りなくても、「On-Deck」を活用してもらうなど、ファイナンスや営業のスキルをつけていくこともMIRAISEはサポートしています。プログラマー、エンジニアで、未来をつくりたい、社会に変化を生み出したいという思いを持つ方がいらっしゃれば、MIRAISEのWebサイトの Apply Now からコンタクトしていただければと思います!

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Interviewee Profile:

Megumi Minoguchi

PR, MIRAISE