<p></p><div class="iframe-container width-set height-set dimensions-set" data-width="100%" data-height="232px" data-src="https://open.spotify.com/embed-podcast/episode/6kYDTUrvNvywjgL4F4Lviv"><iframe class="" style="" data-embed-type="generic" data-original-link="&amp;#60;iframe src=&quot;https://open.spotify.com/embed-podcast/episode/6kYDTUrvNvywjgL4F4Lviv&quot; width=&quot;100%&quot; height=&quot;232&quot; frameborder=&quot;0&quot; allowtransparency=&quot;true&quot; allow=&quot;encrypted-media&quot;&amp;#62;&amp;#60;/iframe&amp;#62;" src="https://open.spotify.com/embed-podcast/episode/6kYDTUrvNvywjgL4F4Lviv" width="100%" height="232px" frameborder="0" allowfullscreen="true"></iframe></div><p>私たちの安心を支えてくれている「保険」。</p><p>しかし、「自分や家族の保険、もし何かあったら請求はちゃんとできますか?」…そんな問いを投げかけられた時、自信を持って「できる」と言える方はどれぐらいいるでしょうか?</p><p>保険の請求にはさまざまな手続きが必要で、実は決して簡単なことではないのです。</p><p>今回は「保険の請求もれをなくす」というミッションを掲げる株式会社IB代表取締役CEOの井藤健太さんに、レガシー業界の変革に挑むお話を伺いました。</p><p></p><h2><strong>入っている保険をカンタンに管理できるアプリ「保険簿」</strong></h2><div class="img-container"><img src="https://cdn.qurate.cloud/2021/02/22/12/48/34/5c1758e8-d46a-4564-b2bb-3bbd80b27b86/radio16_01.png" link_href="" link_target=""></div><p>――最初に、株式会社IBと提供している「保険簿」というサービスについて教えていただけますか?</p><p><strong>井藤:</strong>私たちIBは「保険の請求もれをなくす」というミッションを掲げて事業を展開している会社です。ここで蓑口さんに質問なのですが…もし離れて暮らしているご家族が災害に遭い、自宅が流されたうえに意識不明の重体となってしまい、家族に代わって保険の請求ができるのが自分しかいない!となった時に、ちゃんと請求できる自信はあるでしょうか?</p><p>――自分の保険ですら自信がないのに家族の請求なんて…できないです!</p><p><strong>井藤:</strong>そうなんです。この質問に対して、95%以上の人が「できない」「自信がない」と答えます。保険の請求もれとは、本来もらえるはずの保険金があるのに、請求手続きをしていないことを指します。保険会社は加入者やその家族からの請求がなければ、そもそも何があったのか知りようがありません。加入者やその家族が自ら請求しなければ、保険金を受け取ることはできないのです。こうした「保険の請求もれ」は、潜在的ながら非常に根深い問題として存在してきました。本当はもらえる保険金があったのに、病気の治療費が高くて治療を諦めてしまったり、本来負わなくてもよかった経済的負担を負ってしまったりといった悲しいことがこれまでにたくさん起きているのです。私たちは、そうした問題をなくしていきたいと考えています。</p><p>――実は私にも、請求もれの経験が何回かあって…とても共感します。</p><p><strong>井藤:</strong>この請求もれをなくすために、弊社では「保険簿」というアプリを軸に事業を展開しています。「保険簿」は、保険の書類を撮影すると自動でデータ化されて、入っている保険を簡単に管理できるというアプリです。家族との共有もできますし、「病気になった」「ものが壊れた」などの該当項目から、請求できそうな保険をレコメンドするといった機能も提供しています。こうした請求もれを防ぐ仕組みを、日本の保険加入者全員に使ってもらえることを目指して、将来的には保険加入後のあらゆることがワンストップで完結する、便利でシンプルな仕組みを作っていきたいと考えています。</p><p>――保険事業者に向けたサービスも提供しているんですよね。</p><p><strong>井藤:</strong>はい。消費者の皆さんに使ってもらうためには、あらゆる保険事業者と協力していかなければいけません。弊社は保険の販売には一切手を出さないと決めているので、「保険を売られる」と加入者側に嫌がれることもないですし、保険代理店や保険会社などのあらゆる保険事業者と協力できるという立ち位置をキープしています。保険事業者向けには「保険簿 for Business」というSaaSを提供しています。保険担当者がお客さんの保険情報を一緒に見てアドバイスできたり、チャットができたりと、いわば「かかりつけ」の保険担当者として、きめ細かく顧客のフォローができるようにするサービスです。</p><p><strong>岩田:</strong>保険会社側も、ちゃんと必要な時には保険金を請求してほしいと思っているんですよね。</p><p><strong>井藤:</strong>2000年代に、保険業界では「保険金未払い問題」というのが大きな問題になりました。これは、保険金が請求できることがわかりうる状況だったにもかかわらず、さまざまな理由で払わなかった・払えなかったという、多くの保険会社で明るみになった問題です。その後、必要な時にちゃんと請求してもらうための取り組み(請求勧奨)が進められてきました。そしてここ5年ほどで、金融庁主導でさらなる顧客本位の業務運営が叫ばれるようになってきています。こうした背景もあり、とことん消費者のためになるサービスを作っていけば、自然と保険事業者にもメリットを提供できると考えています。</p><p></p><h2><strong>保険の「請求もれ」は年間1.6兆円</strong></h2><div class="img-container"><img src="https://cdn.qurate.cloud/2021/02/22/12/50/07/8efe8ba6-f130-48d8-9c82-23c384e89223/radio16_02.jpg" link_href="" link_target=""></div><p>――実際に、保険って本当に難しいと感じます。誤解を生まないために細々といろんなことが書いてあるパンフレットや、「これ読んでおいてください」と渡されるCD-ROMだったりと、必要な情報は一応全部受け取るんですけど、私は結局のところ請求もれとなってしまったわけでして…。新卒の頃にレーシック手術をしたのですが、父が掛けてくれていた保険では適用だったらしいんですね。</p><p><strong>井藤:</strong>今は違うのですが、2007年以前に契約している医療保険では、レーシックは適用になるんですよね。</p><p>――私は目が弱くて他にもいろんな治療を定期的にしていたのですが、10年くらい経ってから、父から、それらも保険が適用できる治療だったと言われました。先ほど言ったレーシックは、新卒の初ボーナス全部つぎ込んで受けたのに(笑)。「もし父が掛けてくれていた保険を使えていたら、初ボーナスで一緒に何か美味しいもの食べに行けたかもしれないのにね」と、今では笑い話ですが…。</p><p><strong>岩田:</strong>貯蓄の一種みたいな考え方も、昔はありましたからね。保険に入っているというよりは、満期になったら解約して定期預金みたいに受け取るようなイメージでいると、なおさら保険の内容は忘れてしまいがちかもしれないですね。</p><p><strong>井藤:</strong>解約返戻金や満期金を目当てに保険加入している人で、保険料の払い込みが終わって口座からの引き落としもなくなり、保険証券もどこか行ってしまった…という場合、もしその人に何かあったら、家族はどうやってもその保険の存在を見つけることができません。私事ですが、昨年末に亡くなった祖母が認知症で、それに付け込まれてかなりいろいろな契約をさせられていたようなんです。まだ出てきていない保険契約や、請求もれがたくさんある予感がしていて、洗い出し頑張らないとな…と思っているところです。</p><p><strong>岩田:</strong>保険会社との契約って、1社だけではない人の方が多いですよね。「保険簿」では、それらを一元的に見られるというのがとてもいいと思っています。</p><p>――ちなみに、日本ではどれくらいの人が保険に入っているのでしょうか?</p><p><strong>井藤:</strong>世帯の割合で見ると、生命保険が80%、火災保険が90%と言われています。ですから、火災保険やクレジットカード付帯の保険も含めると、保険に入っていないという人はほぼゼロに近いんじゃないでしょうか。</p><p>――では実際に、請求もれというのはどれくらいあるのでしょうか?</p><p><strong>井藤:</strong>弊社がフェルミ推定で算出したものでは、1.6兆円という結果が出ています。保険金の支払いは年間約18兆円なので、決して少なくない数字です。実際のところ、肌感覚ではもっとあると感じています。</p><p>――「保険はお守り」という言葉もありますが、単なるお守りではなく、実際の生活で効力を発揮するもののはずです。しかし、それを使いこなせていない人は本当に多いということなんですね。</p><p></p><h2><strong>東日本大震災の現場で知った「請求もれ」が転機に</strong></h2><div class="img-container"><img src="https://cdn.qurate.cloud/2021/02/22/12/51/49/8cdb3f6a-379e-484f-8dd6-7daa3077e9b2/radio16_03.jpg" link_href="" link_target=""></div><p>――保険分野でのスタートアップというのはあまり聞きませんが、井藤さんはどうしてこの業界で起業しようと思ったのですか?</p><p><strong>井藤:</strong>最初のきっかけは、大学時代まで遡ります。私は大学時代に保険業界の研究をしていたのですが、そんな中で2011年に東日本大震災が起こりました。現地にボランティアに行ったことで、保険の請求もれが多く起こっている現実を知りました。卒論を書く頃にはちょうどマイナンバーの話が出てきていたこともあり、個人のアカウントにすべての保険契約が紐付いていれば、管理が一元化でき、請求をはじめとしたすべての手続きがワンストップでできるという世界を構想し、卒論としてまとめたのです。<br>卒業後は保険業界で仕事をしていましたが、結局マイナンバーの利用はなかなか進まず、保険業界のさまざまなしがらみも知りました。業界に身を置く中で見えてきた課題も、それを突破する方法も見えてきたところで、「多分『保険簿』で起業するだろうな」と思いながら1年システムエンジニアをしてITについての理解も深め、2018年10月に創業しました。</p><p>――「保険簿」を世の中に出すためにたどってきたような経歴ですね。3.11の現場もご自身の目で見られているということにも、熱い思いを感じます。</p><p><strong>岩田:</strong>井藤さんが素晴らしいのは、本当に顧客目線でやっているというだけでなく、テクノロジーをどう活用して、より便利にしていくか、より多くの隠れたニーズに応えていくかということを非常によく考えて、実行しているところです。マイナンバーが話題になり始めた当初から、保険と結びつけて考えられているのもその現れのひとつですよね。スタートアップとしてできることは何かを考え、自分が考えついたソリューションを広めるための情報発信などもしっかりしているし、プレゼンテーションもとてもわかりやすい。自分のミッションを固く信じ、そのためにできることは何でもやっていく、想いの強い起業家だと感じています。</p><p>――MIRAISEとのご縁はどのように繋がったのでしょうか?</p><p><strong>岩田:</strong>僕らはどちらかというと選んでいただいたという感じですね。井藤さんはバランスをよく考えていて、自分たちに足りないところを補える投資家、VCを探していて、技術的なサポートができるということでMIRAISEを選んでくださいました。そうした発想や行動からも、ミッションへの最短距離をしっかりと考えて、実行しているという印象を持ちました。</p><p><strong>井藤:</strong>昨年8月に資金調達を行ったのですが、そんなにすんなりいったわけではなく、苦戦もしました。しかし、MIRAISEさんに出資していただけるというベストな結果となったのは、本当によかったと思っています。今後は、MIRAISEのさまざまなサポートもどんどん活用していきたいと考えています。</p><p><strong>岩田:</strong>保険というのは、実は顧客満足度が上がるタイミングが少ない業種なのかなと思います。加入した時の「これで家族も安心だ」「これで自分に何かあっても大丈夫」などの安心感がそのひとつだと思いますが、顧客満足度が最大化するのは、やはり保険金が支払われたときだと思うんですよね。そのチャンスが失われている状態だと、保険会社は顧客満足度を上げる機会がすごく減ってしまう。そういう意味では、「保険簿」は業界全体にとっても非常に価値のあるサービスだと感じます。まさに「三方良し」ですね。</p><p><strong>井藤:</strong>現在、保険会社さんからの問い合わせも非常に多くあります。いい意味で想定外ですね。保険会社は、思った以上に請求勧奨に対して強い課題感を持っています。それは金融庁からのプレッシャーだけではなくて、保険会社で働く一人ひとりの方が、保険本来の役割をちゃんと果たしたいという想いをしっかり持っている故だと、話を聞く中で実感しています。</p><p></p><h2><strong>保険のあらゆる手続きがワンストップで完結できる世界に</strong></h2><div class="img-container"><img src="https://cdn.qurate.cloud/2021/02/22/12/53/27/184854a5-a8e2-43dc-b93e-fd9b0dc29021/radio16_04.jpg" link_href="" link_target=""></div><p><strong>岩田:</strong>保険会社からの視点で2つ質問があります。まず1つ目。顧客の囲い込みを狙うような動きはないのでしょうか?</p><p><strong>井藤:</strong>今は保険ショップのようにいろんなチャネルで保険に加入できるので、現実的に1社で囲い込むのは無理だという考え方が主流です。いい商品を作り、いいサービスを提供して顧客を増やそうという努力は各社もちろんしていますが、請求やアフターフォローなどの非競争領域に関しては、業界で協力していく方が効率がいいんじゃないかという発想にどんどん変わってきていると実感しています。</p><p><strong>岩田:</strong>2つ目。保険会社の、DXやインシュアテックへの関心は高まっているのでしょうか?</p><p><strong>井藤:</strong>DXに関しては、保険業界は他業界に比べて10年も20年も遅れているとよく言われています。実際にそのとおりで、率直に言うと業界全体が焦りを感じていて、DXには飛びついている感はありますね。保守的な業界という印象があると思いますが、今どんどんアクティブに変わっていこうというスタンスになってきています。</p><p>――業界も大きく変わっていくタイミングなんですね。今後、井藤さんが目指す世界とはどんなものでしょうか?</p><p><strong>井藤:</strong>一昨年の10月にサービスをリリースし、昨年は資金調達とメンバーの採用に力を入れ、無事にいい形で成果を出すことができました。基盤が整った今年は、カスタマーサクセスを徹底して、消費者の方にも、保険業界にも必ず喜んでもらえるサービスをしっかりと実現させていきたいと思っています。その先はもちろん、請求もれを防ぐためにいろんな保険会社との協力もしていきながら、保険加入後のあらゆることがワンストップで完結する世界を目指していきます。まずその前提として、保険の請求もれという潜在的な課題に気づいてもらうために、引き続き発信も強化していきたいと考えています。</p><p>――井藤さんの想いはnoteで日々発信されているので、気になる方はぜひ目を通してみてくださいね。「保険簿」が作る未来を、私たちも心待ちにしています。本日はありがとうございました!</p><p><br><br></p><p>◆<a href="https://www.hokenbo-ib.com/"><u> 株式会社IB</u></a><u><br></u>◆<a href="https://note.com/hokenbo"><u>井藤健太【保険簿のCEO】|note</u></a></p><p><br></p>
<p></p><div class="iframe-container width-set height-set dimensions-set" data-width="100%" data-height="232px" data-src="https://open.spotify.com/embed-podcast/episode/3UUW5Sw4NOgN3BOSOtODNu"><iframe class="" style="" data-embed-type="generic" data-original-link="&amp;#60;iframe src=&quot;https://open.spotify.com/embed-podcast/episode/3UUW5Sw4NOgN3BOSOtODNu&quot; width=&quot;100%&quot; height=&quot;232&quot; frameborder=&quot;0&quot; allowtransparency=&quot;true&quot; allow=&quot;encrypted-media&quot;&amp;#62;&amp;#60;/iframe&amp;#62;" src="https://open.spotify.com/embed-podcast/episode/3UUW5Sw4NOgN3BOSOtODNu" width="100%" height="232px" frameborder="0" allowfullscreen="true"></iframe></div><p><br>MIRAISEでは、課題解決に挑むエンジニア起業家の生の声をお届けするラジオ番組「<a href="https://www.youtube.com/channel/UCV4Ju4OHLYp-2we7vLxWtTg/videos"><u>MIRAISE RADIO</u></a>」を配信しています。こちらのブログでは、「読む MIRAISE RADIO」として、起業家たちのストーリーをラジオの雰囲気そのままにお伝えしていきます。</p><p>● スピーカー|oVice株式会社 代表取締役 ジョン・セーヒョン<br>● MC|MIRAISE CTO 布田 隆介 / PR 蓑口 恵美<br></p><p>リモートワークでも、もっと気軽に雑談できたらいいのに――。</p><p>オンライン化が急激に進んだ昨今、企業や地域などさまざまな場所で、新しいコミュニケーションの方法が求められています。</p><p>そんな人々の思いに応えるために生まれたのが、自由に動いて、自由に話しかけられるバーチャル空間「oVice(オヴィス)」です。</p><p>今回は、oVice株式会社代表取締役ジョン・セーヒョンさんに、リモートワーク化でのコミュニケーション不足に悩む人々の課題をどう解決しているのか、そして今後の展望について伺いました。</p><p></p><h2><strong>「今いい?」テレワークで失った雑談を取り戻す</strong></h2><div class="img-container"><img src="https://cdn.qurate.cloud/2021/03/02/12/55/48/4cccbf0e-c835-478a-87c6-2db6624d0cb5/radio15_01.jpg" link_href="" link_target=""></div><p>――「oVice」とは、どんなサービスなのでしょうか?</p><p><strong>ジョン:</strong>「oVice」は、リアルのオフィスにいる時のように「今ちょっといい?」というような気軽な会話ができるバーチャル空間を提供しているサービスです。テレワークが広がり、軽い雑談や偶発的な会話の機会は格段に減ってしまいました。しかし「oVice」を使うことにより、コミュニケーション不足の問題を改善することができます。また、交流会のようなイベントでもよく使われるようになってきています。</p><p>――実はMIRAISEチームでも使わせていただいているのですが、本当にコミュニケーションがとりやすくなったと感じています。</p><p><strong>布田:</strong>こうして文字だけで「oVice」を伝えるのは難しいのですが…自分のアイコンをマウスで動かして、近くにいるアイコンの人と話すというサービスです。「アメーバピグ」の進化版みたいな感じ、というと伝わるでしょうか。Zoomなどとはまったく別物で、一般的なテレワークのツールというよりは、”空間”の概念があるのが特徴的ですね。ジョンさんは、いつもどのように説明しているのですか?</p><p><strong>ジョン:</strong>説明するより「まずデモを見てください!」と言っていますね。見たらわかります、と(笑)。コミュニケーション不足を感じているなら、ぜひデモを見に来てほしいと思っています。</p><p>――現在、「oVice」はどのような企業で導入されているのでしょうか?</p><p><strong>ジョン:</strong>現在は約1,500件で、数万人規模の上場企業もあれば、任意の団体・チームやコミュニティ、友人同士など個人で利用してくださっている方も多く、ユーザーの幅は広がっています。リリース当初は大手企業が多かったのですが、今回の緊急事態宣言後は特に、個人ユーザーが増えていると感じています。</p><p><strong>布田:</strong>バーチャルオフィスとして家から「oVice」に繋いで仕事をする形というのがメインだと思いますが、最近のプレスリリースを見ると、成人式などのイベントにも使われているようですね。こういった、ワンタイムのイベントでの利用も増えているのでしょうか?</p><p><strong>ジョン:</strong>最初はやはりオフィスとしての利用が多かったのですが、学会では以前からよく使われていました。学会は、同時にいくつかのセッションが行われる場合が多いですし、大切な交流の場でもあるので、フィットしたのだと思います。さらにこの年末年始、リアルで会えない代わりに「oVice」で忘年会や新年会を開くという動きがありました。その後急激にこうした使い方が広がり、今では3割くらいがイベント利用となっています。数千人規模の展示会や、入社式、社内レクリエーションでも使っていただいています。</p><div class="img-container"><img src="https://cdn.qurate.cloud/2021/03/02/12/57/22/20d2c321-52c5-47a0-aaeb-72873caec0e1/radio15_02.jpg" link_href="" link_target=""></div><div class="h6 additionalClassesSet " style=""><p><em>写真:oVice プレスリリースより(「東東京会場の東京タワーに集合ね!」の図。自分のアバターの近くでダブルクリックするとアイコンが表示され、ビデオ通話が可能となる)</em></p></div><p></p><p>――確かにこうしたイベントは、ちょっと横の人と喋ってみるとか、そういうカジュアルな会話をしたい場ですよね。</p><p><strong>ジョン:</strong>「oVice」はみんなで同じ場所にいるという感覚があるので、誰かメインで話している人の話を聞きながらも、チャットで会話したり、隅っこに寄って話したり、イベントが終わった後も残って喋ったりと、リアルの会場と同じような形で交流できます。例えばZoomのように一方的に誰かが話して終わりではなく、みんなで交流したい、自由に会話したいといった場面でよく使われています。</p><p>――実際に、MIRAISEファミリーの忘年会も「oVice」でやらせていただいたのですが、みんな隅っこで喋っていましたね(笑)。少人数で盛り上がっているところにみんなが集まっていく動きもあれば、何人かがすっと離れて別の話を始めたり。そんなふうに、ずっと緩やかに盛り上がり続けていたのが印象的でした。</p><p></p><h2><strong>ロックダウン下のチュニジアで開発をスタート</strong></h2><p><strong>布田:</strong>僕は昨年9月頃に、とあるイベントで「oVice」を知ったのですが、そのイベント自体よりも、この「oVice」というツールがすごいなと印象に残りました。その後コンタクトを取って投資に至っているのですが、「oVice」を作るきっかけの話も面白かったので、ぜひここでもお話しいただけますか?</p><p><strong>ジョン:</strong>昨年1月、私は北アフリカのチュニジアに滞在していたのですが、コロナ第1波が急激に広がってロックダウンとなりました。そこでやむなくテレワークを始めたのですが、どんなツールを使ってもしっくり来ませんでした。私はもともとオフィスが好きで、物理的な空間にいる時の「気軽に話せる」「座っているだけで周りの声が耳に入る」といった感覚がないテレワークの働きづらさを感じ、それなら”空間”を作ろうと開発を始めたのが「oVice」だったのです。<br>最初はその概念を実証するために簡単なプロトタイプを作ったのですが、やってみるとなかなか良かったので、3月末くらいに商品化しようと決めました。その後、6月にクローズド、8月末にオープンβ版で提供を開始しました。</p><p><strong>布田:</strong>プロトタイプの時はどんな感じのものだったんですか?</p><p><strong>ジョン:</strong>ファーストプロトタイプはHTMLでテーブルを作り、テーブルの1マス2マスという距離で調整していました。そこから1ヶ月ほどかけて空間的な概念をさらに進めて、自由に動ける形にしたのがセカンドプロトタイプです。</p><p>――昨年1月に作り始めて、今では1,500件。すごいスピード感ですね。</p><p><strong>ジョン:</strong>オープンβ版提供当時はそれほどでもなかったのですが、年末に向かってどんどんユーザーが増え始めました。年明けに緊急事態宣言が出てからは1日に50件以上増えているので、急速に利用が広がっているのを感じています。</p><p><strong>布田:</strong>今は無料での提供もしているんですよね。</p><p><strong>ジョン:</strong>「oVice」で面白いのは、末端の社員が勝手に使い出して、それを見た経営者が導入を決めるというケースがほとんどということです。その場合、有料サービスだと「使ってみたい!」と思った人が自腹を切るか、使う前に決裁権を持つ人に相談して予算をもらわなければならず、そのために1週間や2週間はかかってしまいます。そこで、今回の緊急事態宣言発令に合わせて、「oVice」のオフィス利用を無料で開放することにしました。</p><p><strong>布田:</strong>さらに今は、イベント利用でも無料にしているんですよね。</p><p><strong>ジョン:</strong>はい。緊急事態宣言の対象地域が広がった時に、開催予定のイベントについてTwitterでアンケートを取りました。やはり中止にしたという回答が多かったので、少しでも役立ててもらえればと思い、緊急事態宣言中に開催されるイベントには「oVice」を無料で提供することにしました。ですから、現在はオフィス利用でも、イベント利用でも無料で使えるようになっています。</p><p></p><h2><strong>ポストコロナを見据え、本当に「どこにいても働ける」世界を目指す</strong></h2><div class="img-container"><img src="https://cdn.qurate.cloud/2021/03/02/13/03/13/2eebe4fb-5f6b-44c3-a111-4ed2f7adf349/radio15_03.png" link_href="" link_target=""></div><p>――先ほど「oVice」を作り始めた時にはチュニジアにいらっしゃったと伺いましたが、ジョンさんのグローバルなバックグラウンドについてもお聞かせいただけますか?</p><p><strong>ジョン:</strong>もともと私は韓国出身で、オーストラリアの高校を卒業後、日本の大学に留学したという経緯があります。大学在学中に何度か起業したのですが、チュニジアに関わるきっかけとなったのが海外採用プラットフォームの開発です。海外採用を促進するサービスを提供しているのだから、自分たちも海外採用をしようと思って採用したのが、チュニジアの方だったのです。それを機にチュニジアに子会社を作り、もう5年以上チュニジアでもビジネスを続けています。子会社を立ち上げた際は1年のうち半分以上はチュニジアにいましたし、その後も月に一度は行っていました。</p><p>――2017年には、立ち上げた会社を東証一部上場企業に売却したというご経験もお持ちですが、oViceは何社目になるのでしょうか?</p><p><strong>ジョン:</strong>資金調達などもして本気でやってきた会社としては3社目でしょうか。その他にも、趣味というか実験というか、そういう使い方をしている会社もいくつかあります。</p><p>――では、今後「oVice」をどのように展開していこうとお考えですか?</p><p><strong>ジョン:</strong>日本での市場シェアはかなり取れたと思っていますが、さらなるシェア拡大に向けた施策を考えています。まず1つ目は、ポストコロナを見据えた取り組みです。コロナが落ち着くと、現在テレワークしている人がオフラインに戻ってきます。オンライン・オフライン両方に人がいる状態になり、両者間のコミュニケーションに関する問題が出てくると思います。主にオフラインの人たちがそこだけで話をして、オンラインの人が蚊帳の外に置かれてしまうというような問題ですね。それを防ぐために、IoTのデバイスを通じて、オンラインとオフラインそれぞれの人がシームレスに話せるような開発を進めています。</p><p>2つ目は「oVice」のさらなる"空間化"です。リアルな空間にはそれぞれのインテリアやレイアウトがあり、例えばオフィスなら、さまざまな部署・仕事が混ざり合う場でもあります。オンラインでもそれは同じで、いろんなデータが「oVice」の空間に集まります。喋った内容、どのように移動したか、どこにアクセスしたかなどのデータなどですね。そういったデータをAPIでサードパーティの企業にも提供して、面白いプラグインを開発してもらったり、デザイナーさんたちに空間をデザインしてもらったり…というような機能をリリースしたいと考えています。</p><div class="img-container"><img src="https://cdn.qurate.cloud/2021/03/02/13/05/25/37d759db-6e86-4ec6-8501-66b4ba264537/radio15_04.jpg" link_href="" link_target=""></div><div class="image-caption-1 additionalClassesSet " style=""><p><em>写真:oVice プレスリリースより(ミーティング風景。画面右で資料を共有しながら、各自のアバターを使って会話)</em></p></div><p></p><p>――面白いですね!「oVice」に、リアルなオフィスの機能がどんどん入ってくるような感じですね。</p><p><strong>ジョン:</strong>実際に、「oVice」をバーチャルの本社ビルのように使っているクライアントが出てきています。「oVice」を使うことで、物理的なオフィスを縮小しようという動きも見られます。</p><p><strong>布田:</strong>従来のやり方では、コロナ後はオフラインの人の方が有利になってしまいますよね。絶対に「現場にいる人の方が話が早い」となってしまいますから…。そこに「oVice」が入って、机の上などにあるデバイスからシームレスに話せるようになれば、テレワークでもオフィスにいるのでも、どちらも同じ状態になりますね。オフラインの良さを残しながら、本当にどこでも働けるようになるというのは、かなり未来っぽい感じでいいですよね。</p><p><strong>ジョン:</strong>それができなければ、みんなオフラインに連れ戻されてしまいます。「どこでも働ける」状態を存続させ、進化させるためにも、その問題を解決していこうと思っています。</p><p>――「本当に、どこにいても働くことができる世界」、楽しみですね!「oVice」の進化に、今後も注目していきたいと思います。本日はありがとうございました。</p><p><br><br>◆ 『<a href="https://ovice.in/ja/"><u>oVice</u></a>』<br>「オンラインでのコミュニケーションを最大化する」ことを目的に作られた、自由に動いて自由に話しかけられるバーチャル空間「oVice(オヴィス)」を開発・提供しています。2020年にはTechCrunch Startup Battle OnlineやLAUNCHPAD SaaSに出場。oViceはサービスリリースから半年で約1700件利用されています。</p><p><br><br></p>
<p></p><div class="iframe-container width-set height-set dimensions-set" data-width="100%" data-height="232px" data-src="https://open.spotify.com/embed-podcast/episode/6zvJKPrUtbcQvql4pMCzam"><iframe class="" style="" data-embed-type="generic" data-original-link="&amp;#60;iframe src=&quot;https://open.spotify.com/embed-podcast/episode/6zvJKPrUtbcQvql4pMCzam&quot; width=&quot;100%&quot; height=&quot;232&quot; frameborder=&quot;0&quot; allowtransparency=&quot;true&quot; allow=&quot;encrypted-media&quot;&amp;#62;&amp;#60;/iframe&amp;#62;" src="https://open.spotify.com/embed-podcast/episode/6zvJKPrUtbcQvql4pMCzam" width="100%" height="232px" frameborder="0" allowfullscreen="true"></iframe></div><p>MIRAISEでは、課題解決に挑むエンジニア起業家の生の声をお届けするラジオ番組「<a href="https://www.youtube.com/channel/UCV4Ju4OHLYp-2we7vLxWtTg/videos"><u>MIRAISE RADIO</u></a>」を配信しています。こちらのブログでは、「読む MIRAISE RADIO」として、起業家たちのストーリーをラジオの雰囲気そのままにお伝えしていきます。</p><p>● スピーカー|MIRAISE 岩田 真一 / 布田 隆介<br>● MC|MIRAISE PR 蓑口 恵美</p><p></p><p>日々、多くの起業家からさまざまなプロダクトや事業の話を聞いているベンチャーキャピタル(VC)。</p><p>今回は「MIRAISEがグッと来るピッチとは?」というテーマで、MIRAISEの岩田・布田に話を聞きました。</p><p>起業家の話を聞く中で、重視しているポイントはどこなのでしょうか?ぜひ、参考にしていただけると嬉しいです。</p><p>なお、今回の記事は、ラジオでの約55分にわたる話をギュッと凝縮してお届けします。ラジオ内では、文字数の都合でご紹介しきれなかった数々の具体的な事例も出てくるので、記事を読んで「もっと深く知りたい!」と思ってくださった方は、ぜひ<a href="https://anchor.fm/miraise/episodes/14--MIRAISE-eomg36"><u>ラジオ</u></a>にもアクセスしてみてくださいね。</p><p></p><p></p><h2><strong>最初の10分で心を掴む</strong></h2><p>――起業家と投資家の出会いの場になるのがピッチ(プレゼン)ですが、昨年も、お二人はさまざまな起業家のピッチを聞かれたと思います。その中で、どんなピッチが印象に残っていますか?</p><p><strong>布田:</strong>昨年は100組以上のピッチを聞かせていただきました。僕は端的に言うと、わかりやすいピッチが印象に残りますね。言いたいことが増えると、ピッチも長く複雑になってしまいがちで、製品の特徴もターゲット層も何だかよくわからないな…と感じることも実は多くあります。ですから、時間にして10分くらい、スライドなら10枚くらいで文字も少ない、シンプルなものが伝わりやすいなと思っています。その方が、ピッチ後のディスカッションもしやすいですしね。</p><p>――実際に、ピッチはどれくらいの長さで、ディスカッションはどれくらいするものなのでしょうか?</p><p><strong>布田:</strong>資料は先にいただくので、事前にこちらもだいたい内容を把握していますが、ファウンダーの方の口から実際に説明いただくのがピッチの時間ですね。その後、質疑応答などディスカッションの時間を取ります。ピッチとディスカッション、トータルで1時間くらいですね。ピッチに30分も40分もかかってしまうと、ディスカッションの時間はどんどん短くなってしまいます。</p><p><strong>岩田:</strong>例えばスライドを30ページ作ってもいいんですけど、ピッチは最初の10ページで終えて、その後のページはディスカッション・ペーパーにするような形の方がいいですね。質問した時にそれを見せてもらいながら解説していただく方が、こちらの理解も深まりますから。そうすると、「最初の10分で興味を持ってもらうにはどうしたらいいか?」という発想に自ずとなってくると思います。</p><p>――ピッチはもちろんのこと、ディスカッションの時間も大切ということですね。限られた時間において、お二人が心を掴まれるのはどんな瞬間なのでしょうか?</p><p><strong>布田:</strong>今取り組んでいることのずっと先に見えている世界が面白いと、投資に繋がることがけっこうあります。最終的にたどり着きたい場所が明確で、それがワクワクするようなものだとグッときますね。投資家の前では、恥ずかしがらずに「ディズニーランド作りたいんです!」みたいな大きな夢を語ってくれるといいですね。投資家に夢を見させると言いますか…。</p><p><strong>岩田:</strong>それは「投資家の耳目を引くために大げさなことを言いなさい」という意味ではなく「自分の持つ大きな夢を隠さないでほしい」ということですね。本当はすごい夢を持っているのに「ピッチだと何だか飛躍し過ぎかな…」と、言わずにいるのはもったいない。大きな夢を語ったうえで、そのワンステップとしてこういうことに取り組んでいる、という形になるといいですね。</p><p></p><p></p><h2><strong>ピッチは「紙芝居」。ストーリーがあると引き込まれる</strong></h2><div class="img-container"><img src="https://cdn.qurate.cloud/2021/02/03/13/12/24/4082234a-772f-407a-ac5b-3e72626f9a05/radio14_02.jpg" link_href="" link_target=""></div><p>――そのほかに、グッとくるポイントはありますか?</p><p><strong>岩田:</strong>先ほどの内容とは矛盾するようですが、あまりに大きい話、それだけだと投資には進みませんね。僕らがもっとも重視しているポイントとして、一歩一歩やる姿勢と言いますか、仮説と検証のサイクルを多数かつ高速に回していけるかどうか、というのがあります。<br>エンジニアは、ある程度自分の中で仮説ができると自分でプロダクトを作り始めることができます。しかし、その前に本当にニーズがあるのかどうか、ちゃんと確認することが大事ですね。</p><p><strong>布田:</strong>課題に対してどのくらい考えられているのか、ということはよく見ています。例えば、なぜそのサービス形態を選んだのか、なぜその技術を使うのかということを聞いた時に、答えがぱっと出てくると、よく考えているんだなとわかります。ピッチ資料の競合マップを見ても、どういうところをどれくらい考えたのか見えてきますね。</p><p><strong>岩田:</strong>競合分析は、ピッチに必ず入れなきゃいけないみたいだからなんとなく入れておく、というものではありません。自分のプロダクトで課題解決に真剣に取り組んでいるのであれば、おそらく、既存のあらゆるものを試しているはずなんですよね。ですから、競合分析資料は「入れなきゃいけない」ではなく、本来自然に出てくるはずのものなのです。</p><p>――「入れなきゃいけない」と言えば、市場規模に関する資料もありますよね。</p><p><strong>岩田:</strong>それも大事なんですが、特にシード期の場合、おそらく起業家自身もよくわかっていない面があると思います。ですから、市場規模はアペンディックス(補足資料)でもいいくらい。それよりも、「Aさん、Bさん、Cさんはこういうことで困っていました。それを聞いて試作品を作って試してもらったら、とても喜んでくれました…」というようなストーリーが見える方がグッときます。ピッチは「紙芝居」のようなもの。最初の課題提示で「なるほど」と思わせて、解決策を見せて「そういう手があるのか」と唸らせる。めくる楽しみがあるピッチ資料はいいですね。すると市場規模を知りたくなってきます。</p><p><strong>布田:</strong>このプロダクトを使ったことでどうなるか?というのは、実はあまりピッチに入っていないことが多いのです。「コストを10%削減できた」「売上が上がった」など、紙芝居で言うところの「めでたしめでたし」がないということですね。ただプロダクトの紹介をするだけだと、「これで一体どうなるんだろう?」で終わってしまいます。</p><p></p><p></p><h2><strong>1回で決めなくていい。「次にどう繋げるか?」を考える</strong></h2><div class="img-container"><img src="https://cdn.qurate.cloud/2021/02/03/13/12/38/1540ae7b-1af7-409a-b514-451952213965/radio14_03.jpg" link_href="" link_target=""></div><p>――投資するかどうかは、1回のピッチで判断するのでしょうか?</p><p><strong>岩田:</strong>いいえ。1回のピッチ、1回のディスカッションで決めようと思わなくていいのです。本当に可能性があれば、次のミーティングに繋がっていきます。特にMIRAISEの場合は、最初は僕か布田さんどちらかが話を聞いて、良ければその後必ず二人で話を聞かせていただくことになっています。一発で決めようというのではなく「もう1回話を聞かせてほしい」と、次に繋げていく、と考えてもらえるといいですね。投資を受けると長いお付き合いになりますから、お互いにパートナーとしてやっていけるかどうか、やり取りを重ねながらお互いに見極めていくような感じです。</p><p>――なんだかデートというか、お見合いのようでもありますね。結婚に向けてコミュニケーションを重ねて、一緒に歩めるかどうかを確かめていくという…。</p><p><strong>岩田:</strong>VCもそれぞれに特徴がありますから、VCについても調べてから臨むとよいですね。「相手を知る」ことは大切です。そうすれば、なぜそのVCに投資をしてほしいのかも伝えることができます。結婚とはいい例えで、そうだとすれば、相手を知ろうとするのはごく普通のことですよね。</p><p><strong>布田:</strong>あと、最後に「投資の可能性はありそうですか?」と聞いてみるといいと思います。意外と聞かれないのですが…。聞いてくれると「ここがクリアできればいけそう」など、具体的なフィードバックをお伝えできるので。</p><p>――何回か、会話を重ねることを前提とした1回目なんですね。</p><p><strong>岩田:</strong>どうしても、初めてのピッチだと足りない点が出てきてしまいます。ですから、布田さんが言うように、投資家に対して具体的なフィードバックを聞けるような問いかけをするのはとても大事です。ピッチは場数を踏むのが大切ですが、どこが自分に足りないのかわからないままでは、何度ピッチをしても同じです。フィードバックを聞こうという姿勢からは、本当にそれがやりたいんだという起業家の想いや、うち(MIRAISE)に出資してほしいんだという想いも伝わってきます。だからといって必ずしも出資に結びつくとは限りませんが、僕たちはディスカッションにはいくらでもお付き合いします。</p><p>――ピッチも仮説と検証を繰り返していくんですね。1回作ったものを、フィードバックを受けてどんどん改善していくと。</p><p><strong>岩田:</strong>うちで出資させていただいた起業家で、数々のVCを回る中でもらった質問を全部Googleスプレッドシートに書き出していた方がいました。質問のカテゴリー分けもして、それに対する回答もどんどん足していって。さらに、そのシートを回ったVCと全部共有していたのです。もちろん、どのVCの質問かということは隠してあるのですが。これがもう、ひとつの立派なFAQのリストになっているんですよね。ゼロから始めて、資金調達に回っている間にしっかりとした説明資料を作り上げた。その姿勢をみて、この起業家は投資後もきっとオープンに情報共有して、一緒に考えていく人なんだろうなと思いました。そうしたことから、起業家としての資質を十分備えていると判断したことも、出資を決めた大きな要因のひとつでした。</p><p></p><p></p><h2><strong>「バリュエーションはどれくらい?」わからないことは素直に聞こう</strong></h2><p>――バリュエーションについてはいかがでしょうか?</p><p><strong>布田:</strong>まずは、今はこの地点にいて、これからどういうマイルストーンを経て事業を成長させていくかということをしっかり見ます。例えば、ここから広告を打ち始める、ここまでに機能を全部完成させる、といったスケジュールですね。それがあると、僕らがどのタイミングで入るのかがわかりますから。<br>そして、各マイルストーンに対してどれくらいの額を集めて、何に使うのかも聞きます。開発費なのか、エンジニアの採用に使うのか、それともセールス部隊を作るのか…それを聞くと、ビジネスのタイミングがわかります。そのタイミングに関係するのがバリュエーションです。いくらくらいの額に対して、どれくらいの株を放出するかということですね。</p><p><strong>岩田:</strong>バリュエーション=企業価値ですね。起業家側が提示した額を参考にしつつも、うちの条件に照らし合わせるとこれくらい、というのを提示します。皆さん、高めのバリュエーションで調達したいと基本的には思っているんですけど、それがあまりに相場からかけ離れている場合、資金調達は難航します。<br>資金調達をする目的は、お金を得て成長速度を上げることです。すなわち、「時間を買う」ということなんですね。ですから、適正ではない高いバリュエーションにこだわって資金調達に時間がかかる…というのは本末転倒です。時間を買えていないということですから。</p><p><strong>布田:</strong>バリュエーションについては、最初はよくわからないでしょう。その場合は「わからない」と素直に言ってほしいと思います。わからないからと適当に答えてしまうと、その後なかなか変えにくいものなので、後々大変になってしまうことがありますから…。今、自分たちのバリュエーションがどれくらいかと聞いていただければ、僕らの基準でお答えします。</p><p>――何でもわからないことは、オープンに聞いてもらえるといいということですね。</p><p><strong>岩田:</strong>皆さん、売上が上がっていないとダメだろうと思うかもしれませんけど、シードステージの場合はそんなことはありません。特に僕らは、プレシード期においてマネタイズは二の次と考えています。その時期に大切なのは、課題解決の手法、技術力や開発力、そして仲間が集められているかがどうか。そちらの方を重視しています。<br>そしてMIRAISEには、ピアラーニングの場であるオンラインコミュニティがあります。そこで僕らやメンターの方々、先輩起業家、他の投資先起業家の人たちからアドバイスをもらって、足りない部分を補っていくことができます。僕らにはこうしたサポート基盤があるので、そこでカバーできるところ(例えばマネタイズの方法など)は、あまり気にしていません。投資が決まった起業家には、足りていない部分は今後一緒にやっていきましょう、と話しています。</p><p>――ありがとうございました。「ピッチは紙芝居」「1回で終わりじゃない」など、これからピッチに臨む方、起業を考える方にとって示唆に富む話を伺うことができました。なお、<a href="https://www.miraise.vc/#support-platform" target=""><u>MIRAISEのサポート体制</u></a>についてはサイトにも掲載しておりますので、ぜひご覧になってみてくださいね!</p><p><br>◆ MIRAISE Webサイトは<a href="https://www.miraise.vc/"><u>こちら</u></a></p>
<p></p><div class="iframe-container width-set height-set dimensions-set" data-width="100%" data-height="232px" data-src="https://open.spotify.com/embed-podcast/episode/6XmqiwEeCBpX8nt561HFbF"><iframe class="" style="" data-embed-type="generic" data-original-link="&amp;#60;iframe src=&quot;https://open.spotify.com/embed-podcast/episode/6XmqiwEeCBpX8nt561HFbF&quot; width=&quot;100%&quot; height=&quot;232&quot; frameborder=&quot;0&quot; allowtransparency=&quot;true&quot; allow=&quot;encrypted-media&quot;&amp;#62;&amp;#60;/iframe&amp;#62;" src="https://open.spotify.com/embed-podcast/episode/6XmqiwEeCBpX8nt561HFbF" width="100%" height="232px" frameborder="0" allowfullscreen="true"></iframe></div><p>MIRAISEでは、課題解決に挑むエンジニア起業家の生の声をお届けするラジオ番組「<a href="https://www.youtube.com/channel/UCV4Ju4OHLYp-2we7vLxWtTg/videos"><u>MIRAISE RADIO</u></a>」を配信しています。こちらのブログでは、「読む MIRAISE RADIO」として、起業家たちのストーリーをラジオの雰囲気そのままにお伝えしていきます。</p><p>● スピーカー|MIRAISE CTO 布田 隆介<br>● MC|MIRAISE PR 蓑口 恵美</p><p></p><p>今日のテーマは、ワンクリックでアポ無し相談ができる『<a href="https://www.miraise.vc/news/miraise-hour" target="">MIRAISE HOUR</a>』。</p><p>エンジニアであれば誰でも、まだ起業をしていない方でも気軽に相談できる機会として開催したのがMIRAISE HOURです。</p><p>昨年10月の毎週水曜日に開催した結果、わずか4日で20名もの起業家、起業を考えられている方々とお話しすることができました。</p><p>当日はどのような方との出会いがあったのか?MIRAISE布田に開催の裏話を聞きました。</p><p></p><h2><strong>まだ起業していないエンジニアでも、気軽にビデオコールを</strong></h2><div class="img-container"><img src="https://cdn.qurate.cloud/2021/01/08/11/18/40/c0d61a9c-5fa5-4603-a4c9-9f664e4cf9ac/radio13_miraise-hour_02.jpg" link_href="" link_target=""></div><p>――今日は、ベンチャーキャピタル(VC)であるMIRAISEと、ワンクリックでアポ無し相談ができるMIRAISE HOURについてお聞きしていきます。実際に、どのような取り組みだったのでしょうか?</p><p><strong>布田:</strong>10月の毎週水曜日15:00〜17:00まで、MIRAISEパートナーである僕と岩田さんが待機していて、誰でもビデオコールができるというイベントです。MIRAISEの投資先に、URLひとつで気軽にビデオコールができるというプロダクトを提供している<a href="https://remotehour.com/" target="">Remotehour</a>という企業があります。それを使って、今まで僕らが会えていなかったような方々と繋がれる機会を作ろうと、試験的に実施してみたのです。</p><p>――新しいツールを使った試みでもあったのですね。</p><p><strong>布田:</strong>起業家と投資家が会うフローというのは、だいたいメールや紹介から始まって、最初はチャットでやり取りをして、日程を調整してやっとミーティング…です。どこのVCも同じような感じだと思います。それだと、実際に話すまでは時間がかかるし、そもそも起業しようかどうか迷っているとか、今こういうのを思いついている、という段階だと、ちょっと相談しづらいですよね。</p><p>――そうですね。まずVCや投資家がどこにいるのかもわからないし、まして出会うことはさらに大変、アポを取るだけで大変。ようやく相談にこぎつけるまでが長いですよね。</p><p><strong>布田:</strong>そうそう。別に直近で資金調達とか考えていないのに、話しに行ってもいいのかな、という。投資家も、毎日のように問い合わせフォームなどからいろんなオファーが来る中で、より投資に近そうなところから優先的に会っていきますしね。一方、僕らはシード期を対象としたファンドであり、起業前からのサポートなどもしています。ですから、起業に至らない段階の方々にもお会いしたいという思いがあるのですが、それとRemotehourというツールがちょうど合致した感じですね。</p><p>――Zoomのように、時間とリンクを都度決めるのではなく、Remotehourは1つのリンクを踏めば、すぐに誰とでも話ができる。オフィスアワーのオンライン版のような、気軽なものなんですよね。ピンポーンってチャイムを押したら出てきてくれるような。</p><p><strong>布田:</strong>そうですね。MIRAISE HOURの期間中はMIRAISEサイトにもコールボタンを用意して、Twitterでも「今から2時間誰でも話せます」と告知して。ボタンやリンクをクリックすれば、すぐ繋がりますから。繋がった方が「ほんとに出た!」と驚く感じで(笑)</p><p></p><h2><strong>私たちもエンジニア。<br>「それいいね!」と気軽に話せる仲間として</strong></h2><div class="img-container"><img src="https://cdn.qurate.cloud/2021/01/08/11/24/07/594e00d3-af11-40a9-9ebd-a4aa27d62a42/radio13_miraise-hour_03.jpg" link_href="" link_target=""></div><p>――昨年10月に全4回実施したということですが、実際にどのような方々が来てくださったのでしょうか?</p><p><strong>布田:</strong>基本的にはエンジニアの方ですね。すでに起業して資金調達を考えている方もいれば、フリーランスを10年くらいやっていて、自分でサービスを作りたいという方もいました。あとは、フィリピンにいてプログラミングスクールを運営されている方も来てくれました。</p><p>――日本以外からもコンタクトがあったのですね。</p><p><strong>布田:</strong>さらに、医師でありながらプログラミングを学んで、これからプロダクトを作ろうと思っているのでフィードバックをくださいという方もいました。普段はどちらかというと、すでに起業して資金調達の段階にある方が多いんですけど、その前のステージにいる多様な方々にお会いできたのはよかったですね。</p><p>――ワンクリックのアポ無し相談の効果、すごいですね(笑)</p><p><strong>布田:</strong>繋がるポイントがリンクというのも、エンジニアと相性がいいんでしょうね。エンジニアは電話とかだと劇的に弱くなりますけど(笑)、リンクとなると早い。それに、僕も岩田さんももともとエンジニアなので、「その技術面白いね」「そのアイデアすごいね」と、同族のような感じで話ができる。いきなり「それお金になるの?」みたいな話はしませんから。トータルで20名近くの方とお会いして、その中で実際の投資に向けたミーティングに進んだ方もいました。</p><p>――お一人の持ち時間は10分くらいとお聞きしましたが、短いのかな?という印象もあります。皆さん、10分でどれくらい話せるものですか?</p><p><strong>布田:</strong>短いと言えば短いんですけど、だいたい3〜5分くらいでどういうことをやっているかは説明してもらえますから。後半5分で、「投資家はこういうところを見るよ」「こういう会社はこうやって伸びているよ」など、僕らの知っている情報やフィードバックをお伝えする形で。Remotehourは時間延長も1クリックでできるので、その都度調整しながらやっていましたね。</p><p></p><h2><strong>「起業」が頭をよぎったら、いつでも相談を</strong></h2><div class="img-container"><img src="https://cdn.qurate.cloud/2021/01/08/11/26/36/70ab57ee-53ee-47eb-bdcf-7871d7d5f1f9/radio13_miraise-hour_04.jpg" link_href="" link_target=""></div><p>――昨年10月のMIRAISE HOURはトライアル開催という位置づけでしたが、今後も実施する予定はありますか?</p><p><strong>布田:</strong>今後も実施する予定です。資金調達の段階だと、投資をする・しないという、ややシリアスな感じでお互い接することになりますが、創業前やプロダクトを考えているくらいの頃にお会いできると、双方ともフランクな状態でお話しできますから。同族のエンジニアとして好き放題話せるので、それくらいの段階で会っておいたほうが、起業家の方にとってもいいかもしれないと思いますね。</p><p>――このコロナ禍で、シード期企業への投資が世界的に縮小しているという背景もあり、より資金調達がしやすくなるように気軽に相談できる場があってもいいかも、というのも、MIRAISE HOUR実施の動機のひとつでもありました。そのさらに前の段階での相談も、ぜひしてほしいということなんですね。</p><p><strong>布田:</strong>資金調達が唯一の手段でもないですしね。借り入れもあるし、補助金なども今はいろいろありますから、調達できなければすべて終わり、みたいなことはありません。より広い選択肢を知るためにも、僕らを使ってほしいと思いますね。また、僕らはいろんな会社や市場の情報には詳しいですので、今作っているプロダクトにニーズがあるかどうか、行けそうだと思うか、など何でも聞いてくれればと思います。</p><p>――布田さんは国内外のテックトレンドやスタートアップについてのニュースレターを週次で出されていますし、本当にすごくリサーチされていますからね。</p><p><strong>布田:</strong>ビジネスとしてやっていこうとなると、どうやって最初のユーザーを獲得するのか、どこで売るかといった、開発する能力とは別の能力も必要となってきます。そういう視点でのアドバイスがほしいという人も、ぜひ相談してほしいですね。</p><p>――この年末年始、昨年1年を振り返ったり、今年の目標を立てる中で、「いいこと思いついた!」「これに絶対挑戦したい!」という思いが湧き上がった方もいると思います。それを持って、このMIRAISE HOURでいろいろお話ししていただけると嬉しいですよね。</p><p><strong>布田:</strong>そうですね。MIRAISE HOURを待たずとも、サイトからでもTwitterからでも、いつでも相談していただければ嬉しいです。多分エンジニアは、1年に1回くらいは「起業」が頭に思い浮かぶのではないでしょうか。自分でものが作れますから、起業が意外と近いところにあるのです。Facebookの創業者、ザッカーバーグもそうですよね。</p><p>普段から新しい技術を学んでいる人も多いので、ちょっと「当ててやるぞ」という気持ちで作ると、普通にユーザーが増えたりして、月数万円くらい稼ぐ人はけっこういますね。ブログでアフィリエイトするような感覚でしょうか。「起業してみようかな」と思ったら、じゃあMIRAISEに相談してみようかな、となってくれたらいいですね。</p><p>――ひとりで考えているよりも、いろんな人とアイデアを叩いていったほうがいいですものね。今後のMIRAISE HOURの開催はサイトやTwitterで告知しますので、「次は参加してみたい!」という方は、ぜひブックマーク&フォローをお願いします。次回もたくさんの方にお会いできたらいいなと思っています!</p><div class="img-container"><img src="https://cdn.qurate.cloud/2021/01/08/09/48/26/5eea2d0e-4cb7-4ea8-a36a-6d3792f74392/radio13_miraise-hour_01.png" link_href="" link_target=""></div><p></p><p><br>◆MIRAISEへのお問い合わせはこちら<br><a href="https://www.miraise.vc/"><u>MIRAISEWebサイト</u></a><u><br></u><a href="https://twitter.com/miraise_vc"><u>MIRAISE Twitter</u></a></p><p>◆Ryusuke Fuda Newsletterの購読はこちらから<br><a href="https://www.ryusukefuda.com/"><u>https://www.ryusukefuda.com/</u></a></p>
<p></p><div class="iframe-container width-set height-set dimensions-set" data-width="100%" data-height="232px" data-src="https://open.spotify.com/embed-podcast/episode/4u8jIRxqXYSqaIGN2aDGHl"><iframe class="" style="" data-embed-type="generic" data-original-link="&amp;#60;iframe src=&quot;https://open.spotify.com/embed-podcast/episode/4u8jIRxqXYSqaIGN2aDGHl&quot; width=&quot;100%&quot; height=&quot;232&quot; frameborder=&quot;0&quot; allowtransparency=&quot;true&quot; allow=&quot;encrypted-media&quot;&amp;#62;&amp;#60;/iframe&amp;#62;" src="https://open.spotify.com/embed-podcast/episode/4u8jIRxqXYSqaIGN2aDGHl" width="100%" height="232px" frameborder="0" allowfullscreen="true"></iframe></div><p>MIRAISEでは、課題解決に挑むエンジニア起業家の生の声をお届けするラジオ番組「<a href="https://www.youtube.com/channel/UCV4Ju4OHLYp-2we7vLxWtTg/videos"><u>MIRAISE RADIO</u></a>」を配信しています。こちらのブログでは、「読む MIRAISE RADIO」として、起業家たちのストーリーをラジオの雰囲気そのままにお伝えしていきます。</p><p>● ゲストスピーカー|<br> ・株式会社ナオセル 代表取締役 岸 悟志 <br> ・株式会社Swarm 創業者 三野 泰佑<br>● スピーカー|MIRAISE 布田 隆介<br>● MC|MIRAISE PR 蓑口 恵美</p><p>今回は、MIRAISEが行っている投資先サポートプログラム『Booster(ブースター)』について伺っていきます。</p><p>Boosterプログラムを経験された2人の起業家にもご登場いただき、起業家の孤独や、次のラウンドを成功させるための裏舞台についてお話しいただきました。</p><p></p><h2><strong>次のステージに向けた数値目標を定め、達成に向けて伴走する</strong></h2><p>――今日のテーマは、MIRAISEが行っている投資先サポートプログラム『Booster』です。今日は特別ゲストとして、先日『Booster』を修了された起業家のお二人にも参加していただきます。壊れたスマホを売買できるマーケットプレイスを運営している株式会社ナオセル代表取締役の岸悟志さん、そして、暗号通貨ウォレットを開発されている株式会社Swarm創業者の三野泰佑さんです。まず布田さんに『Booster』とはなにか、説明していただきます。</p><p><strong>布田:</strong>『Booster』は、MIRAISEが支援先企業向けに提供しているアクセラレータープログラムのようなものです。100日間、2週間に1回のメンタリングやディスカッションを行いながら、次の資金調達の成功を目指すプログラムです。具体的には、ピッチの改善、資金調達成功に向けた数字の改善、成長を目指して取り組んでいくものです。</p><p>――『Booster』は、どのようなきっかけでスタートしたのでしょうか?</p><p><strong>布田:</strong>MIRAISEには、起業前や起業したての起業家を対象とした『<a href="https://www.miraise.vc/program" target="">On−Deck</a>』という起業支援プログラムがあります。『On−Deck』を続ける中で、MIRAISE代表の岩田さんと、On-Deckのようなプログラムを、すでに投資している会社に対してやってみてもいいなじゃないか、という話になったのです。僕たちは主にシードを対象にしたファンドなので、投資した後、次の資金調達が比較的近くなる場合も多くあります。シードVCVであるMIRAISEの重要なミッションは、支援先企業の次回の資金調達を成功させることなので、そのためのプログラムをやってみようということになりました。そのとき、ちょうど次の資金調達が近かった岸さんと三野さんに声をかけて、参加していただいたのが第1回目の『Booster』です。</p><p>――初めての『Booster』に参加されたのがお二人だったのですね。まずは、プログラムの100日間で、どんな成果があったかをお話しいただけますか?</p><p><strong>岸:</strong>まずは、事業領域をブラッシュアップして、フォーカスできたことは大きかったですね。我々が作っているのは壊れたスマホなどのジャンク品を売るフリマサイトですが、リリース当初はまだユーザー同士の取引は少なく、自社出品が多い状態でした。しかし『Booster』の後半くらいからユーザー間の取引が増え始め、現在も順調に増加しています。それが、最終的な『Booster』の成果だったと思います。</p><p><strong>布田:</strong>マーケットプレイスなどでは、次の資金調達において投資家にもっとも見られるのが、いわゆるGMV、総流通額です。どれくらいのお金がプラットフォーム上で動いているかというのが、岸さんのナオセルにとってはひとつの重要な指標でした。その数字を、100日間で伸ばしていく取り組みをしましたね。最初はTwitterで広げていくとか、どんどん知り合いに買ってもらうとか、そんな地道なところからやっていきました。</p><p>――三野さんはいかがですか?</p><p><strong>三野:</strong>僕らの提供しているのは金融サービスで、ユーザーに金利を稼いでもらうということがゴールです。もっとも大事なKPIは、ユーザーがどれくらいの額をトータルでデポジット(預金)してくれたか、です。Boosterが始まる少し前に、自社サービス「<a href="https://goyemon.io/" target="">Goyemon Wallet</a>」を公開したのですが、最初はほぼゼロだったデポジットが、『Booster』が終わる頃には、トータルで100万円以上となりました。わかりやすくグロース(成長)できたと思いますね。</p><p><strong>布田:</strong>Swarmのアプリ「Goyemon Wallet」は、銀行みたいにお金を預けられるんですね。すると、さまざまなブロックチェーンの仕組みに乗って、金利を稼ぐことができるのです。銀行の利息は100万円預けたとしても数円だったりしますが、「Goyemon Wallet」ならもっと高い利率で稼ぐことができます。事業的には、次のステージに進めるうえで必要な数字は、ユーザー数とトータルのデポジット額となります。最初は岩田さんと岸さんも含めて4人で、実際にデポジットして使ってみてお互いにフィードバックしました。</p><p></p><h2><strong>仲間とメンター陣の存在が起業家を支え、育てる</strong></h2><div class="img-container"><img src="https://cdn.qurate.cloud/2021/01/18/18/35/25/6d3cbce4-36b3-4180-bdec-b1b1295cb740/radio12_02.jpg" link_href="" link_target=""></div><p>――MIRAISEは基本的な思想として、起業家同士が切磋琢磨してお互いに学び合うことを大切にしていますよね(ピアラーニングと呼んでいます)。『Booster』でもその考え方に基づいて、2社同時に、かつ一緒に進んでいました。その点は率直にいかがでしたか?ひとりでは得られなかったものなどがありましたらぜひ教えてください。</p><p><strong>三野:</strong>会社を始めてから感じるのが、けっこう孤独だなということでした。起業家は基本的に周りに弱みを見せてはいけないと思うんですよね。自分が一緒に働いている人、投資家、メディア…誰に対しても。こういったファウンダー(創業者)ならではのプレッシャーとか悩みがある中で、それを横のつながりで共有できるというのは、すごくいいなと思いましたね。</p><p><strong>岸:</strong>三野さんと同じことを僕も感じていました。他に思ったこととしては、他のファウンダーが投資家にピッチをして、フィードバックを受けているところってなかなか見られないですよね。そのときの三野さんの対応を、僕はいつも参考にしていました。フィードバックを得たらその場でスライドに書き込んでいくなど、すごいなと思っていました。僕は手が止まってしまうタイプなので…。三野さんのやり方を見て、改善スピードは断然早いんだろうなと。そのように、お互いを常に見て、うまくできているところを学び、足りないところを補完できるのはいいなと思っていました。</p><p><strong>布田:</strong>ここまでは『Booster』の前半部分で、数字のグロースに重点的に取り組みます。そして後半は外部の投資家や、少し先を行く起業家、上場企業の代表の方など毎回異なる方にメンターとして参加していただきました。そして練習してきたピッチを聞いてもらい、フィードバックをもらうというセッションを4回ほど繰り返します。それについてはいかがでしたか?</p><p><strong>岸:</strong>本番さながらで実践する機会をいただけたのは、本当に良かったです。実際に『Booster』後にもピッチをしていますが、気持ち的には変わらない状態で臨めています。ピッチを聞いてくださった方々はメンターでもあったのですが、普通に投資家さんに対してやるつもりでいつもプレゼンさせていただいていたので。</p><p><strong>布田:</strong>人によって見るところが違うので、僕や岩田さんでは考えつかないような質問も出ます。マーケティング視点で聞いてくる人もいれば、事業的な面から売上をどう稼いでいくかという点を詳しく突っ込んでくる人もいる。後半のピッチ練習で、様々な視点をを持つメンターが入るというのは効果的だと思っています。三野さんはいかがでしたか?</p><p><strong>三野:</strong>先ほど岸さんが、他の起業家のピッチを見る機会があまりないとおっしゃっていたんですけど、逆も同じで、自分のピッチを他の起業家や投資家に見てもらう機会はなかなかないんですよね。ピッチは基本的に、投資家と自分の1対1ですから。ピッチのあとに、すぐにその場でフィードバックをいただけたのは、すごくよかったですね。</p><p><strong>布田:</strong>ピッチは起業家と投資家の判断の場なので、フィードバックをもらう時間もあまりないですよね。ピッチを元に、出資するのか、見送るのかという判断をする場なので。ピッチ資料自体や説明の仕方について「こうしたほうがいいよ」というフィードバックがもらえることはあまりないはずです。ですから、実際の資金調達に回る前にピッチを聞いてもらい、フィードバックを得られたことは、有利に働くと思います。</p><p></p><h2><strong>100日間の成長で、見える景色が変わる</strong></h2><div class="img-container"><img src="https://cdn.qurate.cloud/2021/01/18/18/36/58/5d6b4470-8210-4599-ab0e-b84fe3de1a42/radio12_03.jpg" link_href="" link_target=""></div><p>――ベンチャーキャピタル(VC)が、すでに出資している支援先向けにこうしたアクセラレータープログラムをやるということはなかなかないのではと思っています。1回目を終えた『Booster』は、そろそろ第2回の参加者に声がかかる頃だと思います。そこで、三野さん、岸さんに伺いたいことがあります。例えば『Booster』参加前の自分に対して、今アドバイスするとしたらどのようなことがありますか?VCに実際にアドバイスをもらえるこの100日間を、どう使いこなせばいいかなど、聞かせていただきたいです。今後 Booster に参加する起業家の皆さんの参考になると思います。</p><p><strong>三野:</strong>もっと自分たちの状況を、事細かに共有したほうが良かったかなと思っています。例えば、2週間に1回のミーティングの際にはKPIの数字を共有していたのですが、それがもっとも重要なKPIであるデポジット額のみだったんですね。ユーザー数などほかにもいろいろなKPIがあるので、それらもしっかり開示して共有していたら、より有意義なディスカッションができたかなと思います。</p><p><strong>岸:</strong>僕もそれはありますね。KPIの設計段階から見ていただいて、共有する数字もしっかり決めていけばよかったかなと思いました。あと最初のうちはフォーカスできていないところがあったので、KPIを決めても、その数字をモニタリングする際に、たくさんある課題の中でどれから取り組むのかの課題設定がしっかりできていない面もありました。それを最初からできていたら、もっとこの機会を活かせたかなと思いました。</p><p><strong>布田:</strong>お二人とも、『Booster』の100日を経たから、成長してそうなったんじゃないかなという感じがしますね。そういう感想が出るということは、考え方が変わってきたということではないかと。それはいいことですよね。</p><p>――投資先サポートプログラム『Booster』はまだ始まったばかりですが、これからどんどんアップデートされていくと思います。布田さんは、今後この『Booster』をどうしていきたいとお考えですか?</p><p><strong>布田:</strong>今ちょうど、2期目の『Booster』が始まったところです。お二人に参加していただいた初回『Booster』を活かして、運営側もアップデートしています。2期目のピッチ練習にはお二人にも来ていただいて、受講者へのフィードバックをいただきたいと思っています。今後もMIRAISEを通して、お互い協力し合う仕組みができていけばいいなと。2期目のピッチを聞いていただく際には、お二人が次の資金調達を無事に終了させてくれているといいなと思っています。そうすると「こうやってうまくできたんですよ」と言えるので(笑)</p><p>――布田さんの言葉で、お二人、すごく笑顔になりましたね(笑)MIRAISEで切磋琢磨して目標を達成して、次のステージに進んでいく…そうした背中を見たい、伴走していきたいというのがMIRAISEのスタンスですので、『Booster』もさらに進化してほしいなと、皆さんのお話を伺っていて感じました。今日はありがとうございました!</p><p><br>◆壊れたスマホを売り買いできるマーケットプレイス『<a href="https://naoseru.com/"><u>ナオセル</u></a>』<br>株式会社ナオセル 代表取締役 岸悟志氏<br>1985年生まれ。兵庫県出身。総合家電メーカーで家電修理やスマートハウスの研究開発、エネルギーソリューションの新規事業を経験。在職中に実家でiPhone修理専門店を創業。その後、WebエンジニアとしてITベンダーやスタートアップにてSaaSの開発に従事しながらサイドプロジェクトで「ナオセル」の開発を始め、2019年11月にナオセルの「ジャンクフリマ」をリリース。</p><p>◆暗号通貨ウォレット『<a href="https://goyemon.io/"><u>Goyemon Wallet</u></a>』<br>株式会社Swarm 創業者 三野泰佑氏<br>1989年生まれ。香川県育ち、慶應義塾大学卒。学生時代にシリコンバレーでインターンを経験し起業を志す。独学でプログラミングを覚え、フリーのプログラマーとして活動した後、2013年頃にブロックチェーンを基盤とした分散型技術に出会う。その後分散型のアプリケーションなどをいくつも開発。2019年に株式会社Swarmを設立し、ブロックチェーンのアプリを簡単に使えるモバイルウォレットをリリース。</p><p><br>◆ MIRAISE Webサイトは<a href="https://www.miraise.vc/"><u>こちら<br></u></a>◆ MIRAISEのTwitterは<a href="https://twitter.com/miraise_vc"><u>こちら</u></a>から<br>◆MIRAISE - On-Deckについては<a href="https://www.miraise.vc/program"><u>こちら</u></a><u><br></u>◆MIRAISE RADIO - <a href="https://www.youtube.com/watch?v=Jv4c-IwWvVk"><u>#03. MIRAISE | On-Deckプログラムとは</u></a></p><p><br></p><p><br></p><p><br></p>
<p></p><div class="iframe-container width-set height-set dimensions-set" data-width="100%" data-height="232px" data-src="https://open.spotify.com/embed-podcast/episode/4PMFF6U40ldZfLLyxHs1xK"><iframe class="" style="" data-embed-type="generic" data-original-link="&amp;#60;iframe src=&quot;https://open.spotify.com/embed-podcast/episode/4PMFF6U40ldZfLLyxHs1xK&quot; width=&quot;100%&quot; height=&quot;232&quot; frameborder=&quot;0&quot; allowtransparency=&quot;true&quot; allow=&quot;encrypted-media&quot;&amp;#62;&amp;#60;/iframe&amp;#62;" src="https://open.spotify.com/embed-podcast/episode/4PMFF6U40ldZfLLyxHs1xK" width="100%" height="232px" frameborder="0" allowfullscreen="true"></iframe></div><p>MIRAISEでは、課題解決に挑むエンジニア起業家の生の声をお届けするラジオ番組「<a href="https://www.youtube.com/channel/UCV4Ju4OHLYp-2we7vLxWtTg/videos"><u>MIRAISE RADIO</u></a>」を配信しています。こちらのブログでは、「読む MIRAISE RADIO」として、起業家たちのストーリーをラジオの雰囲気そのままにお伝えしていきます。</p><p>● スピーカー|MIRAISE CEO 岩田 真一 / CTO 布田 隆介<br>● MC|MIRAISE PR 蓑口 恵美</p><p></p><p>「投資家は怖い」――。</p><p>そんなイメージを持たれている起業家の方は、少なくないのではないでしょうか。</p><p>今回は、MIRAISEパートナーの2人に「どんな起業家に投資しているのか?」について、じっくり話してもらいました。起業のステージや投資額、そして起業分野や起業家の資質など…ぜひ、投資家の生の声に耳を傾けてみてください。</p><p></p><h2><strong>ビジネスのスタートラインに立つエンジニア起業家を支援</strong></h2><div class="img-container"><img src="https://cdn.qurate.cloud/2021/01/08/15/26/00/44b39622-6904-4643-8a0f-477c11e31390/radio11_02.jpg" link_href="" link_target=""></div><p>――今日は、MIRAISEの投資基準、すなわちどのような企業・起業家に投資するのかという点について伺っていきたいと思っています。お二人は、実際にどのような起業家に会い、どのステージの起業家に投資しているのでしょうか?</p><p><strong>岩田:</strong>基本的には、プレシードとシードステージの企業を投資対象としています。ですが、一部、例外もあります。企業側からリクエストを頂いたり、他の投資家からの技術的なサポートを加えたいという場合には、より進んだステージの企業に出資することもあります。</p><p>逆に、いわゆるプレシードや、さらにまだ起業を考えている段階にあるエンジニアに対しては、『On-Deck』という起業支援プログラムを提供しています。</p><p><strong>布田:</strong>よく「ステージ」とは言いますが、実はステージの明確な基準はこのように存在しないので、起業家がシードと言えばシードですし、シリーズAと思っていればシリーズAであり…ですから、大まかに「ビジネスの初期段階にあるエンジニア起業家」と考えていただければいいかなと思います。</p><p><strong>岩田:</strong>僕の中では売上が立っていない企業は全部シードですね。ところで『<a href="https://www.miraise.vc/program"><u>On−Deck</u></a>』については、「<a href="https://www.youtube.com/watch?v=Jv4c-IwWvVk"><u>MIRAISE RADIO #03</u></a>」で詳しくお話ししておりますし、MIRAISEサイトにも詳しく載っておりますので、ご興味のある方はぜひアクセスしてみてください。</p><p>――次に、投資カテゴリーについて伺います。MIRAISEでは、どのような分野に投資を行っているのでしょうか?</p><p><strong>岩田:</strong>ベンチャーキャピタル(VC)はそれぞれテーマを持っていることが多く、ハードウェアだけ、研究開発型ベンチャーだけ、バイオだけに投資をするファンドもあります。一方MIRAISEは、エンジニアが起業した会社であれば、カテゴリーは絞っていない感じですね。</p><p>ただ、Webテクノロジーが主であり、いわゆるディープテックと言われる半導体や、バイオやメディカルなどの研究開発型のものには投資をしません。Webテクノロジーに対する投資を深くしていこうというのが我々のスタートであり、モチベーションだったので、その点にはこだわっています。</p><p><strong>布田:</strong>MIRAISEのサイトにこれまで投資をした会社がすべて載っているので、見ていただければわかると思いますが、本当にさまざまな会社があります。メディアもあれば、ブロックチェーンもあり、ツールを提供している会社もあり…という感じで。ただ、Web系はスケール(事業規模を拡大)するのが得意なので、その要素があれば、特に分野は限定していないですね。</p><p><strong>岩田:</strong>そうですね。今使えるテクノロジーを網羅しているのがエンジニアだと思います。ですから、それを使って、もっと効率的に、もっと安価に、かつボトルネックのない、そしてエンジニアでない人には思いつけないようなテクノロジーソリューションを思いつけるか。そういうところを見ていますね。</p><p>――では、「どこの起業家か?」という地域についてはいかがでしょうか。起業家というと、基本的には大きな都市にいるイメージをお持ちの方も多いと思うのですが…。</p><p><strong>岩田:</strong>住んでいる地域はまったく関係ありません。大分や福岡の会社にも投資しています。今はリモートでディスカッションできる環境が整っていますからね。</p><p>日本のITはかなり出遅れています。ソフトウェアとインターネットを見落としてしまって、グローバルの競争力が落ちているのです。MIRAISE創業以来、日本のITを支え、推進していきたいという思いを強く持っています。ですから、投資先は日本国内がほとんどですね。</p><p>――海外への投資も行っているのでしょうか?</p><p><strong>岩田:</strong>日本人のエンジニア起業家が海外で起業しているケースもあり、そういう例にはかなり注目して投資をしています。そのエンジニアがアメリカで起業していればアメリカに投資することになるし、ヨーロッパならヨーロッパが投資先ということになりますが、起業家が日本人であれば、特に住んでいる国や地域は意識しません。</p><p></p><h2><strong>起業家にしっかりと向き合うサポート体制が強み</strong></h2><div class="img-container"><img src="https://cdn.qurate.cloud/2021/01/08/15/28/27/53f31386-b312-4c43-b327-724a5eee56eb/radio11_03.jpg" link_href="" link_target=""></div><p>――では実際に、どれくらいの金額感、バリュエーション(価値評価)での投資が多いのでしょうか?</p><p><strong>布田:</strong>だいたい500万円〜2,000万円くらいが多いでしょうか。その投資により、だいたい5〜8%くらいのシェアを取る形にしています。より大きな額を調達したいという場合は、一緒に他の投資家を探すこともしていますね。</p><p><strong>岩田:</strong>その起業家の足りないところをサポートしてもらえそうだなと思った場合は、「こういう会社に投資しようと思っているんですけど、ご一緒にいかがですか?」と他の投資家にお声がけすることはありますね。投資家にもそれぞれ得意分野があるので。</p><p><strong>布田:</strong>また、特にシードラウンドの場合は、起業家自身が自分の会社やプロダクトの価値がよくわからないということが多いですね。</p><p>――そうですね。今これを読まれている方の中にも、「500万円〜2,000万円って多いの?少ないの?」と疑問に思っていらっしゃる方もいるかもしれませんね。</p><p><strong>布田:</strong>バリュエーションがわからなくても特に問題ありません。「わからない」と言っていただけるほうが、むしろディスカッションしやすい面もあります。現在持っている数字、例えばユーザー数などを出してもらえれば、こちらから「だいたいこれくらい」という話もできますので。</p><p><strong>岩田:</strong>投資家は怖いと思っている人もいるかもしれませんけど(笑)、我々はかなりオネストにやっていると思っています。本当に適正だと考える投資額、バリュエーションを提示するようにしています。ただ一つの投資家の話だけしか聞かないのは、起業家にとってはリスクが高いですから、他の投資家もたくさん回るよう勧めています。</p><p>――そうして、MIRAISEチームの回答が本当に妥当なのかどうか、確かめてくださいということですね。</p><p><strong>岩田:</strong>VCにはそれぞれ強みがありますが、我々は、起業家をきちんとサポートできるプラットフォームを持っているということにけっこう自信を持っています。長いお付き合いになるので、投資額やバリュエーションについてはもちろんのこと、今後どのように成長していきたいかといった話も、しっかりとディスカッションして、お互いに納得できることを大事にしています。</p><p></p><h2><strong>大切なのは「テクノロジーで社会課題を解決する」意志</strong></h2><div class="img-container"><img src="https://cdn.qurate.cloud/2021/01/08/15/30/54/52951359-ecf4-4f56-9040-0f68b045a267/radio11_04.png" link_href="" link_target=""></div><p>――お二人とも起業の経験がおありなので、起業家視点から相談に乗っていただけるというのも心強い点ですね。最後に、投資対象となる起業家の資質や、どんなエンジニア起業家に投資していきたいかについて、聞かせていただけますか?</p><p><strong>岩田:</strong>対象は、エンジニア起業家の中でもソフトウェアエンジニア、プログラマーに限定しています。社長自身がエンジニアの場合はもちろんですが、共同創業者の中にエンジニアがいてCTOをしており、CEOと同等程度の株を持っている会社であれば、投資対象になります。</p><p>日本では、CTOで共同創業メンバーとなっていても株を5%しか持っていないようなケースも散見されます。それではCTOの意見も通りにくいでしょうし、我々が期待しているエンジニア発想のソリューションにはなかなか発展していきません。ですから、エンジニアがシェアを十分持っているかどうかは大事ですね。</p><p>――エンジニアのレベルという点ではいかがですか?</p><p><strong>岩田:</strong>エンジニアにしか投資しないというと、何だかすごいエンジニアじゃないとダメなのかなと思われるかもしれませんが、そんなことはまったくありません。これまでには、1年くらいしかエンジニア経験のない人に投資をしたこともあります。レベルや能力云々よりは、テクノロジーが好きで、精通しており、テクノロジーを活用して社会課題を解決しようという強い意志を持っているかどうかを重視しています。</p><p><strong>布田:</strong>あとは、プロダクトのデザインや使いやすさなども、トータルで見ています。</p><p><strong>岩田:</strong>起業家とのコミュニケーションも重要視しています。我々とのメールのやり取りが遅かったり、大事な情報が伝えられてなかったりなど、コミュニケーションがうまくいかないと、お客様、パートナー、ユーザーとのやりとりにおいてもそうなのではないかという懸念を持ってしまいます。我々に限らず、投資家はしっかりとそういうところを見ているので、その点は気をつけておいたほうがいいと思います。</p><p>頑固さは意思の強さという意味で起業家の資質のひとつではありますが、その一方で独りよがりになりすぎていたり、あまりにも描くビジョンが大きすぎたりすると、なかなか実際のソリューションにはならないケースもよくあります。VCとして起業家との相性も大事なので、最近は投資検討に至るまでのディスカッションが長くなっていることが多いですね。</p><p>――起業家には投資家を選ぶ権利もあるので、いろんな方の意見を聞きながら、納得できる相手を見つけてほしいですよね。</p><p><strong>岩田:</strong>ぜひそうしてほしいと思いますね。</p><p><strong>布田:</strong>MIRAISEの投資基準もアップデートされることがけっこうありますから。</p><p><strong>岩田:</strong>今日喋ってることが変わるかもしれない(笑)。MIRAISEチームでは日々「このケースはこうしたほうがよかったよね」「次からはこうしよう」などといったディスカッションを本当に頻繁にしているので、投資手法やサポート体制はどんどん洗練されていくと思います。</p><p>――ぜひ、そういった内容は今後もお伝えしていきたいですね。MIRAISEの投資基準について伺ってきましたが、エンジニアであり、まだプロダクトがなかったとしても、ワクワクするアイデアさえ思いつけば、相談に乗っていただけるということがわかりました。最初の方でご紹介した起業支援プログラム『On-Deck』もありますで「実はかなりハードルが低いのかも?」と感じた方もいらっしゃると思います。少しでもMIRAISEに興味をお持ちいただけたら、ぜひMIRAISEのサイトも覗いてみていただきたいです。</p><p><br>◆ MIRAISE Webサイトは<a href="https://www.miraise.vc/"><u>こちら</u></a><u><br></u>◆MIRAISE - On-Deckについては<a href="https://www.miraise.vc/program"><u>こちら</u></a><u><br></u>◆MIRAISE RADIO - <a href="https://www.youtube.com/watch?v=Jv4c-IwWvVk"><u>#03. MIRAISE | On-Deckプログラムとは</u></a></p><p><br></p><p><br></p>
<div class="iframe-container width-set height-set dimensions-set" data-width="100%" data-height="232px" data-src="https://open.spotify.com/embed-podcast/episode/3YTNV1ICvH6WZ5tsMSckY9"><iframe class="" style="" data-embed-type="generic" data-original-link="&amp;#60;iframe src=&quot;https://open.spotify.com/embed-podcast/episode/3YTNV1ICvH6WZ5tsMSckY9&quot; width=&quot;100%&quot; height=&quot;232&quot; frameborder=&quot;0&quot; allowtransparency=&quot;true&quot; allow=&quot;encrypted-media&quot;&amp;#62;&amp;#60;/iframe&amp;#62;" src="https://open.spotify.com/embed-podcast/episode/3YTNV1ICvH6WZ5tsMSckY9" width="100%" height="232px" frameborder="0" allowfullscreen="true"></iframe></div><p>MIRAISEでは、課題解決に挑むエンジニア起業家の生の声をお届けするラジオ番組「<a href="https://www.youtube.com/channel/UCV4Ju4OHLYp-2we7vLxWtTg/videos"><u>MIRAISE RADIO</u></a>」を配信しています。こちらのブログでは、「読む MIRAISE RADIO」として、起業家たちのストーリーをラジオの雰囲気そのままにお伝えしていきます。</p><p>● スピーカー|pickupon株式会社 代表取締役 小幡 洋一<br>● MC|MIRAISE CEO 岩田 真一 / PR 蓑口 恵美</p><p></p><p>”お客さまの声”を、社内でなかなかわかってもらえない――。ビジネスマンであれば、誰もが一度は経験したいことのある悩みではないでしょうか。</p><p>AIを搭載したクラウドIP電話サービス『<a href="https://service.pickupon.io/"><u>pickupon</u></a>』は、”お客さまの声”を社内で簡単に共有できるサービスです。顧客が何に悩み、何を望んでいるのか…そうした声を共有できるテクノロジーを生み出すことで、さまざまなコミュニケーション上の課題解決、さらには社内イノベーションに挑む pickupon株式会社代表の小幡洋一さんにお話を伺いました。</p><p></p><h2><strong>ブラックボックス化する"お客さまの声"</strong></h2><p>――まず、現在展開されている事業についてお話しいただけますか?</p><p><strong>小幡:</strong>僕たちがやっている事業は、AIを搭載したクラウドIP電話『pickupon』の提供です。『pickupon』を使うと、電話で話した内容の要点をAIが自動で入力し、社内で簡単に共有することができます。</p><p><strong>岩田:</strong>主なユーザーはどういった方ですか?</p><p><strong>小幡:</strong>現状では、SaaSのプロダクトを売っていてインサイドセールスチームがあるような、いわゆるスタートアップ企業を中心に導入が進んでいます。ただ、「お客さまの声の共有」という課題には汎用性があるので、スタートアップやIT系でなくても、電話営業をして商談にも行くような会社なら、どこでも便利に使っていただくことができます。</p><p>――現在のユーザー像について、もう少し詳しく教えていただけますか?</p><p><strong>小幡:</strong>スタートアップの成長ステージでいうと「シリーズA」を過ぎたくらいの企業が多いでしょうか。会社全体では30名以上の規模になってきていて、どんどんスケールしていくフェーズですね。そのくらいの規模になってくると、リード(問い合わせ、資料請求等)もたくさん入ってくるようになり、インサイドセールスが必要になってきます。でも、インサイドセールスを置いたはいいけれど、電話で話したやりとりがブラックボックス化してしまっていて活用できていないという企業がたくさんあるのです。そうした企業を中心に使っていただいていますね。</p><p>――ところで、「インサイドセールス」とは何でしょうか?</p><p><strong>小幡:</strong>いわゆる電話営業です。Webから問い合わせたり、資料をダウンロードしたりした方に電話をして、なぜ興味を持ってくれたのか、導入意向はどれくらいあるのかといった内容をヒアリングする…といった感じです。そのヒアリング内容を元にリードの順位付けをして、商談に入ると決めたらクロージングを担当する営業へとパスするというのが、よくある営業フローです。</p><p>――知らない分野だと、何がわからないかもわからない、調べる単語もわからなくて検索もできない、ということは多いですよね。</p><p><strong>岩田:</strong>「シリーズA」くらいになってくると、顧客管理システム、いわゆるCRMを導入しているところが多いと思います。電話してCRMに登録して管理をしていくという流れになるのですが、その中でのユーザーのペインポイント(悩みの種)を解決しようと作ったのが『pickupon』ですよね。ユーザーの「悩みの種」とは、具体的にどんなことだったのでしょうか?</p><p><strong>小幡:</strong>もっとも大きな問題は、電話で話した内容というのは、情報としてすごくシェアしにくいということです。会議なんかもそうだと思いますが、話した内容を共有する方法は、議事録のようにテキスト化する方法と、録音してシェアする方法、大きく分けてその2パターンしかありません。でも、テキスト化は入力コストがかかるし、主観が入る二次情報となってしまいます。一方で、録音されたデータは構造化されていないので、30分なら30分最初から最後まで聞かなくてはいけない。時間に縛られてしまうんですね。</p><p>つまり、シェアする方法はどちらも一長一短で、どうしてもお客さまとの会話は共有されにくいという状況がありました。そのことをユーザーインタビューを通じて発見し、解決を目指そうと思ったのです。</p><p></p><h2><strong>CRM入力に年間330時間・82万円のコストがかかっている</strong></h2><div class="limited-width " style=""><div class="img-container"><img src="https://cdn.qurate.cloud/2020/10/22/16/26/35/f0d38497-32bd-419a-aa4a-2af504935ae8/radio10_pickupon_01.png" link_href="" link_target=""></div></div><p><strong>岩田:</strong>インサイドセールスの人たちは、毎日大量の営業電話をしているわけですよね。電話1件終わるごとにCRMに会社名を入れ、会話のポイントを書き込み、担当者などいろいろチェックを入れて…かなりの手間ですよね。そもそも二次情報になってしまうということ以前に、入力コストは非常に大きいのではと思います。実際に、CRMなどへの入力にどれくらいの時間を使っているのでしょうか?</p><p><strong>小幡:</strong>実際にインタビューをした実例なのですが、従業員数300名くらいの会社のセールス部門では、1日のうち1.25時間くらいをセールスフォースへの入力に使っていました。年間で考えると、何十日にもなるんですよね。</p><p><strong>岩田:</strong>僕は長く外資系に勤めていたので、日本で普及する前からCRMを使っていました。必ず入力するようにって言われるんですけど、つい忘れちゃうんですよね(笑)。そのための時間を、自分のスケジュールに入れていなくて。結局それは残業してやることになっちゃうんですよね、ひとりでできることだから。確かに負担を感じていたなと思います。</p><p><strong>小幡:</strong>僕たちのリサーチでは、年間で約330時間、1日のうち17%をCRMなどへの入力に使っているという結果が出ました。時給換算すると、一人あたり年間82万円のコストをかけているという計算です。インサイドセールス10人だと、1年で820万円分を入力作業だけに使っているということですね。</p><p><strong>岩田:</strong>入力すること自体には何の価値もないですからね。</p><p>――たまに、入力されたものもその人にしか分からないようなメモっぽくなっていることもありますよね。お客さんの思いなんかは全部端折られてしまって…。すごく簡単なメモしか残っていなくて、「これどういうこと?」と思った経験は私にもあります。</p><p><strong>小幡:</strong>入力コストがかかると、共有される情報がどうしても少なくなって頭打ちになってきてしまうので、次の施策が打てなかったり、正しいフィードバックがされなくなってしまったりします。そして、結局ブラックボックス化してしまうという…。</p><p><strong>岩田:</strong>『pickupon』を導入すると、そうしたコストがまるっと削減できるということですね。</p><p><strong>小幡:</strong>そのとおりです。かつ、やりとりがテキストと音声で一次情報として扱えるデータとして記録されます。完全な状態の情報を、コストほぼゼロでシェアできるようになるのです。また、『pickupon』を使うために特別なCRMは必要ありません。「セールスフォース」や「センシーズ」などの既存のCRMやSFAに対応しており、『pickupon』を入れることで入力コストを削減し、共有する情報の質と量を上げることができます。</p><p></p><h2><strong>「テキスト化」と「録音」をブリッジし、"お客様の声"データを最適化</strong></h2><div class="img-container"><img src="https://cdn.qurate.cloud/2020/10/22/16/29/11/554ef8c2-7052-4cab-9174-0a10a3cca0a5/radio10_pickupon_02.png" link_href="" link_target=""></div><p><strong>岩田:</strong>実際に『pickupon』でデータがどのように蓄積され、どのように使われるのかという想定と、事例があれば教えていただけますか?</p><p><strong>小野:</strong>まずお客さまと電話で会話し、電話を切ると、自動的に音声データが録音されます。次にその音声データを解析してテキスト化し、メタ情報を付与します。具体的には、お客さまの発言の中で、困っていたり怒っていたりするセンテンスをテキスト化し、ピックアップします。そして、さらに重要箇所をサマライズした情報、つまりメタ情報を付与したテキストと音声データをまとめた「かたまり」をまず作るんですね。その後、サマライズされた重要な情報をCRMやSFAに自動的に連携します。</p><p>つまり、お客さまと電話で話して切るだけで、お客さまとどんなやりとりをしたのかというのが自動的に蓄積されていくのです。一人あたり年間82万円、業務時間のうち17%もかけてやっていた作業が、一瞬で終わる。お客さまとは直接話さない管理職の方でも、CRMやSFAにどんどん一次情報が録音も含めて残っていくので、それらを完全な状態で確認することができます。しかも、ヒアリングされたデータだけとか、お客さまが怒ってしまったコールだけとか、ソートをかけて調べることもできます。</p><p><strong>岩田:</strong>1時間の会話を、最初から1時間かけて聞かなくても、システム上でフラグやマークがついているところだけに絞って聞けたり、テキスト化されたものを見ることができるんですよね。僕がすごくいいなと思っているのが、実際のお客さまとの声でのやり取りが聞けることです。二次情報ではない形で、かつ効率よく、直接話を聞いた人だけが感じ取れるニュアンスも含めて理解できるのはいいなと。</p><p><strong>小幡:</strong>なぜ”お客さまの声”のブラックボックス化が起きてしまったのかというと、テキスト化して共有するのも、音声データとして残すのも、両方「イケてない」からです。僕たちがやっていることは、それぞれ一長一短ある2つの方法をブリッジさせるということ。そうすると、一次情報の知りたい部分だけが一瞬で分かる、みたいな世界が実現できるのです。僕たちはそれを「第三のメディアを作る」と言っているのですが、テキスト化だけではダメ、音声だけでも使えない…それらを組み合わせてデータ化することに意味があると思っています。</p><p></p><h2><strong>『pickupon』は、コミュニケーションを活性化させるチームワーキングツール</strong></h2><p><strong>岩田:</strong>僕は、『pickupon』は基本的にチームワーキングツールだと思っています。最初に小幡さんにお話を伺う前は、よくあるインサイドセールスのSaaSみたいなものかなと思ったのですが、聞いているうちにそうではないな、と。これは、売上を伸ばすことを目的としたセールスツールという枠に留まらない、チームワーキングのツールだという印象を受けたんですね。実際、その点が出資させていただきたいなと思った大きな理由でもあります。</p><p><strong>小幡:</strong>僕のバックグラウンドは営業ではないので「なぜ営業の人たちが使うツールを作っているんですか?」とよく聞かれます。僕はビジネスをしていくうえで、事業やプロダクトを良くしていくことが重要だと思っています。顧客と開発者が接点を持つことはなかなか難しいのですが、良い事業・プロダクトを作っていくためには、顧客の声というのがどう考えても大切です。</p><p>しかし、そうした”声”は顧客と実際にやり取りしている営業担当のところで止まってしまっていることが、ユーザーインタビューを通じてわかってきました。そこで、顧客との接点になる営業領域、事業にとってのインターフェースになる部分にまず『pickupon』を入れて、顧客からの反応やフィードバックをチーム内にどんどん共有していく。そうすると、経営者も顧客の声を直接聞けますし、開発チームもSlackなどを通じて顧客の思いを知ることができます。それによって、開発の優先順位が変わったり、営業チームとのコミュニケーションが非常に良くなったりするのです。</p><p>開発の人と営業の人は使っている言葉がけっこう違うと感じているのですが、そのためにうまくコミュニケーションが取れていないことって多いと思うのです。営業が「お客さんからこういう要望が上がってるんだけど」と言っても、それは二次情報であり、どういう背景でそういう声が出てきたのかよくわからないし、そもそも営業の主観が入ってねじ曲がっていることもあります。でも、『pickupon』を使えば、開発側も一次情報である顧客の生の声を聞いて、「こういう課題があるのか」「こういう機能を実装したらいいんだ」と気づき、自ら最適なアクションを起こしてくれる。そういう世界が、『pickupon』を使うことで実現できるのです。</p><p><strong>岩田:</strong>僕も、それこそが『pickupon』の価値だと思います。僕も開発と営業の間に立つことが多かったので、すごくよくわかります。どの組織でも、営業と開発のコミュニケーションは大きな課題のひとつですよね。開発チームは、営業から上がってきたものをあまり信じていない。「それって本当にお客さまが言ってたの?」と疑っているんですよね。営業に言われて作ったけどやっぱり使わない…そんなことが何回か起きるとやる気を失うし、不信感も募ります。</p><p>営業の伝え方や、そもそものヒアリングが間違っていることもあります。例えば、営業が「3つの問題があるから、3つの機能を作ってください」と伝えた内容も、開発側が顧客の生の声を聞いてみると、実は1つの機能で解決できるということもある。顧客の切実なリクエストを聞くと、開発としてはやる気も湧きますよね。</p><p>――最後に、pickupon、そして小幡さんがこれから目指していることについてお聞かせいただけますか?</p><p><strong>小幡:</strong>「体験が共有可能な世界」を僕たちは作ろうと思っています。お客さまとの会話を僕たちは「体験」と呼んでいて、それがデータとして扱えれば、コミュニケーションが活性化し、けっこうすべてがうまくいくようになる。先ほど「第三のメディアを作る」という話をしましたが、これはメディアの問題なのです。何をどのようにして情報を扱うか。それは、テクノロジーで解決すべき問題です。僕たちは、それを解決するための挑戦を続けていきます。</p><p><br>◆ 『<a href="https://service.pickupon.io/"><u>pickupon</u></a>』<br>◆ MIRAISE RADIOの音源は<a href="https://anchor.fm/miraise/episodes/01--MIRAISE-edj94e"><u>こちら</u></a>から</p>
<p>MIRAISEでは、課題解決に挑むエンジニア起業家の生の声をお届けするラジオ番組「<a href="https://www.youtube.com/channel/UCV4Ju4OHLYp-2we7vLxWtTg/videos"><u>MIRAISE RADIO</u></a>」の配信をスタートしました。こちらのブログでは、「読む MIRAISE RADIO」として、起業家たちのストーリーをラジオの雰囲気そのままにお伝えしていきます。</p><p>● スピーカー: 株式会社HAB&amp;Co. 代表取締役 森 祐太<br>● MC: MIRAISE Partner 岩田 真一 / PR 蓑口 恵美 </p><div class="limited-width " style=""><div class="iframe-container width-set height-set dimensions-set" data-width="100%" data-height="232px" data-src="https://open.spotify.com/embed-podcast/episode/0h53SSKki6pLucEkK0TiXA"><iframe class="" style="" data-embed-type="generic" data-original-link="&amp;#60;iframe src=&quot;https://open.spotify.com/embed-podcast/episode/0h53SSKki6pLucEkK0TiXA&quot; width=&quot;100%&quot; height=&quot;232&quot; frameborder=&quot;0&quot; allowtransparency=&quot;true&quot; allow=&quot;encrypted-media&quot;&amp;#62;&amp;#60;/iframe&amp;#62;" src="https://open.spotify.com/embed-podcast/episode/0h53SSKki6pLucEkK0TiXA" width="100%" height="232px" frameborder="0" allowfullscreen="true"></iframe></div><hr><p></p><p>「人材獲得競争時代」が到来したといわれる現在。多くの人はスマホやPCから求人を探します。しかし、中小企業の多くはネットを利用した採用活動に慣れておらず、従来と変わらずハローワークに求人票を出し続けています。<br></p></div><p>全国で起こっているこうしたミスマッチを解決しようとしているのが、大分に拠点を置くHRTechのスタートアップ、株式会社HAB&amp;Co.(ハブアンドコー)です。</p><p>同社は、ハローワークの求人票から採用サイトを手軽に作れるサービス『<a href="https://shiraha.work/">SHIRAHA WORK</a>』(シラハワーク)を今年7月に正式リリースしました。その立ち上げ背景や、代表の森さんが起業したきっかけなどについて、じっくりお話を伺いました。</p><div class="img-container"><img src="https://cdn.qurate.cloud/2020/10/13/16/12/25/d6364a52-6074-40f2-a31d-99174ecb7bc5/hab-comember2.png" link_href="" link_target=""></div><p></p><div class="limited-img h2 additionalClassesSet " style=""><p><strong>中小企業と求職者のミスマッチを解決したい</strong></p></div><p>――まず最初に、HAB&amp;Co.が現在提供されているサービスについてお話しいただけますか?</p><p><strong>森:</strong>HAB&amp;Co.は、2017年に創業したスタートアップで、HRTechをベースとした自社サービス・コワーキングスペースの運営・クライアントワークの3つの軸で事業を行っています。</p><p>HRTechサービス『SHIRAHA』(シラハ)は、人材採用サイトやオウンドメディアを手軽に開設・運用できるサービスです。従来あるような複雑なアプリケーションと違って、業種や地域、採用したい人物像などをAIにより分析し、エンジニアの人に依頼しなくてもノーコードでサイトを立ち上げることができます。</p><p>求職者の応募管理、コンテンツの変更や編集などを総称してATSと呼びますが、『SHIRAHA』は中小企業担当者でも簡単に使えるATSをセットで提供しています。オウンドメディアでのリクルーティングから始まり、求職者へのリード獲得、応募・面接、採用までの一連の流れをシームレスにサポートできる形となっているのです。</p><p>――中小企業での採用活動の課題解決に挑戦されているということですね。また、新たにハローワークのAPIと連携したサービスをリリースしたと伺っていますが、こちらは実際にどのような中小企業を想定し、どういった課題を解決しようと開発されたのでしょうか?</p><p><strong>森:</strong>この7月リリースしたのは、先行サービス『SHIRAHA』からスピンオフした『SHIRAHA WORK』というサービスです。日本にある企業数は約420万社といわれていますが、そのうち99%が中小企業に分類されます。その中小企業の半数以上が、採用活動にハローワークを使っているというデータがあります。特に地方ではその傾向が特に顕著で、ほとんどの企業がハローワークを使っているのが実情です。</p><p>しかし、昨今の求職者が情報を得るのはスマホからがメインであり、ハローワークを利用している企業と求職者とのミスマッチがかなり起こっているのではと感じていました。企業側は、募集をかけてもなかなかいい人が来ないと悩む。求職者は、ハローワークの求人票で見た企業について調べようとググっても、採用サイトなどはなく、より深い情報が得られない。私自身も、Uターンする際に求職者として同じような体験をしました。それが原体験となっていて、そうしたミスマッチを解決したいと思ったのがサービス開発のきっかけです。</p><div class="img-container"><img src="https://cdn.qurate.cloud/2020/10/13/16/11/57/52ee2160-c782-4d9d-bf7c-39108edc7d54/hab-codot.jpg" link_href="" link_target=""></div><p>ーーIT業界なんかだと、オウンドメディアを持っていたり、充実した採用サイトがあったりするのが当たり前という感じがありますが…中小企業ではそこまで手が回らないというか、そういうことがそもそもできないという企業は多そうですね。</p><p><strong>岩田:</strong>中小企業ではIT専任者を置くこともなかなか難しいと思いますし、採用サイトがない、それ以前に自社サイトがない、ということもあると思います。中には「いい人材を獲得するには採用サイトが必要」と、課題として認識している企業はあると思いますが、そもそも、何が原因で採用ができていないか気づいていない企業も多いのではないでしょうか。森さんが営業活動をする中で、そうした点についてどのように感じてきましたか?</p><p><strong>森:</strong>まだ人材難ではなかった時代は、大量の母集団があって、その中に一定の確率でいい人がいると考えられていて、採用活動にそれほど工夫は必要なかったのだと思います。しかし現在、特に地方では人口流出や人口減が激しく、「大量の母集団」というものはもはや存在しません。</p><p>しかし、企業側が旧態依然のやり方から未だに抜けきれていない。「求職者ファースト」になっていない採用活動をしている企業が大多数であるというのは、本当に肌身を持って感じているところですね。</p><p></p><div class="limited-img h2 additionalClassesSet " style=""><p><strong>ハローワークのAPIと連携、手軽に採用サイトが作れる『SHIRAHA WORK』</strong></p></div><div class="img-container"><img src="https://cdn.qurate.cloud/2020/10/13/16/12/15/d5c3bcb9-cff2-47fa-bbb6-496ba9ac8c4c/hab-coimg_4475.jpg" link_href="" link_target=""></div><p>――では、新たにリリースした『SHIRAHA WORK』は、具体的にどのようなサービスなのでしょうか?</p><p><strong>森:</strong>『SHIRAHA WORK』は、日本で初めてハローワークのAPIと連携したサービスです。全国のハローワークを利用している企業は必ず求人番号というものを持っているのですが、その番号を入力するだけで、API経由でハローワークから情報が取得され、自動的にサイトが作れるというサービスです。</p><p>――採用サイトを作ろうと思うと、まずサイトを立ち上げて記事をいろいろと書いて…と、やらなければいけないことは非常に多いですよね。でも『SHIRAHA WORK』なら、ハローワークに求人票を出していれば、その番号を入れるだけで情報が連携されてサイトが勝手にできてしまう、という感じなのですね。実際に、どれくらいの手間が省けるのでしょうか?</p><p><strong>森:</strong>普通にサイト立ち上げやデザインをスクラッチで作ろうとすると、やはり時間はかかりますし、お金も最低でも数十万レベルでかかってきます。SaaSである『SHIRAHA』なら、インターネット上から完全ノーコードでサイトを作れるようになります。お金の面では、初期費用無料で月額9,800円からスタートできる料金モデルとなっているので、一般的な手法と比べると、サイトを作るまでの時間は圧倒的に短いですし、コストも数十万、数百万の単位でカットできるので、多くの企業の方々に期待していただいている状況です。</p><p><strong>岩田:</strong>採用プロセスについても、フローがきちっとしていない企業もあると思うんですよね。応募が来たらどうフォローアップするか、応募者ごとの選考状況の管理とか、そういったことが決まっていないと、採用サイトは作れてもその後の管理が大変になってしまいます。その点、『SHIRAHA』は採用サイトを作るだけではなく、採用プロセスの管理機能もついているというところが実は大きいのではないかと思います。</p><p><strong>森:</strong>本当にそのとおりで、採用サイトを作ったからといってそれで全然終わりではなく、むしろスタートなんですよね。『SHIRAHA』では、求人を出したあとの管理や、採用活動プロセスの効率化をシステムで支えることができるようになっています。中小企業では、選任の人事担当者を置いていないところもたくさんありますから、テクノロジーの力でマンパワーを極力減らしつつ、全体を効率化できるようなプロダクトを目指しました。</p><p><strong>岩田:</strong>ITに強くない中小企業側が若い人の採用に苦戦する一方、若者側は基本的に最初はネットを使ってサーチする…お互いすごく遠い地点からアプローチが始まっているんですよね。HAB&amp;Co.のサービスは、そこを繋いでいくものだと思っています。</p><p>――私は富山出身なのですが、地元の経営者さんからよく「若い人いない?」「いい人いない?」と聞かれるんですよね。でもホームページを見たら、採用情報すら載っていないみたいな…。そういう企業がたくさん思い浮かぶので、ぜひ『SHIRAHA』『SHIRAHA WORK』を知っていただきたいなと改めて思いました。</p><div class="h2 additionalClassesSet " style=""><p><strong>父親の倒産、高校生へのキャリア教育の経験がミッションの土台に</strong></p></div><div class="img-container"><img src="https://cdn.qurate.cloud/2020/10/13/16/12/42/cd89c0c6-7054-40fc-aef3-f2ad7a65046f/055a.png" link_href="" link_target=""></div><p>――森さんのご経歴を拝見すると、すごくユニークだなと思うのですが…起業背景についてお聞かせいただけますか?</p><p><strong>森:</strong>曽祖父は画家、祖父は美術商、そして父親が建設業を営んでいたりと、芸術や起業が身近な家に生まれました。起業のきっかけとしては、今振り返ると、父親の影響が大きいなと思っています。バブル景気の頃からしばらくは地域でもすごく景気が良くて、元気がいい時代で、父も羽振りがよかった。僕は小さい頃から野球をしていたのですが、誰よりもいいグローブやスパイクを買ってもらうなど、何不自由なく育ててもらっていました。</p><p>しかし時代が変わっていく中で、僕が大学生の頃に父の会社が5,000万円の借金を残して倒産しました。父は一昨年亡くなってしまったのですが、家族で一緒になって最近までその借金を返し続けていたのです。良くも悪くも父の背中を見て育って、倒産まで見たということが、今となっては逆に良かったのかなと感じています。成功している経営者の中には、実は同じような経験をしている方も多いですし、なかなか人が経験しないことができたのかなと。</p><p>――一度は大分から出られたのですよね。</p><p><strong>森:</strong>地方から外に出てみたい気持ちはやはりあったので…。でも26歳の時、長男なんだから帰って来いと言われまして。地方ではよくあることですね(笑)。それでUターンした時に、先にお話ししたように仕事探しで苦労したりもしましたが、縁あって高校生のキャリア教育に携わることになりました。</p><p>その高校は、発達障害や身体の障害を持つ生徒がたくさんいる私立校でした。障害などの特性みたいなものに対して、これまでの自分は単純にかわいそうだなと思っていたのですが、実際に進路指導をする中で、キャリアというのはレールに沿ったものではないと感じるようになりました。生徒たちの指導を通して、人それぞれの生き方や働き方、思いを大切にした支援をしていきたいという思いが強くなり、今HRTechをやっているのだと思います。</p><p>――HRTechの事業だけではなく、コワーキングスペースの運営や、大分の中小企業に貢献するような活動を広くやられているのはなぜかな、と思っていたのですが…家族の経験、これまでのお仕事の経験の延長に今の事業の数々があるのですね。</p><p><strong>岩田:</strong>森さんのお父さんのお話は、僕も今初めて伺いました。森さんが言うとおり、優秀な経営者で、実は大きな挫折や失敗経験を持っているという人は、僕の周りにもけっこういますね。</p><p>業界を見渡して「あ、ここ空いてるから儲かりそうだな」と起業する人もいますが、MIRAISEはそういう人には投資はしません。起業家が持つミッションこそが大事だと考えていて、そのミッションを実現するためにどうテクノロジーを使うのかという点を非常に重視しています。改めて森さんのお話を伺って、改めてそのミッションへの想いの強さを感じました。</p><p><strong>森:</strong>そんなMIRAISEさんだからこそ、支援をお願いしたいと思ったのです。ミッションを実現するためにビジネスをどうやっていくのか、そして、始めたことをどうスケールアップさせていくのか、そうしたことも一緒に考えてくれて…。まず想いを第一に考えてくだっているということを、お話しさせていただく中で確信したのです。今回『SHIRAHA WORK』のプレスリリースを出す時も、本当に親身になっていただきました。</p><p>――今、岩田さんと私はオンラインの画面越しに、すごく笑顔になっています(笑)。MIRAISEとして、そう言っていただけるのは本当に嬉しいことです。さまざまな経験を経て、強い想いを胸に地元大分でHRTechに取り組む森さん、そしてHAB&amp;Co.の今後の展開が楽しみです!</p><p>◆ <a href="https://hab-co.jp/"><u>株式会社HAB&amp;Co.</u></a><u><br></u>◆『<a href="https://shiraha.jp/"><u>SHIRAHA</u></a>』<u><br></u>◆『<a href="https://shiraha.work/"><u>SHIRAHA WORK</u></a>』</p>
<p>MIRAISEでは、課題解決に挑むエンジニア起業家の生の声をお届けするラジオ番組「<a href="https://www.youtube.com/channel/UCV4Ju4OHLYp-2we7vLxWtTg/videos"><u>MIRAISE RADIO</u></a>」の配信をスタートしました。こちらのブログでは、「読む MIRAISE RADIO」として、起業家たちのストーリーをラジオの雰囲気そのままにお伝えしていきます。</p><div class="iframe-container width-set height-set dimensions-set" data-width="100%" data-height="232px" data-src="https://open.spotify.com/embed-podcast/episode/3XHfV66CYFWcgsphFwrfJg"><iframe class="" style="" data-embed-type="generic" data-original-link="&amp;#60;iframe src=&quot;https://open.spotify.com/embed-podcast/episode/3XHfV66CYFWcgsphFwrfJg&quot; width=&quot;100%&quot; height=&quot;232&quot; frameborder=&quot;0&quot; allowtransparency=&quot;true&quot; allow=&quot;encrypted-media&quot;&amp;#62;&amp;#60;/iframe&amp;#62;" src="https://open.spotify.com/embed-podcast/episode/3XHfV66CYFWcgsphFwrfJg" width="100%" height="232px" frameborder="0" allowfullscreen="true"></iframe></div><p>● スピーカー|Manifold株式会社 CEO 森 雄大 / CTO 小野 修平<br>● MC|MIRAISE Venture Partner 布田 隆介 / PR 蓑口 恵美</p><hr><p>情報があふれる今、検索エンジンやニュースアプリ、SNSタイムラインは使い込めば使い込むほど、「自分の関心の外にあるようで、実は潜在的に自分が欲しいと思っているかもしれない情報」の入手できなくなることに課題を見出した起業家がいます。</p><p>「知らないことに出会える楽しみをつくりたい」と、セレンディピティのアルゴリズムを開発するManifold株式会社の CEO 森雄大・COO 小野修平さんは、”検索しない検索エンジン”『entren』の提供をスタートしました。</p><p>人々の関心を広げ、知りたかった情報との出会いをつくるテクノロジーをどのように生み出したのかについて、お二人に伺っていきます。</p><div class="img-container"><img src="https://cdn.qurate.cloud/2020/03/27/20/00/51/b73a04df-28c2-4902-b36f-5bc15535fe9b/manifold-team.jpg" link_href="" link_target=""></div><p></p><h2><strong>“Like”によるレコメンドは、世界を狭めてしまう</strong></h2><p>――まず、現在提供されているサービス『entren』(エントレン)についてお話しいただけますか?</p><p><strong>森:</strong>既存のニュースアプリや検索サービスは、ユーザーの閲覧履歴からレコメンドをするというものが多いと思います。僕たちは、そのレコメンドに疑問を持ちました。レコメンドによる最適化が進むと、どんどん興味の幅が狭くなっていく。本当に知りたいと思っていることに出会いにくくなるんじゃないか、という問題意識があったのです。</p><p>そこで僕たちは発想を変えて、ユーザーの”Like”ではなく”Dislike”の行動を学習しフィルタリングを行うことで、ユーザーにとっての新しい発見、セレンディピティを提供できるんじゃないかと考えました。そこで、リアルタイムで記事を”Dislike”でフィルタリングして、自分だけのタイムラインを形成できるサービス『entren』を開発しました。</p><p>――”Dislike”でフィルタリングできるというのは、あまり聞いたことがないですね。</p><p><strong>布田:</strong>例えば、Twitterだったらフォローしている人の情報しか基本的には流れませんね。ニュースサイトなら機械学習などで、自分が「いいね」したりクリックして見たりした情報から、「この人はこういう情報が欲しいんだ」と判断して、どんどんレコメンドしていくわけです。そうすると、クリックしていないし知らないけど、実は自分にすごく合っている情報というのが提供される可能性は限りなく低くなります。『entren』はこの逆の発想で、嫌いなものだけを取り除いていくことで、自然にもっと広い範囲からレコメンドしていくというサービスですね。</p><p><strong>森:</strong>当たり前のことですが「知らないことを知る」っていうのはけっこう難しいことで…例えば、僕は機械学習のエンジニアなので、その分野についてはよく調べたりしていますが、それが調べられるのは僕が機械学習の分野に詳しく、単語を知っているからなんですね。でも、これが同じ技術系でも例えばセキュリティなんかになると、どう調べればいいか、どういう単語を使って検索すればいいかまったくわからない。同じ技術系でもそうなら、離れたジャンルのことならもっとわからないはずです。</p><p><strong>小野:</strong>さらに例を出すと、森さんが実は料理に興味があるかもしれないのに、既存のサービスでは、森さんが普段検索したりクリックしたりしているものから「料理」というジャンルはレコメンドされてこないわけです。それって自ずと視野が狭くなっていき、とてももったいないことだな、と感じてまして…。自分が潜在的に興味があるかもしれないものとの偶発的な出会いというのを、Webサービス上で提供できればすごく素晴らしいなと思ったのです。そういうセレンディピティな出会いがもっと日常的にある世界になればいいなと。</p><p>――知らない分野だと、何がわからないかもわからない、調べる単語もわからなくて検索もできない、ということは多いですよね。</p><p><strong>森:</strong>既存のサービスは閲覧履歴からレコメンドしていますが、そもそも、閲覧しているからといって好きとは限らないという問題があると僕は思っています。でも、今あるサイトやサービスのほとんどは「閲覧している=好き」と判断している。今、世の中にある記事は扇動的なタイトルがつけられたものが多くあります。過激なタイトルをつけてクリックされればレコメンドされやすくなるからです。そのせいで、読みたくないけどレコメンドされる記事が増えていく…というのはあると思うんですね。そこをもうちょっとちゃんと、ユーザーの直接的な行動を捉えて適切に提示したいな、という思いがあります。</p><h2><strong>偶発的な「面白い出会い」を創出したい</strong></h2><div class="img-container"><img src="https://lh4.googleusercontent.com/foYGP_x425jyS_NZCeTHgYil8Y5nZfxdVr2AUXCCuxqQF9Z6PpgD5YGObUhl1xipDwTnuwAwQb01E9-veKZpCh0dCQ8n3XOExlf35OaX0ChkSBZTX62BXYPuBhsJUYiMvHHKCgjb" link_href="" link_target=""></div><p>――知る、調べるということに関して、勝手に関心が狭められているという状況に多くの人は気づいていないんじゃないかと思うのですが、お二人はどうして『entren』を開発しようと思ったのでしょうか?</p><p><strong>森:</strong>僕がもともとオタクなんですよね(笑)。ムダなことをいろいろ調べるのが好きな人間なので。昔から暇さえあれば2ちゃんねるやWikipediaのリンクをひたすら読み漁ってたりしてたという。例えば、実は日本の法律では首都が定まっていないという話があったりとか…。そんな面白い情報がいっぱいあるのに、レコメンドによってそうした面白いことに出会う機会が失われていき、知らないままになってしまうのは個人的にはちょっと悲しいことだなと思うのです。</p><p><strong>小野:</strong>そうした「面白い出会い」をいかに効率化して集められるか、というのが森さんの根幹にある発想です。自分の興味が広がっていく体験って、すごく楽しいし、面白いと思うんです。やはり「好き」からのレコメンドでは「あ、知らなかったけど、こんな情報あったんだ!」という偶発的な出会いはなかなか創出できない。今そういうサービスがないのであれば、自分たちで作ろうというところから始まりました。</p><p>――ところで、お二人はMIRAISEの『On-Deck』プログラムを利用した起業家第一号だと伺っておりますが、プログラムではどんなことをしてきたのでしょうか?</p><p><strong>布田:</strong>もともとは、森さんが一人で僕と岩田さんの元に来て、「こういうサービスを作りたいと思っています」と話してくれたんですよね。その時はもう、パワポとかでもなくただマークダウンのまんまのテキストだけがあって(笑)。「森さんは何をしようとしているんだ?」というところから始まって、いろいろとディスカッションしていきました。</p><p>最初の段階でいきなり大きな額の出資はなかなか難しいので、まずは共同創業者を見つけてみては、とアドバイスしました。森さんのプログラミング力は素晴らしいものだけど、会社としてやっていくとなるとものづくり以外にもやることが多いですから。で、その話をして次に会った時には、もう森さんの隣に小野さんがいたんですよね。</p><p>――そうなんですね。ところで、森さんはプログラミングのコンテストでアジア大会進出のご経験があるとか。</p><p><strong>森:</strong>はい、ACM-ICPCっていうプログラミングコンテストでアジア大会に出場しました。でも、あの大会はやればできるというものなので…。</p><p><strong>布田:</strong>いやいや、そんなことはないですよ!(笑)</p><p>――プログラマーとして輝かしい経歴をお持ちの森さんですが、やはりビジネスをするとなると、パートナーが必要ではないかとアドバイスされたのですね。そこで、「気づいたらもう横にいた」とご紹介がありました小野さんですが…。</p><p><strong>小野:</strong>僕がMIRAISEのお二人とお会いする以前から、森さんとは定期的にコミュニケーションを取っていました。最初にアイデアを聞いた時はずば抜けて面白いと思ったし、やろうとしていることも壮大で…。だから、森さんには技術に専念してもらって、それ以外のことは僕が全部やるという形で、二人でやったら面白いんじゃないかな、と考えました。</p><p>MIRAISEのお二方に僕が初めてお会いした時は、実はその場に行くまで何があるのか知りませんでした。森さんから「この日に来てもらえますか?」と言われて行ってみたら、岩田さんと布田さんがいたという…。「あの、今日はどういうあれなんですか?」みたいな感じで(笑)そこからご縁が始まって、『On-Deck』にも進ませていただいて。</p><p></p><h2><strong>プロダクト・ビジネス両面からのサポートが、創業期の大きな力に</strong></h2><div class="img-container"><img src="https://cdn.qurate.cloud/2020/09/11/13/19/42/adf50aa8-f92e-480e-bb5a-d98307dd60ce/manifold_radio_02.jpg" link_href="" link_target=""></div><p><strong>布田:</strong>森さんと小野さんの二人が揃い、それでは本格的に会社を設立してサービスを作り、伸ばしていこうということになりました。『On-Deck』は100日間のプログラムで、隔週でメンタリングを行っていきます。Manifoldがこの100日を終えて、MIRAISEと他の投資家の方々から追加で出資を受けたのが、昨年末か今年の初めくらいでしたよね。</p><p>『On-Deck』期間において、サービスは開発中で、ベータ版を作るフェーズでした。そもそもこのプロダクトにどういう価値があるのか、どんなUIがいいのか、何をしていけばいいのかなど、岩田さんも含めてずいぶん議論してきました。特定の分野に詳しい人やデザイナーを呼んだこともありましたね。</p><p><strong>小野:</strong>ベータ版がある程度形になった段階で『4c』のメンバーの方々にも使っていただいて、いろんなフィードバックをいただけたのもよかったです。先輩起業家の意見というのは、僕らにとってはとても貴重なものでした。既に起業済みで0→1プロダクト開発の難しさを実際に体感されていて、かつ技術がわかる方々からご意見をいただけたというのはすごく大きくて。その点も『On-Deck』の素晴らしいところだなと感じています。</p><p>――『4c』は、MIRAISEが出資している起業家たちのオンラインコミュニティですね。そこでベータ版を披露して、いろいろとフィードバックをいただけたと。</p><p><strong>森:</strong>あと、僕が嬉しかったのは、『On-Deck』で2週間に1回メンタリングがあるのですが、その時にピッチ資料も見ていただけたことです。僕はエンジニアなので、人への見せ方みたいなことはあまり意識したことがなくて…。改善点をいろいろと指摘していただいて、いいピッチ資料ができたことは本当によかったと思っています。</p><p><strong>布田:</strong>『On−Deck』は、100日後に次の資金調達のために投資家を回るということが、ほぼ決まっている状態でスタートします。ですから、隔週のメンタリングの半分はプロダクトについて話していますが、もう半分はひたすらピッチをしてもらっています。「ここがちょっとわからない」「これじゃ伝わらない」などと指摘をして、次回までに直してもらって…という繰り返しですね。</p><p>――「ピッチ資料」というのは事業プラン、プレゼンテーションのことですね。『On-Deck』では、それも一緒に作ってくれたということなんですね。</p><p><strong>森:</strong>ピッチ資料を作っていく中で、自分たちが本当にやりたいことは何か、強みは何かということについて見つめ直すこともできました。</p><p><strong>小野:</strong>2週間ごとのメンタリングに向けて二人で準備していくことで、メンタリング日がマイルストーンになっていました。創業の時期に自分たちが実現したいことや解決したい課題を言語化し、どう世の中に届けるのか、について納得するまで考え抜くことができたのは良かったと思っています。</p><p><strong>布田:</strong>競合や、他のサービスとの違いを見える化するためにマップにする時、そもそもの軸を何にするかということで盛り上がりましたね。『entren』は”検索しない検索サービス”で、Googleのような検索サイト的要素もあれば、Twitter的な要素もある。どういうポジショニングのプロダクトなのか?ということを、みんなでかなり考えました。</p><p></p><h2><strong>これからも「新しい出会い」を創出し、人々の世界を広げていきたい</strong></h2><p>――最後に、これから目指していることについてお聞かせいただけますか?</p><p><strong>森:</strong>7月にWeb版『entren』を公開したので、これからユーザー層を増やしていけたらいいなと思っています。僕自身、新しいことを知るのが好きなので、そうした新しいことに出会う楽しさを伝え、どんどん広げていきたいと考えています。</p><p><strong>小野:</strong>森さんが開発したセレンディピティのアルゴリズムは、現在はWeb上の最新記事からの情報収集をメイン使っているのですが、それ以外にもいろいろな領域で活用できると思っています。例えば、本屋さんに行った時に、目的の本ではないけど、偶然「これは!」という本に出会うことってありますよね。このように、本やレシピ、ネット配信番組など特定領域での偶発的な出会いにも、このアルゴリズムが活かせるのではないかと構想してます。</p><p>僕らがやりたいことは、新しいこと、知りたかったことに出会い、自分の世界や選択肢が広がっていくという体験を創出することです。これからも少しずつ、人々の世界を広げるべく、まずはプロダクト開発に努めていきたいと考えています。<br><br>◆ <a href="https://manifold.work/"><u>Manifold株式会社</u></a><u><br></u>◆「<a href="https://www.entren.io/login"><u>entren</u></a>」<u><br></u>◆ MIRAISE RADIOの音源は<a href="https://anchor.fm/miraise/episodes/09--HABCo--CEO-ehl7jv">こちら</a>から<br></p><p></p>
<p>MIRAISEでは、課題解決に挑むエンジニア起業家の生の声をお届けするラジオ番組「<a href="https://www.youtube.com/channel/UCV4Ju4OHLYp-2we7vLxWtTg/videos"><u>MIRAISE RADIO</u></a>」の配信をスタートしました。こちらのブログでは、「読む MIRAISE RADIO」として、起業家たちのストーリーをラジオの雰囲気そのままにお伝えしていきます。</p><div class="iframe-container width-set height-set dimensions-set" data-width="100%" data-height="232px" data-src="https://open.spotify.com/embed-podcast/episode/6GYcgGYBjXzRftHZODL9Tf"><iframe class="" style="" data-embed-type="generic" data-original-link="&amp;#60;iframe src=&quot;https://open.spotify.com/embed-podcast/episode/6GYcgGYBjXzRftHZODL9Tf&quot; width=&quot;100%&quot; height=&quot;232&quot; frameborder=&quot;0&quot; allowtransparency=&quot;true&quot; allow=&quot;encrypted-media&quot;&amp;#62;&amp;#60;/iframe&amp;#62;" src="https://open.spotify.com/embed-podcast/episode/6GYcgGYBjXzRftHZODL9Tf" width="100%" height="232px" frameborder="0" allowfullscreen="true"></iframe></div><p>● スピーカー: 株式会社つなげーと 代表取締役 鈴木 一郎<br>● MC: MIRAISE Partner 岩田 真一 / PR 蓑口 恵美</p><hr><p>ライフスタイルの多様化が加速する中、オンラインでもオフラインでも“安心して”人とつながれる世界を実現しようとしているのが株式会社つなげーとです。</p><p>日本で最も多くの社会人サークルを運営支援するプラットフォーム「つなげーと」を運営する代表取締役の鈴木一郎さんが、「つながり」を求める人の根源的な想いに寄り沿い、テクノロジーで安心安全な場づくりをどのように実現しようとしているのかを伺っていきます。</p><h2><strong>全国2万以上の社会人サークルが集うプラットフォーム「つなげーと」</strong></h2><div class="img-container"><img src="https://cdn.qurate.cloud/2020/09/11/12/55/24/96552db3-eeb6-43c2-af90-9316d0708473/tsunageto_radio_01.jpg" link_href="" link_target=""></div><p>――さっそくですが、つなげーとが提供しているサービスについてお話しいただけますか?</p><p><strong>鈴木:</strong>社会人向けサークルのプラットフォーム「つなげーと」を運営しています。趣味やスポーツを楽しむサークルを検索したり、メンバーを募集したりするようなサービスですね。例えば「世田谷でバドミントンをしたい」というように、希望地域✕やりたいこと、趣味などでサークルを探し、メンバー申請をして仲間になり、楽しんでもらうコミュニケーションツールです。今はリアルで活動する2万以上のサークルに登録いただいていて、国内でも最大級のプラットフォームだと自負しています。</p><p>――もう2万も登録されているんですね!</p><p><strong>鈴木:</strong>バドミントンやボルダリングの練習会など、日々さまざまなイベントを立てていただいています。ちょっと面白いものだと、鬼ごっこしよう!なんていうのもあって(笑)。</p><p>――鬼ごっこ…大人がですか?</p><p><strong>鈴木:</strong>そうです。大の大人が、公園に集まって3、4時間鬼ごっこをすると。1ゲーム10分くらいなんですが、けっこうヘトヘトになるらしいんですよね(笑)。鬼につかまった人から自己紹介するなどの工夫があって、3時間くらいそうして走り回ったあとはもうわーっとみんなが仲良くなっているのだそうです。そんなサークルもありますね。</p><p>――そのように、いろんな所で大人たちの楽しいサークル活動が行われていて、新たな出会いがあり、つながりが生まれているのですね。</p><p><strong>鈴木:</strong>そうですね。就職や転職などで知らない土地にやってきて、新しい友達を見つけたくて使ってくれるユーザーさんが多いのかなと思っています。</p><p><strong>岩田:</strong>サークルのプラットフォームみたいなものは昔からあったと思うんですけど、「つなげーと」登録サークルにはどこもちゃんとしたリーダーがいる、というのが特徴的ですね。それが「つなげーと」がここまでうまくいっている理由のひとつだと思います。</p><p>例えば先ほどの鬼ごっこのサークルだと、ただ鬼ごっこするだけじゃなくて「つかまったら自己紹介してね」とか、仲良くなるための工夫がありますよね。みんなが楽しめるように上手に仕切ることができる人がサークルを立ち上げて、メンバーを募集して、安心して集まって楽しめる。そういう仕組みを作っているのが、うまくいっている要因としていちばん大きいのではないかと思います。こうしたコミュニティ作りに対する思い入れを、さらに聞かせていただけますか?</p><p><strong>鈴木:</strong>岩田さんがおっしゃったように、「つなげーと」に登録してくれているサークルリーダーの方は本当にコミュニティに対する思いが強いですね。彼らは、自分たちの提供する場を通してみんなが仲良くなってほしいと心から思っている。サークル運営って実は本当に大変で、リーダーシップはもちろんのこと、マーケティング的素養も必要です。活動場所や集まるお店を決めたりなどの細々した作業や手配もいろいろありますし…それらを無償で、何年もやっていたりするんですよね。</p><p>――新しく入ってきた人とどう仲良くなっていくか、馴染んでもらうかということもありますよね。</p><p><strong>鈴木:</strong>そうなんです。新しいメンバーに対して「あの人にまず声をかけてもらったら打ち解けるかな」、みたいなことをいろいろと考えて試行錯誤しているんですね。そうしてコミュニティ作りのために頑張っているサークルのために、何かお手伝いできるような機能、コミュニケーションのさらなる活性化につながる機能を日々開発しています。</p><p><strong>岩田:</strong>「つなげーと」のサービスは、人は集中しているけれど関係性が薄い場所、それこそ東京のような都市部の人々に非常に刺さるんじゃないかと思っていました。新生活のために東京に出てきたけど知り合いはいない。友達が欲しいけど、趣味や気が合う人がどこにいるかわからない。安心して人と出会える場所が欲しい人は多いんじゃないかと思いますよ。</p><p>――私もかつてバスケサークルをやっていたんですけど、メンバー集めって本当に大変で…引っ越して、その活動には結局ピリオドを打ってしまいました。仲間が簡単に見つけられれば、今でも続けていたかも…と思います。このあと、「つなげーと」でバスケサークル探させていただきます(笑)</p><p><strong>鈴木:</strong>いろいろとヒアリングをしても、サークル運営においていちばん大変なのはやはりメンバー集めだとおっしゃる方が多いですね。「つなげーと」は、この点においていちばん力になれているかな、と思っています。</p><p>――そうしてリーダーの負担がどんどん減って、リーダー自身が楽しんでいる状態になると、仲間が集まりやすくなるという好循環が生まれていくんでしょうね。</p><p></p><h2><strong>逆境の中で誕生した新サービス「ツナガリ」</strong></h2><div class="img-container"><img src="https://lh3.googleusercontent.com/cwMlnD46iWtc_uOmI5J1wA2iTUN5KYW_1V85fz7KYTd3EFgTFNQu3poCVZXceDhfAwWGUkhObW2unPrRZ6a1Tx5_KNOc8yNdUTz3tGTeCsfd1IZOG_IWB4_iZqSL4Lpl3wMjo488" link_href="" link_target=""></div><p><strong>岩田:</strong>このたびのコロナウイルスの影響による自粛ムードの中で、オフラインイベントは激減してしまいました。鈴木さんも経営者として、チームとともにこの難を乗り切る中で奮闘されていることと思います。これまでずっと、リアルのサークル活動支援に力を入れてこられましたが、このタイミングでオンライン上でのサービスをリリースされましたね。好調だと伺っていますが、詳しく聞かせていただけますか?</p><p><strong>鈴木:</strong>この突然のコロナ禍で、「これはやばい!」とすごい危機感を覚えました。「つなげーと」はずっと、リアルの活動にこだわってきていました。それがこのコロナ禍の中でいちばん仇になってしまって…。そこで大きな決断をしました。「つなげーと」のユーザーが何を求めているかというと、やはり友達を作りたい、仲間が欲しいという根源的な欲求なんですね。それをオンラインでも叶えられるようにしようと、「<a href="https://tunagate.com/tunagari">ツナガリ</a>」というサービスを立ち上げたのです。</p><p>「ツナガリ」は、Zoomを使って友達をマッチングするというサービスです。異性・同性、どちらにも対応しています。コーディネーターと呼ばれる仲介人、仲人みたいな人が間に入るのが大きな特徴で、Zoomで3人で会話して、友達作りをしてもらうというものです。</p><p><strong>岩田:</strong>事前にお互いがプロフィールなどを把握していたとしても、いきなり初対面で話を続けるのはなかなか難しいですよね。コーディネーターが入ることで、「○○さんはこういうことがお好きなそうですよ」とか間を取り持ってもらえて、楽しい会話が続けられるということですね。</p><p><strong>鈴木:</strong>そうですね。やっぱり初対面の人同士がビデオチャットで話をするってけっこう緊張するものだと思います。そこでコーディネーターが、ちょっと話が盛り上がらないときにうまく話を振ってくれたりとか、またその場にいてくれるというだけでもユーザーさんにとっては安心感があるんじゃないかなと。</p><p><strong>岩田:</strong>そうした「ツナガリ」の安心感は、「つなげーと」を踏襲している感じですね。</p><p><strong>鈴木:</strong>そうですね。コーディネーターのような人を介入させるのは、ITビジネス的には非効率かもしれません。しかし、人が介在することによる温かみや安心感は、人がいない場合と比べると全然違うんじゃないかなと。まだ始めて1ヶ月半くらいなのですが、すでに40回くらい使ってくださっているリピーターの方もいて、非常にありがたく思っています。</p><p>――1ヶ月半で40回!それはすごいですね。</p><p><strong>岩田:</strong>ユーザーの満足度が非常に高いんですよね。これからも友達として仲良くしていきましょうと、連絡先の交換までに至る率も高いと聞いています。</p><p>――具体的には、どのようなテーマでユーザーさんが繋がっていくのでしょうか?</p><p><strong>鈴木:</strong>やはり趣味嗜好ですね。例えば、映画好き同士で話そうとか、スポーツ好きで集まろうとか。あとは、女子会ができるような女友達が欲しいというニーズも多いですね。</p><p></p><h2><strong>サークルリーダー経験が「起業の種」に。これからも、人と人とを繋げていく</strong></h2><div class="img-container"><img src="https://cdn.qurate.cloud/2020/09/11/12/55/39/52a601c6-7519-41dd-b265-4ba1e8cea234/tsunageto_radio_03.jpg" link_href="" link_target=""></div><p>――鈴木さんが「安心して人と繋がれる」いうテーマで起業したいと思われたきっかけについて、お話しいただけますか?</p><p><strong>鈴木:</strong>今から8年くらい前、東日本大震災のあとにコミュニティみたいなものを作りたいなと思って、ブログに毛が生えたくらいのサービスをリリースしたのが「つなげーと」の始まりです。当時、僕は吹奏楽団の団長をしていて、その楽団のコミュニケーションツールが欲しいと思ったのがきっかけでした。週1回集まって練習していたのですが、それぞれの思いを知る機会なんかは意外となくて…。そこで、Web上でチャットなどを使って意見交換できるような場を作ってみたところ、非常に盛り上がりまして。それを体験して、他のコミュニティにもこうしたニーズがあるんじゃないか、困っている人がいるんじゃないかと思い、オープン化していったのです。</p><p>――「自由に話せる」というだけだと、炎上したりなど、良くない方向に行ってしまうことも考えられますよね。</p><p><strong>鈴木:</strong>そのとおりです。ですから、プラットフォーム運営においては「安心・安全」をとても重視していて、例えば報告の機能をつけるなど、かなり気を配っています。</p><p><strong>岩田:</strong>ご自身が経験したサークルリーダーとしての目線、培ったノウハウをサービスにうまく盛り込んでいますよね。鈴木さんのように、ミッション、ビジョンが強い起業家は本当に成功確率が高いと思っています。</p><p>ちょうどMIRAISEが出資させていただいた直後くらいに、今回のコロナ禍が起きて…。そんな状況下でも、自分たちのアセットを見直し、バリューを問い直して工夫していくのはとても大事なことですよね。鈴木さんも、売上やユーザーが急減するという逆境の中で、受託案件を増やしたり、急遽オンラインサービスを立ち上げたりなど、経営者として素早い対応を見せました。「ツナガリ」は1ヶ月くらいでリリースしたサービスですよね。</p><p>それが、エンジニア起業家の強みだと思うのです。経営者自身がものを作れるというということですね。難しい状況を逆手に取り、この時期でなければできなかったようなサービスを生み出して、危機を乗り越えた。1段階ステップアップしたな、と感じています。</p><p><strong>鈴木:</strong>今回のコロナ禍は本当に災難でしたが、「つなげーと」をどうしていこうか、ということを俯瞰して見られる機会となったのは、不幸中の幸いでした。結果的にオンラインのサービスに活路を見いだせたことで、ビジネスとして何とかやっていけるという手応えを得られたと思っています。</p><p>――最後に、つなげーとが今後目指していきたいこと、考えている未来についてお聞かせいただけますか?</p><p><strong>鈴木:</strong>我々はこれまで、人と人とを繋げることにこだわりを持ってやってきました。出会いの場をさらに安心・安全なものにする、繋がりの場をもっと作っていく…そうしたことを、テクノロジーの力でこれからも追求していきたいと思っています。</p><p>◆<a href="https://tunagate.com/company">株式会社つなげーと</a><u><br></u>◆社会人サークルプラットフォーム「<a href="https://tunagate.com/">つなげーと</a>」<u><br></u>◆お見合い友達づくりサービス「<a href="https://tunagate.com/tunagari">ツナガリ</a>」<br>◆MIRAISE RADIOは<a href="https://anchor.fm/dashboard/episode/efjbke">こちら</a>から</p>
<p>MIRAISEでは、課題解決に挑むエンジニア起業家の生の声をお届けするラジオ番組「<a href="https://www.youtube.com/channel/UCV4Ju4OHLYp-2we7vLxWtTg/videos"><u>MIRAISE RADIO</u></a>」の配信をスタートしました。こちらのブログでは、「読む MIRAISE RADIO」として、起業家たちのストーリーをラジオの雰囲気そのままにお伝えしていきます。</p><div class="iframe-container width-set height-set dimensions-set" data-width="100%" data-height="232px" data-src="https://open.spotify.com/embed-podcast/episode/3yNNBbhzFqa9YPOO3A2f3H"><iframe class="" style="" data-embed-type="generic" data-original-link="&amp;#60;iframe src=&quot;https://open.spotify.com/embed-podcast/episode/3yNNBbhzFqa9YPOO3A2f3H&quot; width=&quot;100%&quot; height=&quot;232&quot; frameborder=&quot;0&quot; allowtransparency=&quot;true&quot; allow=&quot;encrypted-media&quot;&amp;#62;&amp;#60;/iframe&amp;#62;" src="https://open.spotify.com/embed-podcast/episode/3yNNBbhzFqa9YPOO3A2f3H" width="100%" height="232px" frameborder="0" allowfullscreen="true"></iframe></div><p></p><p>● スピーカー: FRAME00株式会社 CEO 原 麻由美 / CTO aggre(アグリ)<br>● MC: MIRAISE Partner 岩田 真一 /PR 蓑口 恵美</p><hr><p>みんなにとって大切なもの、でも収益化はできていない――伝統文化の維持やクリエイター活動、そしてオープンソースソフトウェア(OSS)開発など、さまざまな現場が抱えている課題です。</p><p>そうした課題の解決に向けて、ブロックチェーンを活用したクリエイター向け収益化サービス「Dev」を運営しているのがFRAME00(フレームダブルオー)株式会社です。</p><p>価値ある活動を持続させるため、新たなテクノロジーを生み出そうと挑戦を続けるCEO原麻由美さん・CTO aggreさんが目指す未来について伺っていきます。</p><h2><strong>オープン時代の課題「サステナブルな収益化」の可能性を追求</strong></h2><div class="img-container"><img src="https://cdn.qurate.cloud/2020/09/10/16/51/39/1b8eb6c5-40ce-4116-b5a3-75c1eca69308/devprotocol1--1-.png" link_href="" link_target=""></div><div class="text-center " style=""><p>(図:FRAME00提供資料より)</p></div><p>――さっそくですが、FRAME00が提供しているサービスについてお話しいただけますか?</p><p><strong>原:</strong>私たちの会社は、クリプトカレンシー、いわゆる仮想通貨に関わるテクノロジーを開発しています。クリエイターの方々のいろいろな活動…例えばソフトウェア開発や、アート作品の制作、GitHubでプロジェクトに貢献するなど、そうした活動を収益化できる仕組みづくりですね。</p><p><strong>岩田:</strong>FRAME00のようなスタートアップは、特に日本ではあまり見ないタイプですね。エンジニアのバックグラウンドを持たない方には、なかなかイメージしづらいかもしれません。</p><p>ブロックチェーンやビットコインという言葉に対しては、どちらかというと投機、FXみたいに一攫千金できるかも?というようなイメージを持つ人が多いと思います。そういう意味での日本のユーザーは実はすごく多いのですが、ほとんどの人は儲けようとしてやっているだけで、実はよく仕組みは分かっていない(笑)。</p><p>有名になったビットコインなどのベースになっているのが、昔からあるP2P(ピア・ツー・ピア)というテクノロジーと暗号を組み合わせた「ブロックチェーン」です。このブロックチェーン自体にはものすごい可能性があって、単にビットコインのような仮想通貨を作るためだけのテクノロジーではなくて、その広い概念上でいろいろなアイデアやプロジェクトが生まれてきているところなのです。</p><p>――なるほど。仮想通貨については、報道などで資産運用や投資の話題として聞かれることが多いですが、それだけでない大きな可能性があるということなんですね。</p><p><strong>aggre:</strong>僕らのサポートする対象の中にオープンソースソフトウェア(OSS)と言われるものがありますが、これ以外にも、オープンなもの、無料のものが今はすごく増えてきています。クリエイターにとって、活動がどんどんオープンに、無料になってくることは新しいクリエーションを生む循環にも繋がっていくのですが、オープンなものは、基本的にそのものからは収益を得られない。課題はシンプルに「収益化」なんですね。</p><p>そこで僕たちが作ったのが、オープンなものがオープンなままで持続的に収益化できる仕組みです。ブロックチェーンを使った、支援すること自体が資産運用になるというものです。一方的にお金を支払って終わりではなく、支払った分が運用されて利息分が増え、手元にまた戻ってくるという仕組みを作ったんです。</p><p><strong>岩田:</strong>クリエイターやオープンソース開発者一人ひとりが銀行みたいなもので、その人たちに預けるようなイメージですね。</p><p><strong>原:</strong>私たちが携わっているのはディセントラライズド・ファイナンス、またはオープン・ファイナンスと言われる分野です。ブロックチェーン上では、ユーザーが仮想通貨をスマートコントラクト(契約の締結や履行がプログラムによって自動で実行される仕組み)に預けて運用ができる。FRAME00がお金を預かるのではなく、私たちが作っている「Devプロトコル」というテクノロジーが運用するということです。</p><p></p><h2><strong>「クリエーション」を評価する仕組みをつくる</strong></h2><div class="img-container"><img src="https://lh5.googleusercontent.com/npclY9RDUpGIqomAinhFRlkF1O7hiEylRVnjmncKji4Wbm3xx3PdZo-kbc6WfPcFdn2ctilvDWia51IOUg3qVMIxGHaZIwE-_0JpsrOrbvKnae5UG9DyYAPttbN1S2cVrmMSjWg6" link_href="" link_target=""></div><p>――それでは、どんな方々がそうした新しいテクノロジーを使って、収益化の機会を得られているのでしょうか?</p><p><strong>aggre:</strong>現在は、オープンソースの開発者たちが「Devプロトコル」に自分のOSSを資産として登録してくれています。約1,600件くらいでしょうか。彼らはOSSを無料で公開しつつも、「Devプロトコル」上に「Devトークン」として収益を発生させています。</p><p>今はOSSの収益化に対応していますが、この対象はユーザーが自由に拡張していくことができます。今はOSSがメインですが、例えば無料で公開したゲームとか、YouTubeとか、ポッドキャストみたいなものも、ユーザーが収益化の対象として広げていくことができる。</p><p><strong>原:</strong>クリエイターの方が収益化できる一方、資産運用として誰でも参加できるようにもなっています。ユーザーとしては、クリエイターと、そのクリエイターが登録した「資産」に投資する人の2種類がいるということですね。</p><p><strong>岩田:</strong>少しブロックチェーンの話を。仮想通貨の取引などの記録を収めた「ブロック」を作るには、「マイニング(採掘)」が必要なんですね。マイニングに成功するのはとても大変で、難しい計算を解くことに加えて、ものすごく当選確率が低いくじを当てなければならないようなものなんです。マイニングの成功報酬として仮想通貨がもらえるのですが、マイニングそのものがビジネスにもなっている。マイニングをする人が世界中にいるからこそ、プラットフォーム自体も維持されていく仕組みなんですね。</p><p>マイニングにはものすごい計算力のあるPCやCPUが必要なんですけど、僕が最初に「Devプロトコル」の話を聞いたとき、その計算力の部分を、クリエイターが生み出す価値に置き換えていけるのではないかと思いました。クリエイターや開発者がつくったものの価値が、マイニングパワー、つまりこれまでのCPUなんかの強さに代わるものになっていくという。その点が何らかの形で評価・測定できれば、おそらくどんなものにも対応できるんじゃないかと思います。</p><p><strong>aggre:</strong>僕らはその仕組みを「プルーフ・オブ・クリエーション」と呼んでいます。先ほど岩田さんが説明してくださったのは、CPUパワーを証明してマイニングをするということ、つまり「プルーフ・オブ・パワー」ですね。僕らはCPUパワーにあたる部分を創造力に置き換えていこうとしています。</p><p>――創造力…確かにプルーフをつくるのは難しい分野ですね。</p><p><strong>aggre:</strong>創造力そのものって、これまでは価値になっていなかったですよね。創造したものを例えば本にして売るとかすれば、そこから初めて収益になったんですけど、いろいろなものがオープンになってくると「売る」ことはできません。ですから、創造力そのものを評価する仕組みが必要なんじゃないかなと考えたのが始まりですね。</p><p></p><h2><strong>伝統建築を担う企業の苦悩が、創業のきっかけに</strong></h2><div class="img-container"><img src="https://lh5.googleusercontent.com/HGdQdOMEcQFB4rhwtiA1LKpVvo1gIK-LP2ir5NpDrXYF-g1BEM6JJOiTJ3cCZUgUOCmQvzC--xd15Nel4gm-b5HHwSSZ3PFKRCAieJZ9RWDHUG1blo8o61DVmiODFJoUTL8x7auV" link_href="" link_target=""></div><p>――ちょうど「始まり」についてお話しいただいたので、お二人の起業のきっかけもぜひお聞かせいただければ。</p><p><strong>原:</strong>私たちの会社は役員が3人なんですけど、実はファミリーでやっていまして…私とaggreが夫婦という。</p><p><strong>aggre:</strong>いつも言い方悩むんですけどね(笑)</p><p><strong>原:</strong>ですから、起業のきっかけ=二人の出会いのきっかけ、みたいになるのですが…。初めてaggreと出会ったのは2011年でした。当時、私はソーシャルメディアマーケティングの会社を創業していて、aggreはARのスタートアップにいました。ちょうど同じベンチャーキャピタルから出資を受けていたご縁で、紹介していただいて。お互い、広い意味でのソーシャルやオープンなものに対する関心が強くて、すごく気が合ったんです。</p><p>それからもしばらくは別々に仕事をしていましたが、2014年にFRAME00設立のきっかけとなった出来事がありました。私がしていたソーシャルマーケティングの仕事で、伝統建築の会社さんから仕事の相談を受けたのです。</p><p>――伝統建築というと、お寺などでしょうか?</p><p><strong>原:</strong>そうです。お寺や神社の建築を手がけたり、それらの内部の装飾品や芸術品を作ったり、仏像を作ったりしている会社です。後継者難の悩みを、ソーシャルマーケティングで解決できないかというご相談でした。それでいろいろ調べていく中で、ちょっと衝撃的な事実に行き当たって…。その会社は日本の名だたるお寺や神社建築を手がけていて、国宝を修復したりもしています。でも、そんな会社の年商が、とあるソーシャルゲームの会社の月商と一緒だったんです。</p><p>――え…!12分の1っていうことですよね。</p><p><strong>原:</strong>人気ソーシャルゲームの会社が1か月で稼ぐお金を、全国に数千人の伝統職人を抱える会社は1年かけてやっと稼ぐ。すごいインパクトでした。国宝には少ししかお金が集まらないのに、ゲームにはザクザクとお金が入ってくる。それはいいんだろうか…?と、自分の中の問題提起になって。</p><p>これは1社のマーケティング努力で解決できる問題を遥かに超えています。そもそもこうした不均衡が起きていること自体が問題だと思ったのです。そこで共同創業した会社を抜けて、マーケットの不均衡を正せるようなスタートアップを作ろうと、FRAME00を設立しました。</p><p>――そうした不均衡がもたらす問題に悩みながら、私たちの国宝を守ってくださっている方々がいらっしゃるのですね…。</p><p><strong>原:</strong>今まで経済的に評価されていなかったものをきちんと評価されるようにしたいというアプローチは、お金にならなかったものをお金にするという矛盾でもあり、すごく難しくて。最初はずっとひとりでFRAME00をやっていたんですけど、なかなかうまくいきませんでした。でも2017年に、aggreがジョインしてくれまして。そこから本格的に、ちゃんとソリューションを作って解決していこうという方向性を定めました。2017年2月からそれを始めて、いろいろと軌道修正を繰り返して、ようやく2018年夏に「Dev」のモデルに行き着いたんです。</p><p>――伝統建築が、ブロックチェーンのような最新のテクノロジーに結びつくとは…。</p><p><strong>aggre:</strong>これらの間には、なんだかすごく距離があるように感じるかもしれません。でも僕は、OSSと伝統建築・伝統文化のようなものが抱える課題はすごく似ていると思ったのです。伝統文化の価値は、今までの資本主義的な評価軸では評価しきれなかった。OSSは、技術的な価値は大きいのだけれど、同じように経済的な評価はなされてこなかったんですね。すごく対照的なもののようで、実は課題は同じなのかなと。</p><p>2年間くらい、この課題を解決できるソリューションをずっと模索しながら作っていました。何度もピボットしましたし、侃々諤々の議論もあって、最終的にエッセンシャルなものが残って「Devプロトコル」になったという感覚があります。</p><p>――なるほど。みんなにとって大切なものを、どうサステナブルにしていくか…携わる人をどうやって支えていくか。すごく難しいことなのかなと思いましたが、本質はシンプルなのですね。</p><p><strong>岩田:</strong>"Technology as Enabler"(enabler=目標達成を可能にする手段、方法)という考え方が、僕はとても大切だと思っています。まず持っている技術ありきではなくて、そこから一度離れて、ある社会課題を解決するために自分に何ができるか、使えるテクノロジーは何かを考えるというアプローチが大事。FRAME00がよく挙げるキーワードに「持続可能」がありますが、SDGsへの注目などもあり、グローバルでもサステナブルかどうかを重視する流れになっている。</p><p>例えば、みんなが気に入っているお店があって、でも実は経済的にうまくいっていなくて結局閉店してしまった…なんていうこと、ありますよね。みんな残念がるんだけど、サポートする術がなくて、ただ指を咥えて見ているしかないっていう。伝統建築なんてまさにそうで、日本人はみんな残っていてほしいと思っているものですよね。でも、じゃあ誰がお金を出すのか、それに携わる人々が食べていけるように何ができるかというと、答えがなかった。FRAME00が取り組んでいるのはそこだと思います。</p><p></p><h2><strong>コロナを経て、持続可能な経済モデルを拡大していく</strong></h2><div class="img-container"><img src="https://cdn.qurate.cloud/2020/09/10/17/03/06/d2d0a796-10b7-4396-9c65-a6c07a23320e/devprotocol2--1-.png" link_href="" link_target=""></div><p><strong>原:</strong>このコロナの影響で、目指す世界にすごく近づいたなと思うことがあって。今まさに、エッセンシャルワーカーの存在が注目されていますよね。</p><p>――そうですね。彼らがいないと生きていけないということに、今さらながら気づかされたと。</p><p><strong>原:</strong>例えば、医療従事者の方々はコロナ患者のためにすごく頑張っていただいていますよね。一方、感染者を受け入れるほど病院の経営状態が悪化するというニュースを見て、それで経営を気にして感染者の受け入れ拒否をする病院が増えてしまうのは、大きな社会課題だなと。こうした医療従事者など、エッセンシャルワーカーの方々の活動も、私たちが収益化して、持続可能なものにしていきたいなと思っています。</p><p><strong>岩田:</strong>本来は、エッセンシャルワーカーを守るのは公共サービスが担っていた部分だったと思うんですよね。でも、今はもう行政がカバーしきれなくなっている。</p><p>――今まさに社会の変化に伴って、さまざまなところで「持続可能」「収益化」のニーズが生まれてきているというお話を伺ってきました。最後に、FRAME00さんが今後目指していく未来についてお聞かせいただけますか。</p><p><strong>aggre:</strong>まず、今年1月に「Devプロトコル」正式版をリリースしていて、クリプト系・金融系の企業さんから高い評価をいただくことができました。プロトコルはそのものだと使えないのですが、今はこのプロトコルを実装した新しいアプリケーションの公開目前まできています。海外のユーザーからも、日々熱心な質問をいただいています。</p><p>これまで僕らは、収益化の対象とする人々を「クリエイター」と呼んでいたのですが、今は、ものを作ったり、誰かの手助けをしているような人々を総称して「イノベーター」と呼んでいます。こうしたイノベーターがチャレンジを続けることができる社会にしていきたい。やりたいことをお金を理由に我慢している人をなるべく少なくしていくために、作ったものがお金になるというような、持続可能な経済モデルを「Devプロトコル」をベースに構築していくのが目標です。</p><p>――夢を追いたいけれど、まず生活していくことを優先しなければいけない…という方々には、大きな希望になるテクノロジーであり、存在ですね。本日はありがとうございました!</p><p></p><p>◆FRAME00株式会社 <a href="https://corp.frame00.com/"><u>https://corp.frame00.com/</u></a><u><br></u>◆Dev Protocol <a href="https://devprtcl.com/"><u>https://devprtcl.com/</u></a><u><br></u>◆MIRAISE RADIOは<strong><a href="https://anchor.fm/miraise/episodes/06--FRAME00-CEO-CTO-aggre-eenk9a">こちら</a></strong>から</p><p></p><p></p><p><br></p>
<p>MIRAISEでは、課題解決に挑むエンジニア起業家の生の声をお届けするラジオ番組「<a href="https://www.youtube.com/channel/UCV4Ju4OHLYp-2we7vLxWtTg/videos"><u>MIRAISE RADIO</u></a>」の配信をスタートしました。こちらのブログでは、「読む MIRAISE RADIO」として、起業家たちのストーリーをラジオの雰囲気そのままにお伝えしていきます。</p><div class="iframe-container width-set height-set dimensions-set" data-width="100%" data-height="232px" data-src="https://open.spotify.com/embed-podcast/episode/2ajP6G7YtvecnqnJRTb629"><iframe class="" style="" data-embed-type="generic" data-original-link="&amp;#60;iframe src=&quot;https://open.spotify.com/embed-podcast/episode/2ajP6G7YtvecnqnJRTb629&quot; width=&quot;100%&quot; height=&quot;232&quot; frameborder=&quot;0&quot; allowtransparency=&quot;true&quot; allow=&quot;encrypted-media&quot;&amp;#62;&amp;#60;/iframe&amp;#62;" src="https://open.spotify.com/embed-podcast/episode/2ajP6G7YtvecnqnJRTb629" width="100%" height="232px" frameborder="0" allowfullscreen="true"></iframe></div><p>● スピーカー: 株式会社Spiral CEO石川 知寛<br>● MC: MIRAISE CTO 布田隆介 / PR 蓑口恵美</p><hr><p>私たちの社会を支える建築・土木産業。この現場で、より安全に、より短時間で作業ができる未来を目指しているのがSpiralです。屋内に特化したドローン自律飛行システムを開発している石川さんに、現場担当者の救世主を目指す挑戦について伺っていきます。<br></p><h2><strong>屋内ドローンで現場管理にイノベーションを</strong></h2><div class="img-container text-center overflowing-section additionalClassesSet " style=""><div class="img-container"><img src="https://cdn.qurate.cloud/2020/08/06/10/48/46/05b2433a-8f26-4f74-806c-d69f625efc9f/partners.jpg" alt="左から3人目が石川さん。右端はMIRAISE CTO布田、その隣がPartner 岩田。" link_href="" link_target=""></div><p></p></div><p>――さっそくですが、Spiralが提供しているサービスについてお話しいただけますか?</p><p><strong>石川:</strong>Spiralは、屋内に特化したドローンの自律飛行の仕組みを作っている会社です。よく勘違いされるんですが、ドローンの機体本体は作っていません。GPSが使えない屋内で、ドローンを自動で飛ばすことに特化したソリューションやサービスを作っています。<br></p><p><strong>布田:</strong>ドローンの機体というハードではなく、ソフトウェアの部分を開発されているということですね。実際に、どんな業界でどのように使われているのでしょうか。</p><p></p><p><strong>石川:</strong>主に建築・土木の現場です。高層ビルや高層マンション、高速道路などを作っている現場ですね。現場の管理や写真撮影を今は人が全部やっているんですけど、こうした仕事をドローンに置き換えて自動化しようとしています。<br></p><p>一般の方がこうした現場を見ることはなかなか難しいと思うのですが、行くと分かるんですよね。「あー、これはドローンが必要だ…!」と。</p><p>なぜなら、人力で回るにはあまりにも果てしなく広い、長い、でかい(笑)。今はそうした現場を持つ企業をターゲットにしています。お客さんからは「巡回系を革新してほしい」と言われていますね。</p><div class="img-container text-left additionalClassesSet " style=""><div class="img-container"><img src="https://lh5.googleusercontent.com/GKs2Cn-h6u_mG_Uikz5uoNbo6oLZFC11vEZHflh256aiygOAS70mhT_1PcQ2UDYGls7Fg8LaYCvdOoKk0PJGOmUjzUMKGzsB-kuWiu7emnB6qv_V2sAgy1Fyh4qKsLDHvFBOn2zn" alt="ドローンで建設現場管理の自動化を目指す" link_href="" link_target=""></div><p></p></div><p></p><p>――「巡回系」と言いますと…?</p><p><strong>石川:</strong>先ほどお話ししたような、現場で写真を撮ったり、点検したりという業務のことですね。異常や緊急事態ってそうそう起こらないんですけど、日々やらなきゃいけない。多分何も起こらないからやらない、というわけにはいかないんですよね。でも、現場が広すぎて人間ではカバーしきれないところがある。</p><p><strong>布田:</strong>僕も実際に現場を見に行ったのですが、鉄骨に異常がないか、スケジュール通りに工事が進んでいるかなどは基本的に人が点検して回っているんですね。それだけでなく、写真を撮ったり、レポートしたりという仕事もあって。</p><p>僕らはビルのフラットなフロアしか知りませんけど、建設中の現場には資材やボルトが大量にあるなど、人が移動するのは楽ではない。でも、逆に頭上の空間は広くあったりするんですよね。そこでドローンの出番ではないかと。<br></p><h2><strong>現場の使いやすさを徹底追求して生み出した、自律飛行の仕組み</strong></h2><p><strong>布田:</strong>障害物の多い建設現場で、ドローンをどう飛ばせばいいのか。Spiralの開発しているドローンには技術的な特徴がありますよね。そのあたりのお話をお聞かせいただけますか?</p><p><strong>石川:</strong>従来、GPSが使えない所でドローンやロボットを制御するときは、カメラや複雑かつ高価なセンサーを使って、人間と同じように地図を作ったり、自分の位置を推計したりする仕組みを使っていました。人型ロボットのPepper(ペッパー)や、ロボット掃除機のルンバとかはまさにそうした仕組みですね。<br></p><p>ただ、ドローンの場合、ルンバと違って三次元なのでなかなか急に止まれない。だからといって、スピードを落としたら実際の仕事には役に立たない。ある程度の速度がないと、巡回を自動化する意味がありません。例えば1秒間に1cmしか進まないとなれば「いや、何時間かかんねん!」ってなっちゃいますよね(笑)</p><p>それに、複雑なシステムのものはどうしても高価になりがちで、現場の人たちにとっても難しくて扱いづらくなってしまうんですね。「オレはドローンのお守りをしたいわけじゃない!」と。</p><p>――仕事を楽にするために導入したはずが、逆に複雑なドローンの操作のために仕事が増えてしまうという…。</p><p><strong>石川:</strong>それって、けっこう「あるある」なんですよね。僕自身も企業で生産技術として働いていたとき、現場の人たちが使えないものを導入すると必ず「これはお前が面倒みろよ。じゃあな、オレはパチンコに行く」みたいになって(笑)。</p><p>それなら、どうしたらGPSがない環境でも簡単にドローンを使ってもらえるかを考えたんです。そうしてたどり着いたのが「マーカー」でした。別に大したことじゃないんです。QRコードみたいな、誰もが見たことがあるようなものを目印にドローンが飛ぶ、こういう仕組みですね。</p><p>グリム童話「ヘンゼルとグレーテル」に、森に捨てられた兄妹が道々に落としていった光る白い石を道しるべに家に戻る…というシーンがありますけど、原理はそれと同じです。</p><div class="img-container text-left additionalClassesSet " style=""><div class="img-container"><img src="https://lh4.googleusercontent.com/QMXtULATYUX0-H3gDZPp5EYoZS3O4ftMqKL57Qf_E020HdGItZ1_nlyG52flNaIkWrujz1yuVbfhiOLm3Br6XGCeGxJ7T64sqBlTpYhTCE-PGqxtyYVkpX3McGIhK4spqTMHB7FG" alt="QRコードのような「マーカー」を目印に、ドローンが飛ぶ" link_href="" link_target=""></div><p></p></div><p>――なるほど。マーカーを目印として、ドローンが動く仕組みということですね。ところで、建設現場ではそもそもGPSが使えないことが多いのでしょうか?<br></p><p><strong>石川:</strong>屋内の現場ではほとんど使えません。さらに、トンネルなど地下だとまったく使えませんね。</p><p>――そういった環境でも、安全かつ的確にドローンが飛べるシステムを作られているということですね。<br></p><p><strong>石川:</strong>そのとおりです。物体を無線で制御するってけっこう大変なんですよ。特に、閉塞空間で無線を使って飛行物体を制御するのは難しい。無線が切れたら終わりですからね。市販のドローンでも、無線をスパッと切るといきなり変な動きをするんです。<br></p><p>――無線が切れたら、その場にただ留まっているのかと思いました…。</p><p><strong>石川:</strong>僕らが実験をするときは、ドローンがどこに行っても捕まえられるように、タモを持つ役を必ず配置していますからね。ホントの話です(笑)</p><p>僕たちのシステムだと、ドローン本体と、ドローンに搭載するカメラ、そして紙に印刷したマーカーさえあれば、すべてが完結する形です。わざわざパソコンから機体を制御する必要がない、というのがひとつの特徴だと思います。</p><p><strong>布田:</strong>今市販されているドローンや、普通の人が思い浮かべるドローンは、操縦士がいて、コントローラーがあって、撮影に使ったりするというものですよね。</p><p>石川さんが目指しているのは、その先にある「無人化」です。ですから、ドローンに何か異常が起こっても、人に危害を与えたり、現場に損害を与えたりしないようにする必要がある。何が起きても大丈夫なようにする、という開発もきちんとしなければならないんですよね。<br></p><p></p><h2><strong>屋内ドローン界の「カローラ」を目指して</strong></h2><div class="text-left " style=""><p><strong><div class="img-container"><img src="https://lh4.googleusercontent.com/8CY26y9nQRUJ7EW7zRCP_BV-8m29CpEAhUbreJ1b42FxCBknxChsBhqcL7Sx9Q711HQHtPnLbCz8WjxmuvPAu-h7lMHTVxUk1qORqOPxaislYEODS8mMRS80-Cj95hZtrKSPK596" alt="Spiralのメンバー" link_href="" link_target=""></div></strong></p></div><p>――石川さんは、起業する前はどのようなことをされていたのでしょうか?<br></p><p><strong>石川:</strong>直近では、車の組付けや溶接をするための産業用ロボットを全国で売り歩いていました(笑)。北は青森、南は九州まで行っていましたね。</p><p>ドローンとの関わりは、学生時代に共同で飛行ロボットの会社を作った頃からです。そのときに、たまたま今で言うドローンの仕事をもらっていたんですね。</p><p>今でこそドローンの存在は広く知られていますが、10年前はまったくそんなことはなくて。「なんかアブナイものを公園で飛ばしている奴がいるぞ」って思われて、航空局とかいろんなところから電話がかかってきたり(笑)。</p><p>――その後、ドローンが世に知られるようになってきて、産業用に進化していく…という過程を見られてきたと思いますが、その中でSpiralとして、どういったポジションを目指していくのでしょうか?<br></p><p><strong>石川:</strong>まずは、屋内で使えるドローンを極めたいですね。「インテル入ってる」じゃないですけど、屋内ドローンには我々の自律飛行システム「MarkFlex®Air」が入っている世界にしようと。全世界でそうなることを目指そうと、よく自社の人間にも話しています。<br></p><p>――ブランドを確立していくということですね。</p><p><strong>石川:</strong>A地点からB地点に移動したいとき、自転車で行くとか車に乗るとか、方法はいろいろありますよね。うちのもうひとりの役員が言っているのですが、屋内ドローン界には、車に例えるなら今はベントレーしかないんだよ、と。ベントレーでA地点からB地点に行きなさいと言われている状態。でも、普通の人ってベントレーなんてなかなか買えないじゃないですか。</p><p>――買えないですよね…。</p><p><strong>石川:</strong>移動はしたい、でもベントレーしかない。買えない。それなら、誰にでも手が届くカローラを用意すればいい。トヨタはベントレーみたいな高級車じゃなくて、カローラを作って成功した。だからSpiralも成功すると(笑)</p><p>――なんだかすっと入ってきます。分かりやすい!</p><p><strong>石川:</strong>これはなかなかエンジニアにない発想で。エンジニアはどうしても、使う言葉が専門用語に偏りがちなんですよね。その役員がこの「ベントレーとカローラ」の話をしたとき、僕メモりましたもんね。「もう1回言ってください!」って(笑)。</p><h2><strong>「飛ばす場所」探しが最大のハードルだった</strong></h2><p></p><div class="text-left " style=""><div class="img-container"><img src="https://lh5.googleusercontent.com/9wIW542EKrpzJk0KdtwZv9kCXYFQyzRpI0hNNBjO6Cr67B-UHh1maV66-oW-6WoG3JY4eOCt_z8IGM10syiYR-HZpUBMHQYfiCPYSFcH6giBpsufXT1gLYI9WossNi8O7WjpV2sB" alt="グローバルなチームで、世界を目指す" link_href="" link_target=""></div></div><p><br></p><p><strong>布田:</strong>ハードウェア寄りの起業をするにあたって、大変だったことはありますか?</p><p><strong>石川:</strong>ソフトウェアの場合は、作るのも公開するのもパソコン上で済んでしまいますが、僕らの場合はどうしても「モノ」があります。いちばん大変だったのは場所探しですね。飛ばす所がなくて。<br></p><p><strong>布田:</strong>なるほど、そこなんですね。</p><p><strong>石川:</strong>最初は、僕が住んでいるシェアハウスでドローンを飛ばしていたんですよ。ちょっと操縦間違えて、ハウスメイトが料理しているフライパンの中にぽとって落ちたりとか(笑)。でも、そのときは手のひらサイズのドローンを使っていたので、「おお、ごめんごめん」で済むわけですよ。でも、機体が大きくなってくるとさすがに家の中では飛ばせなくて…。</p><p></p><p>――実際に飛ばして検証できる場所がないことが、いちばん大変だったんですね。<br></p><p><strong>石川:</strong>その場所がなかったがために、開発が止まってしまうこともありました。お金があればどかーんといい感じの場所を借りられますけど、起業当初はそういうわけにもいかないので…。「夜中だけでいいので飛ばさせてください」と言って、ある企業に間借りさせてもらったこともありました。僕らが手がけているのは屋内ドローンだから、外だと意味がない。「河川敷で飛ばせばいいじゃないか」というわけにはいかないんですよね。</p><p>――今はどういう場所で飛ばしているんですか?</p><p><strong>布田:</strong>工場跡みたいな物件をゲットしたんですよね。ガンダム作っていそうな場所。</p><p><strong>石川:</strong>はい、もう最高!な場所です(笑)。住宅街を抜けて抜けて抜けて…こんな場所がここにあるなんて!という。そして、そこでドローン飛ばしているのは外国人ばかりで、日本人がほとんどいない、みたいな。</p><p><strong>布田:</strong>Spiralには外国人の社員がたくさんいますからね。次の機会には、エンジニアのグローバル採用などについてもお聞きしたいですね。</p><p>――Spiralのチーム構成はすごくグローバルなんですよね。次回はぜひ、そうしたお話もお願いします!<br><br></p><p>◆<a href="https://spiral-robotics.com/">株式会社Spiral</a> <u><br></u>◆MIRAISE RADIO は<a href="https://anchor.fm/miraise/episodes/05--Spiral-CEO-eehfk8">こちら</a>から</p><p></p><p><br></p>