<p></p><div class="iframe-container width-set height-set dimensions-set" data-width="100%" data-height="232px" data-src="https://open.spotify.com/embed-podcast/episode/6kYDTUrvNvywjgL4F4Lviv"><iframe class="" style="" data-embed-type="generic" data-original-link="&amp;#60;iframe src=&quot;https://open.spotify.com/embed-podcast/episode/6kYDTUrvNvywjgL4F4Lviv&quot; width=&quot;100%&quot; height=&quot;232&quot; frameborder=&quot;0&quot; allowtransparency=&quot;true&quot; allow=&quot;encrypted-media&quot;&amp;#62;&amp;#60;/iframe&amp;#62;" src="https://open.spotify.com/embed-podcast/episode/6kYDTUrvNvywjgL4F4Lviv" width="100%" height="232px" frameborder="0" allowfullscreen="true"></iframe></div><p>私たちの安心を支えてくれている「保険」。</p><p>しかし、「自分や家族の保険、もし何かあったら請求はちゃんとできますか?」…そんな問いを投げかけられた時、自信を持って「できる」と言える方はどれぐらいいるでしょうか?</p><p>保険の請求にはさまざまな手続きが必要で、実は決して簡単なことではないのです。</p><p>今回は「保険の請求もれをなくす」というミッションを掲げる株式会社IB代表取締役CEOの井藤健太さんに、レガシー業界の変革に挑むお話を伺いました。</p><p></p><h2><strong>入っている保険をカンタンに管理できるアプリ「保険簿」</strong></h2><div class="img-container"><img src="https://cdn.qurate.cloud/2021/02/22/12/48/34/5c1758e8-d46a-4564-b2bb-3bbd80b27b86/radio16_01.png" link_href="" link_target=""></div><p>――最初に、株式会社IBと提供している「保険簿」というサービスについて教えていただけますか?</p><p><strong>井藤:</strong>私たちIBは「保険の請求もれをなくす」というミッションを掲げて事業を展開している会社です。ここで蓑口さんに質問なのですが…もし離れて暮らしているご家族が災害に遭い、自宅が流されたうえに意識不明の重体となってしまい、家族に代わって保険の請求ができるのが自分しかいない!となった時に、ちゃんと請求できる自信はあるでしょうか?</p><p>――自分の保険ですら自信がないのに家族の請求なんて…できないです!</p><p><strong>井藤:</strong>そうなんです。この質問に対して、95%以上の人が「できない」「自信がない」と答えます。保険の請求もれとは、本来もらえるはずの保険金があるのに、請求手続きをしていないことを指します。保険会社は加入者やその家族からの請求がなければ、そもそも何があったのか知りようがありません。加入者やその家族が自ら請求しなければ、保険金を受け取ることはできないのです。こうした「保険の請求もれ」は、潜在的ながら非常に根深い問題として存在してきました。本当はもらえる保険金があったのに、病気の治療費が高くて治療を諦めてしまったり、本来負わなくてもよかった経済的負担を負ってしまったりといった悲しいことがこれまでにたくさん起きているのです。私たちは、そうした問題をなくしていきたいと考えています。</p><p>――実は私にも、請求もれの経験が何回かあって…とても共感します。</p><p><strong>井藤:</strong>この請求もれをなくすために、弊社では「保険簿」というアプリを軸に事業を展開しています。「保険簿」は、保険の書類を撮影すると自動でデータ化されて、入っている保険を簡単に管理できるというアプリです。家族との共有もできますし、「病気になった」「ものが壊れた」などの該当項目から、請求できそうな保険をレコメンドするといった機能も提供しています。こうした請求もれを防ぐ仕組みを、日本の保険加入者全員に使ってもらえることを目指して、将来的には保険加入後のあらゆることがワンストップで完結する、便利でシンプルな仕組みを作っていきたいと考えています。</p><p>――保険事業者に向けたサービスも提供しているんですよね。</p><p><strong>井藤:</strong>はい。消費者の皆さんに使ってもらうためには、あらゆる保険事業者と協力していかなければいけません。弊社は保険の販売には一切手を出さないと決めているので、「保険を売られる」と加入者側に嫌がれることもないですし、保険代理店や保険会社などのあらゆる保険事業者と協力できるという立ち位置をキープしています。保険事業者向けには「保険簿 for Business」というSaaSを提供しています。保険担当者がお客さんの保険情報を一緒に見てアドバイスできたり、チャットができたりと、いわば「かかりつけ」の保険担当者として、きめ細かく顧客のフォローができるようにするサービスです。</p><p><strong>岩田:</strong>保険会社側も、ちゃんと必要な時には保険金を請求してほしいと思っているんですよね。</p><p><strong>井藤:</strong>2000年代に、保険業界では「保険金未払い問題」というのが大きな問題になりました。これは、保険金が請求できることがわかりうる状況だったにもかかわらず、さまざまな理由で払わなかった・払えなかったという、多くの保険会社で明るみになった問題です。その後、必要な時にちゃんと請求してもらうための取り組み(請求勧奨)が進められてきました。そしてここ5年ほどで、金融庁主導でさらなる顧客本位の業務運営が叫ばれるようになってきています。こうした背景もあり、とことん消費者のためになるサービスを作っていけば、自然と保険事業者にもメリットを提供できると考えています。</p><p></p><h2><strong>保険の「請求もれ」は年間1.6兆円</strong></h2><div class="img-container"><img src="https://cdn.qurate.cloud/2021/02/22/12/50/07/8efe8ba6-f130-48d8-9c82-23c384e89223/radio16_02.jpg" link_href="" link_target=""></div><p>――実際に、保険って本当に難しいと感じます。誤解を生まないために細々といろんなことが書いてあるパンフレットや、「これ読んでおいてください」と渡されるCD-ROMだったりと、必要な情報は一応全部受け取るんですけど、私は結局のところ請求もれとなってしまったわけでして…。新卒の頃にレーシック手術をしたのですが、父が掛けてくれていた保険では適用だったらしいんですね。</p><p><strong>井藤:</strong>今は違うのですが、2007年以前に契約している医療保険では、レーシックは適用になるんですよね。</p><p>――私は目が弱くて他にもいろんな治療を定期的にしていたのですが、10年くらい経ってから、父から、それらも保険が適用できる治療だったと言われました。先ほど言ったレーシックは、新卒の初ボーナス全部つぎ込んで受けたのに(笑)。「もし父が掛けてくれていた保険を使えていたら、初ボーナスで一緒に何か美味しいもの食べに行けたかもしれないのにね」と、今では笑い話ですが…。</p><p><strong>岩田:</strong>貯蓄の一種みたいな考え方も、昔はありましたからね。保険に入っているというよりは、満期になったら解約して定期預金みたいに受け取るようなイメージでいると、なおさら保険の内容は忘れてしまいがちかもしれないですね。</p><p><strong>井藤:</strong>解約返戻金や満期金を目当てに保険加入している人で、保険料の払い込みが終わって口座からの引き落としもなくなり、保険証券もどこか行ってしまった…という場合、もしその人に何かあったら、家族はどうやってもその保険の存在を見つけることができません。私事ですが、昨年末に亡くなった祖母が認知症で、それに付け込まれてかなりいろいろな契約をさせられていたようなんです。まだ出てきていない保険契約や、請求もれがたくさんある予感がしていて、洗い出し頑張らないとな…と思っているところです。</p><p><strong>岩田:</strong>保険会社との契約って、1社だけではない人の方が多いですよね。「保険簿」では、それらを一元的に見られるというのがとてもいいと思っています。</p><p>――ちなみに、日本ではどれくらいの人が保険に入っているのでしょうか?</p><p><strong>井藤:</strong>世帯の割合で見ると、生命保険が80%、火災保険が90%と言われています。ですから、火災保険やクレジットカード付帯の保険も含めると、保険に入っていないという人はほぼゼロに近いんじゃないでしょうか。</p><p>――では実際に、請求もれというのはどれくらいあるのでしょうか?</p><p><strong>井藤:</strong>弊社がフェルミ推定で算出したものでは、1.6兆円という結果が出ています。保険金の支払いは年間約18兆円なので、決して少なくない数字です。実際のところ、肌感覚ではもっとあると感じています。</p><p>――「保険はお守り」という言葉もありますが、単なるお守りではなく、実際の生活で効力を発揮するもののはずです。しかし、それを使いこなせていない人は本当に多いということなんですね。</p><p></p><h2><strong>東日本大震災の現場で知った「請求もれ」が転機に</strong></h2><div class="img-container"><img src="https://cdn.qurate.cloud/2021/02/22/12/51/49/8cdb3f6a-379e-484f-8dd6-7daa3077e9b2/radio16_03.jpg" link_href="" link_target=""></div><p>――保険分野でのスタートアップというのはあまり聞きませんが、井藤さんはどうしてこの業界で起業しようと思ったのですか?</p><p><strong>井藤:</strong>最初のきっかけは、大学時代まで遡ります。私は大学時代に保険業界の研究をしていたのですが、そんな中で2011年に東日本大震災が起こりました。現地にボランティアに行ったことで、保険の請求もれが多く起こっている現実を知りました。卒論を書く頃にはちょうどマイナンバーの話が出てきていたこともあり、個人のアカウントにすべての保険契約が紐付いていれば、管理が一元化でき、請求をはじめとしたすべての手続きがワンストップでできるという世界を構想し、卒論としてまとめたのです。<br>卒業後は保険業界で仕事をしていましたが、結局マイナンバーの利用はなかなか進まず、保険業界のさまざまなしがらみも知りました。業界に身を置く中で見えてきた課題も、それを突破する方法も見えてきたところで、「多分『保険簿』で起業するだろうな」と思いながら1年システムエンジニアをしてITについての理解も深め、2018年10月に創業しました。</p><p>――「保険簿」を世の中に出すためにたどってきたような経歴ですね。3.11の現場もご自身の目で見られているということにも、熱い思いを感じます。</p><p><strong>岩田:</strong>井藤さんが素晴らしいのは、本当に顧客目線でやっているというだけでなく、テクノロジーをどう活用して、より便利にしていくか、より多くの隠れたニーズに応えていくかということを非常によく考えて、実行しているところです。マイナンバーが話題になり始めた当初から、保険と結びつけて考えられているのもその現れのひとつですよね。スタートアップとしてできることは何かを考え、自分が考えついたソリューションを広めるための情報発信などもしっかりしているし、プレゼンテーションもとてもわかりやすい。自分のミッションを固く信じ、そのためにできることは何でもやっていく、想いの強い起業家だと感じています。</p><p>――MIRAISEとのご縁はどのように繋がったのでしょうか?</p><p><strong>岩田:</strong>僕らはどちらかというと選んでいただいたという感じですね。井藤さんはバランスをよく考えていて、自分たちに足りないところを補える投資家、VCを探していて、技術的なサポートができるということでMIRAISEを選んでくださいました。そうした発想や行動からも、ミッションへの最短距離をしっかりと考えて、実行しているという印象を持ちました。</p><p><strong>井藤:</strong>昨年8月に資金調達を行ったのですが、そんなにすんなりいったわけではなく、苦戦もしました。しかし、MIRAISEさんに出資していただけるというベストな結果となったのは、本当によかったと思っています。今後は、MIRAISEのさまざまなサポートもどんどん活用していきたいと考えています。</p><p><strong>岩田:</strong>保険というのは、実は顧客満足度が上がるタイミングが少ない業種なのかなと思います。加入した時の「これで家族も安心だ」「これで自分に何かあっても大丈夫」などの安心感がそのひとつだと思いますが、顧客満足度が最大化するのは、やはり保険金が支払われたときだと思うんですよね。そのチャンスが失われている状態だと、保険会社は顧客満足度を上げる機会がすごく減ってしまう。そういう意味では、「保険簿」は業界全体にとっても非常に価値のあるサービスだと感じます。まさに「三方良し」ですね。</p><p><strong>井藤:</strong>現在、保険会社さんからの問い合わせも非常に多くあります。いい意味で想定外ですね。保険会社は、思った以上に請求勧奨に対して強い課題感を持っています。それは金融庁からのプレッシャーだけではなくて、保険会社で働く一人ひとりの方が、保険本来の役割をちゃんと果たしたいという想いをしっかり持っている故だと、話を聞く中で実感しています。</p><p></p><h2><strong>保険のあらゆる手続きがワンストップで完結できる世界に</strong></h2><div class="img-container"><img src="https://cdn.qurate.cloud/2021/02/22/12/53/27/184854a5-a8e2-43dc-b93e-fd9b0dc29021/radio16_04.jpg" link_href="" link_target=""></div><p><strong>岩田:</strong>保険会社からの視点で2つ質問があります。まず1つ目。顧客の囲い込みを狙うような動きはないのでしょうか?</p><p><strong>井藤:</strong>今は保険ショップのようにいろんなチャネルで保険に加入できるので、現実的に1社で囲い込むのは無理だという考え方が主流です。いい商品を作り、いいサービスを提供して顧客を増やそうという努力は各社もちろんしていますが、請求やアフターフォローなどの非競争領域に関しては、業界で協力していく方が効率がいいんじゃないかという発想にどんどん変わってきていると実感しています。</p><p><strong>岩田:</strong>2つ目。保険会社の、DXやインシュアテックへの関心は高まっているのでしょうか?</p><p><strong>井藤:</strong>DXに関しては、保険業界は他業界に比べて10年も20年も遅れているとよく言われています。実際にそのとおりで、率直に言うと業界全体が焦りを感じていて、DXには飛びついている感はありますね。保守的な業界という印象があると思いますが、今どんどんアクティブに変わっていこうというスタンスになってきています。</p><p>――業界も大きく変わっていくタイミングなんですね。今後、井藤さんが目指す世界とはどんなものでしょうか?</p><p><strong>井藤:</strong>一昨年の10月にサービスをリリースし、昨年は資金調達とメンバーの採用に力を入れ、無事にいい形で成果を出すことができました。基盤が整った今年は、カスタマーサクセスを徹底して、消費者の方にも、保険業界にも必ず喜んでもらえるサービスをしっかりと実現させていきたいと思っています。その先はもちろん、請求もれを防ぐためにいろんな保険会社との協力もしていきながら、保険加入後のあらゆることがワンストップで完結する世界を目指していきます。まずその前提として、保険の請求もれという潜在的な課題に気づいてもらうために、引き続き発信も強化していきたいと考えています。</p><p>――井藤さんの想いはnoteで日々発信されているので、気になる方はぜひ目を通してみてくださいね。「保険簿」が作る未来を、私たちも心待ちにしています。本日はありがとうございました!</p><p><br><br></p><p>◆<a href="https://www.hokenbo-ib.com/"><u> 株式会社IB</u></a><u><br></u>◆<a href="https://note.com/hokenbo"><u>井藤健太【保険簿のCEO】|note</u></a></p><p><br></p>
<p></p><div class="iframe-container width-set height-set dimensions-set" data-width="100%" data-height="232px" data-src="https://open.spotify.com/embed-podcast/episode/3UUW5Sw4NOgN3BOSOtODNu"><iframe class="" style="" data-embed-type="generic" data-original-link="&amp;#60;iframe src=&quot;https://open.spotify.com/embed-podcast/episode/3UUW5Sw4NOgN3BOSOtODNu&quot; width=&quot;100%&quot; height=&quot;232&quot; frameborder=&quot;0&quot; allowtransparency=&quot;true&quot; allow=&quot;encrypted-media&quot;&amp;#62;&amp;#60;/iframe&amp;#62;" src="https://open.spotify.com/embed-podcast/episode/3UUW5Sw4NOgN3BOSOtODNu" width="100%" height="232px" frameborder="0" allowfullscreen="true"></iframe></div><p><br>MIRAISEでは、課題解決に挑むエンジニア起業家の生の声をお届けするラジオ番組「<a href="https://www.youtube.com/channel/UCV4Ju4OHLYp-2we7vLxWtTg/videos"><u>MIRAISE RADIO</u></a>」を配信しています。こちらのブログでは、「読む MIRAISE RADIO」として、起業家たちのストーリーをラジオの雰囲気そのままにお伝えしていきます。</p><p>● スピーカー|oVice株式会社 代表取締役 ジョン・セーヒョン<br>● MC|MIRAISE CTO 布田 隆介 / PR 蓑口 恵美<br></p><p>リモートワークでも、もっと気軽に雑談できたらいいのに――。</p><p>オンライン化が急激に進んだ昨今、企業や地域などさまざまな場所で、新しいコミュニケーションの方法が求められています。</p><p>そんな人々の思いに応えるために生まれたのが、自由に動いて、自由に話しかけられるバーチャル空間「oVice(オヴィス)」です。</p><p>今回は、oVice株式会社代表取締役ジョン・セーヒョンさんに、リモートワーク化でのコミュニケーション不足に悩む人々の課題をどう解決しているのか、そして今後の展望について伺いました。</p><p></p><h2><strong>「今いい?」テレワークで失った雑談を取り戻す</strong></h2><div class="img-container"><img src="https://cdn.qurate.cloud/2021/03/02/12/55/48/4cccbf0e-c835-478a-87c6-2db6624d0cb5/radio15_01.jpg" link_href="" link_target=""></div><p>――「oVice」とは、どんなサービスなのでしょうか?</p><p><strong>ジョン:</strong>「oVice」は、リアルのオフィスにいる時のように「今ちょっといい?」というような気軽な会話ができるバーチャル空間を提供しているサービスです。テレワークが広がり、軽い雑談や偶発的な会話の機会は格段に減ってしまいました。しかし「oVice」を使うことにより、コミュニケーション不足の問題を改善することができます。また、交流会のようなイベントでもよく使われるようになってきています。</p><p>――実はMIRAISEチームでも使わせていただいているのですが、本当にコミュニケーションがとりやすくなったと感じています。</p><p><strong>布田:</strong>こうして文字だけで「oVice」を伝えるのは難しいのですが…自分のアイコンをマウスで動かして、近くにいるアイコンの人と話すというサービスです。「アメーバピグ」の進化版みたいな感じ、というと伝わるでしょうか。Zoomなどとはまったく別物で、一般的なテレワークのツールというよりは、”空間”の概念があるのが特徴的ですね。ジョンさんは、いつもどのように説明しているのですか?</p><p><strong>ジョン:</strong>説明するより「まずデモを見てください!」と言っていますね。見たらわかります、と(笑)。コミュニケーション不足を感じているなら、ぜひデモを見に来てほしいと思っています。</p><p>――現在、「oVice」はどのような企業で導入されているのでしょうか?</p><p><strong>ジョン:</strong>現在は約1,500件で、数万人規模の上場企業もあれば、任意の団体・チームやコミュニティ、友人同士など個人で利用してくださっている方も多く、ユーザーの幅は広がっています。リリース当初は大手企業が多かったのですが、今回の緊急事態宣言後は特に、個人ユーザーが増えていると感じています。</p><p><strong>布田:</strong>バーチャルオフィスとして家から「oVice」に繋いで仕事をする形というのがメインだと思いますが、最近のプレスリリースを見ると、成人式などのイベントにも使われているようですね。こういった、ワンタイムのイベントでの利用も増えているのでしょうか?</p><p><strong>ジョン:</strong>最初はやはりオフィスとしての利用が多かったのですが、学会では以前からよく使われていました。学会は、同時にいくつかのセッションが行われる場合が多いですし、大切な交流の場でもあるので、フィットしたのだと思います。さらにこの年末年始、リアルで会えない代わりに「oVice」で忘年会や新年会を開くという動きがありました。その後急激にこうした使い方が広がり、今では3割くらいがイベント利用となっています。数千人規模の展示会や、入社式、社内レクリエーションでも使っていただいています。</p><div class="img-container"><img src="https://cdn.qurate.cloud/2021/03/02/12/57/22/20d2c321-52c5-47a0-aaeb-72873caec0e1/radio15_02.jpg" link_href="" link_target=""></div><div class="h6 additionalClassesSet " style=""><p><em>写真:oVice プレスリリースより(「東東京会場の東京タワーに集合ね!」の図。自分のアバターの近くでダブルクリックするとアイコンが表示され、ビデオ通話が可能となる)</em></p></div><p></p><p>――確かにこうしたイベントは、ちょっと横の人と喋ってみるとか、そういうカジュアルな会話をしたい場ですよね。</p><p><strong>ジョン:</strong>「oVice」はみんなで同じ場所にいるという感覚があるので、誰かメインで話している人の話を聞きながらも、チャットで会話したり、隅っこに寄って話したり、イベントが終わった後も残って喋ったりと、リアルの会場と同じような形で交流できます。例えばZoomのように一方的に誰かが話して終わりではなく、みんなで交流したい、自由に会話したいといった場面でよく使われています。</p><p>――実際に、MIRAISEファミリーの忘年会も「oVice」でやらせていただいたのですが、みんな隅っこで喋っていましたね(笑)。少人数で盛り上がっているところにみんなが集まっていく動きもあれば、何人かがすっと離れて別の話を始めたり。そんなふうに、ずっと緩やかに盛り上がり続けていたのが印象的でした。</p><p></p><h2><strong>ロックダウン下のチュニジアで開発をスタート</strong></h2><p><strong>布田:</strong>僕は昨年9月頃に、とあるイベントで「oVice」を知ったのですが、そのイベント自体よりも、この「oVice」というツールがすごいなと印象に残りました。その後コンタクトを取って投資に至っているのですが、「oVice」を作るきっかけの話も面白かったので、ぜひここでもお話しいただけますか?</p><p><strong>ジョン:</strong>昨年1月、私は北アフリカのチュニジアに滞在していたのですが、コロナ第1波が急激に広がってロックダウンとなりました。そこでやむなくテレワークを始めたのですが、どんなツールを使ってもしっくり来ませんでした。私はもともとオフィスが好きで、物理的な空間にいる時の「気軽に話せる」「座っているだけで周りの声が耳に入る」といった感覚がないテレワークの働きづらさを感じ、それなら”空間”を作ろうと開発を始めたのが「oVice」だったのです。<br>最初はその概念を実証するために簡単なプロトタイプを作ったのですが、やってみるとなかなか良かったので、3月末くらいに商品化しようと決めました。その後、6月にクローズド、8月末にオープンβ版で提供を開始しました。</p><p><strong>布田:</strong>プロトタイプの時はどんな感じのものだったんですか?</p><p><strong>ジョン:</strong>ファーストプロトタイプはHTMLでテーブルを作り、テーブルの1マス2マスという距離で調整していました。そこから1ヶ月ほどかけて空間的な概念をさらに進めて、自由に動ける形にしたのがセカンドプロトタイプです。</p><p>――昨年1月に作り始めて、今では1,500件。すごいスピード感ですね。</p><p><strong>ジョン:</strong>オープンβ版提供当時はそれほどでもなかったのですが、年末に向かってどんどんユーザーが増え始めました。年明けに緊急事態宣言が出てからは1日に50件以上増えているので、急速に利用が広がっているのを感じています。</p><p><strong>布田:</strong>今は無料での提供もしているんですよね。</p><p><strong>ジョン:</strong>「oVice」で面白いのは、末端の社員が勝手に使い出して、それを見た経営者が導入を決めるというケースがほとんどということです。その場合、有料サービスだと「使ってみたい!」と思った人が自腹を切るか、使う前に決裁権を持つ人に相談して予算をもらわなければならず、そのために1週間や2週間はかかってしまいます。そこで、今回の緊急事態宣言発令に合わせて、「oVice」のオフィス利用を無料で開放することにしました。</p><p><strong>布田:</strong>さらに今は、イベント利用でも無料にしているんですよね。</p><p><strong>ジョン:</strong>はい。緊急事態宣言の対象地域が広がった時に、開催予定のイベントについてTwitterでアンケートを取りました。やはり中止にしたという回答が多かったので、少しでも役立ててもらえればと思い、緊急事態宣言中に開催されるイベントには「oVice」を無料で提供することにしました。ですから、現在はオフィス利用でも、イベント利用でも無料で使えるようになっています。</p><p></p><h2><strong>ポストコロナを見据え、本当に「どこにいても働ける」世界を目指す</strong></h2><div class="img-container"><img src="https://cdn.qurate.cloud/2021/03/02/13/03/13/2eebe4fb-5f6b-44c3-a111-4ed2f7adf349/radio15_03.png" link_href="" link_target=""></div><p>――先ほど「oVice」を作り始めた時にはチュニジアにいらっしゃったと伺いましたが、ジョンさんのグローバルなバックグラウンドについてもお聞かせいただけますか?</p><p><strong>ジョン:</strong>もともと私は韓国出身で、オーストラリアの高校を卒業後、日本の大学に留学したという経緯があります。大学在学中に何度か起業したのですが、チュニジアに関わるきっかけとなったのが海外採用プラットフォームの開発です。海外採用を促進するサービスを提供しているのだから、自分たちも海外採用をしようと思って採用したのが、チュニジアの方だったのです。それを機にチュニジアに子会社を作り、もう5年以上チュニジアでもビジネスを続けています。子会社を立ち上げた際は1年のうち半分以上はチュニジアにいましたし、その後も月に一度は行っていました。</p><p>――2017年には、立ち上げた会社を東証一部上場企業に売却したというご経験もお持ちですが、oViceは何社目になるのでしょうか?</p><p><strong>ジョン:</strong>資金調達などもして本気でやってきた会社としては3社目でしょうか。その他にも、趣味というか実験というか、そういう使い方をしている会社もいくつかあります。</p><p>――では、今後「oVice」をどのように展開していこうとお考えですか?</p><p><strong>ジョン:</strong>日本での市場シェアはかなり取れたと思っていますが、さらなるシェア拡大に向けた施策を考えています。まず1つ目は、ポストコロナを見据えた取り組みです。コロナが落ち着くと、現在テレワークしている人がオフラインに戻ってきます。オンライン・オフライン両方に人がいる状態になり、両者間のコミュニケーションに関する問題が出てくると思います。主にオフラインの人たちがそこだけで話をして、オンラインの人が蚊帳の外に置かれてしまうというような問題ですね。それを防ぐために、IoTのデバイスを通じて、オンラインとオフラインそれぞれの人がシームレスに話せるような開発を進めています。</p><p>2つ目は「oVice」のさらなる"空間化"です。リアルな空間にはそれぞれのインテリアやレイアウトがあり、例えばオフィスなら、さまざまな部署・仕事が混ざり合う場でもあります。オンラインでもそれは同じで、いろんなデータが「oVice」の空間に集まります。喋った内容、どのように移動したか、どこにアクセスしたかなどのデータなどですね。そういったデータをAPIでサードパーティの企業にも提供して、面白いプラグインを開発してもらったり、デザイナーさんたちに空間をデザインしてもらったり…というような機能をリリースしたいと考えています。</p><div class="img-container"><img src="https://cdn.qurate.cloud/2021/03/02/13/05/25/37d759db-6e86-4ec6-8501-66b4ba264537/radio15_04.jpg" link_href="" link_target=""></div><div class="image-caption-1 additionalClassesSet " style=""><p><em>写真:oVice プレスリリースより(ミーティング風景。画面右で資料を共有しながら、各自のアバターを使って会話)</em></p></div><p></p><p>――面白いですね!「oVice」に、リアルなオフィスの機能がどんどん入ってくるような感じですね。</p><p><strong>ジョン:</strong>実際に、「oVice」をバーチャルの本社ビルのように使っているクライアントが出てきています。「oVice」を使うことで、物理的なオフィスを縮小しようという動きも見られます。</p><p><strong>布田:</strong>従来のやり方では、コロナ後はオフラインの人の方が有利になってしまいますよね。絶対に「現場にいる人の方が話が早い」となってしまいますから…。そこに「oVice」が入って、机の上などにあるデバイスからシームレスに話せるようになれば、テレワークでもオフィスにいるのでも、どちらも同じ状態になりますね。オフラインの良さを残しながら、本当にどこでも働けるようになるというのは、かなり未来っぽい感じでいいですよね。</p><p><strong>ジョン:</strong>それができなければ、みんなオフラインに連れ戻されてしまいます。「どこでも働ける」状態を存続させ、進化させるためにも、その問題を解決していこうと思っています。</p><p>――「本当に、どこにいても働くことができる世界」、楽しみですね!「oVice」の進化に、今後も注目していきたいと思います。本日はありがとうございました。</p><p><br><br>◆ 『<a href="https://ovice.in/ja/"><u>oVice</u></a>』<br>「オンラインでのコミュニケーションを最大化する」ことを目的に作られた、自由に動いて自由に話しかけられるバーチャル空間「oVice(オヴィス)」を開発・提供しています。2020年にはTechCrunch Startup Battle OnlineやLAUNCHPAD SaaSに出場。oViceはサービスリリースから半年で約1700件利用されています。</p><p><br><br></p>