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<p>IB</p>
<div class="iframe-container width-set height-set dimensions-set" data-width="100%" data-height="232px" data-src="https://open.spotify.com/embed-podcast/episode/7kmFdrbO1I9dWmRQAPE2Gt"><iframe class="" style="" data-embed-type="generic" data-original-link="&amp;#60;iframe src=&quot;https://open.spotify.com/embed-podcast/episode/7kmFdrbO1I9dWmRQAPE2Gt&quot; width=&quot;100%&quot; height=&quot;232&quot; frameborder=&quot;0&quot; allowtransparency=&quot;true&quot; allow=&quot;encrypted-media&quot;&amp;#62;&amp;#60;/iframe&amp;#62;" src="https://open.spotify.com/embed-podcast/episode/7kmFdrbO1I9dWmRQAPE2Gt" width="100%" height="232px" frameborder="0" allowfullscreen="true"></iframe></div><p>-------------------------------------------<br>MIRAISEでは、課題解決に挑むエンジニア起業家の生の声をお届けするラジオ番組「<a href="https://www.youtube.com/channel/UCV4Ju4OHLYp-2we7vLxWtTg/videos"><u>MIRAISE RADIO</u></a>」を配信しています。こちらのブログでは、「読む MIRAISE RADIO」として、起業家たちのストーリーをラジオの雰囲気そのままにお伝えしていきます。</p><p>● スピーカー|カルクル株式会社 共同創業者兼CEO Bartek Kolacz(バーテック・コーラチ)氏<br>● MC|MIRAISE Partner &amp; CTO 布田 隆介 / Head of Comm 蓑口 恵美<br>-------------------------------------------</p><p></p><p>普段何気なく歩いている街には、さまざまな音との出会いがあります。その場所だからこそ聴こえる鳥のさえずりや、風の音。それだけでなく、アーティストがその景色を見て歌詞を書いた曲などもその場で聴くことができれば、多くの人にとってより記憶に残る深い体験になるのではないでしょうか。</p><p>カルクル社が提供するのは、新しい空間メディアを通じた体験です。音や映像、そして場所情報すべてを自由にミックスして人々に届けることができる複合現実の世界を生み出そうとする起業家の想いに、ぜひ耳を傾けてみてください。</p><p></p><h2><strong>空間オーディオとホログラムで複合現実を楽しむアプリ「AURA」</strong></h2><div class="img-container"><img src="https://cdn.qurate.cloud/2022/04/07/17/09/03/598c5bad-6d5e-404c-8662-ea842f7765f1/radio26_01.jpeg" link_href="" link_target=""></div><p>――カルクルが提供しているサービスについて教えていただけますか?</p><p><strong>バーテック:</strong>私たちが提供しているのは、空間オーディオのiOSアプリ「AURA(オーラ)」です。ゲームの「ポケモンGO」のようなARのプラットフォームで、複合現実の世界を体験することができます。例えば、街を歩きながらAURAを使うと、街の風景の中に、その街の音と空間、そしてホログラムの映像を統合して見ることができます。Webベースのクリエイターツールもあり、自分で空間メディアのコンテンツを作成することも可能です。</p><p><strong>布田:</strong>ポケモンGOは、ポケモンをゲットするためには実際にその場に行かなければならないので、人が街に出ていきますよね。AURAはポケモンのように、音源を様々な場所に仕掛けておくことができます。アプリをインストールしている人が近くに来ると、その音源を再生できる。さらに、ユーザーは音だけじゃなく、映像(ホログラム)も一緒に見て楽しむことができるというプラットフォームです。これまでに、音楽アーティストのプロモーションの一環として導入された実績もあります。</p><p>ーー複合現実を作り出すアプリということですね。それにより、ユーザーはどんな楽しみ方ができるようになるのでしょうか?</p><p><strong>バーテック:</strong>昨年、渋谷を拠点に開催された音楽とデジタルアートの一大イベント「MUTEK.JP」に参画しました。渋谷各所のライブ会場とは別に、出演アーティストのボーナスコンテンツを渋谷の街中で楽しめるようにしたのです。</p><p><strong>布田:</strong>AURAアプリを起動すると、地図上にコンテンツがある場所が表示されます。その交差点なり公園なりに着くと、参加者は出演アーティストの特別コンテンツを楽しむことができる仕掛けになっていました。</p><p><strong>バーテック:</strong>MUTEKでは渋谷の街中でしたが、実際は全国どこでも、このような体験を提供できるんです。例えば、アーティストが作成したひとつのコンテンツを北海道から沖縄まで、日本中のいろんな場所で、同時に様々なコンテンツを楽しんでもらうこともできます。</p><p><strong>布田:</strong>映画「スター・ウォーズ」ではホログラムで会議していたりしますが、あれと同じですね。アーティストの体はひとつなので、今までは同時にいろんな場所でパフォーマンスをするということは不可能でした。しかし、AURAを使えばホログラムを分身として、さまざまな場所で同時にパフォーマンスができる。これまでにない表現ができるようになるということですね。</p><p>ーーそれは面白いですね!例えば、全国各地の桜の下で、桜の曲を歌うアーティストが歌う姿が見られる…そんなこともできるようになるんですね。</p><p><strong>バーテック:</strong>そして、そのホログラムと一緒にビデオや写真を撮ることもできます。さらに今後は、2分ほどのライブパフォーマンスをホログラムにして、グループ限定で見られるサービスを予定しています。</p><p>ーーあるアーティストとのコラボもプレスリリースで発表されていましたね。</p><p><strong>バーテック:</strong>ニューアルバムのリリースに合わせて、巨大ホログラムを渋谷の街に設置するというものです。音楽から始まった私たちのコンテンツですが、今後はさまざまなジャンルへと展開していく予定です。プロ野球の日本ハムファイターズとのコラボでは、ファン向けのボーナスコンテンツとして選手のホログラムがスタジアムに登場します。他にも、ポケモンGOのように楽しめる子ども向けのコンテンツなども考案中です。</p><p></p><h2><strong>瞬間消費が溢れる時代に、 "没入感のある体験"を取り戻す</strong></h2><div class="img-container"><img src="https://cdn.qurate.cloud/2022/04/07/17/09/15/ed8f45f2-bc9c-4a95-b814-0b6ba1188040/radio26_02.png" link_href="" link_target=""></div><p>ーー続いて、バーテックさんの起業のきっかけについてお聞かせいただけますか?</p><p><strong>バーテック:</strong>私は、ARのイヤホンが作りたくて、2016年に起業しました。私の趣味のひとつは自転車なのですが、自分の好きな音楽を聴きながらサイクリングしたいと思ったのがきっかけです。普通のイヤホンでは車の音などを遮ってしまうので、危ないですから。</p><p>ーー確かに。周りの車の音などが聞こえないですね。</p><p><strong>バーテック:</strong>自分の好きなオーディオを楽しみながら、外の音も聞ける。そんな、安全と楽しさが両立したコンテンツを作りたいと思ったのです。最初はイヤホンとアプリケーションをセットで作りましたが、のちにアプリに一本化しました。アプリ名の「AURA」は、「見えない音の世界」という意味があります。</p><p><strong>布田:</strong>今はSpotifyで使えるのですが、例えば左の耳から入る音を大きくしたり、後ろから前に聞こえるようにしたりとか、AURAのアプリでそういうことができるんですよね。</p><p><strong>バーテック:</strong>今の時代、メディアのほとんどはスクリーンベースです。スマホも、電車の中も、街中も、すべてが2D。YouTubeやInstagram、TikTokにはコンテンツが溢れていますが、私たちがそれらを集中して見るのはたった8秒ほどだといわれています。メディアが増えすぎて、人が集中できる時間はどんどん短くなってしまっているんですね。それに対して、空間オーディオは非常に没入感のあるメディアです。何かに心から没入できる、そんな体験を取り戻したいとの思いが、AURA開発の背景にあります。</p><p>ーー確かに、今はコンテンツをゆっくり楽しんだり、じっくり味わったりする体験は減ってきていますね。瞬間的な消費、楽しみ方になってきている。</p><p><strong>布田:</strong>そうですね。今はライトなコンテンツが多くて、人はそれらをどんどん消費するけれど、ほとんど覚えていない。それに対して、AURAは没入感を取り戻し、コンテンツを心から楽しもうというアプリです。その方向性はアーティストとの相性が良く、音から始まって今ではビデオやホログラムも合わせたコンテンツを作れる形になっています。</p><p></p><h2><strong>新たなコミュニケーションを生む「空間メディアのプラットフォーム」へ</strong></h2><div class="img-container"><img src="https://cdn.qurate.cloud/2022/04/08/14/40/32/a6809856-d8ed-475f-8918-edd28e6af51f/----------2022-04-08-14.40.08.png" link_href="" link_target=""></div><p>ーーバーテックさんの起業背景には、サイクリングを楽しんでいた時の経験があったのですね。その場でしか聞けない鳥の声や波の音に合うような音楽を重ねて、目で見える風景と、立体的な音体験を一緒に楽しむという。</p><p><strong>バーテック:</strong>自転車に乗って海の音+AURAの空間オーディオを楽しむ。さらに今後は、ある場所に着くとインフォーメーションが出るような機能も考えています。「麻布十番です」「もうすぐ富士山が見えます」とか。AURA×ツーリズムですね。実際にあるホテルとも話を進めています。チェックイン後に部屋の中でQRコードをスキャンして、ツアーを案内する…といったアイデアを実現できればいいなと思っています。イヤホンをしてスマホを手に街を歩くと、特別なツアーコンテンツを楽しむことができるという。</p><p>ーー素敵ですね。日本ってすごくサイネージが多くて、とにかく看板でいろんな情報を伝えようとするから、街がごちゃごちゃしてしまう。でも、AURAがあれば、街も美しくなりそうですね。必要な時に必要な情報が入るから、旅行者にも景観にも優しいツールになるのではないでしょうか。</p><p><strong>バーテック:</strong>音楽においてはアーティストがコンテンツホルダーです。でも、旅行関連のコンテンツでは、レストランのシェフや建築家など、その土地に関わる人が主役となります。</p><p>ーー街へのパッションや愛のある人たちが、コンテンツクリエイターになるのですね。最後に、さらなる将来のカルクルのビジョンについてお聞かせいただけますか?</p><p><strong>バーテック:</strong>現在は、GoogleやFacebook、Apple、Snapchatなど、さまざまなチャネルやプラットフォームがあります。カルクルは、世界で最も面白い空間メディアのプラットフォームを目指しています。著名人や有名企業による大きなプロダクトも、一般の人たちが作ったコンテンツも自分の好きなように楽しめる、空間メディアにおけるYouTubeのような存在ですね。今後、Google Glassのようなメガネ型やゴーグル型のARデバイスがどんどん登場してくるでしょう。そうした新しいハードウェアにも対応し、新しい複合現実の世界を作り出していきたいと考えています。</p><p>ーーそうなると、マーケットは日本だけではありませんね。</p><p><strong>布田:</strong>そうですね。今は音楽アーティストなど、エンターテイメントのプロがコンテンツを展開する形がメインですが、今後スマホやWiFiの回線速度が速くなり、利用できるデータ量が増えていくと、一般の人にもどんどん使いやすくなっていくでしょう。その先に、AURA上で誰でも自分の分身が持てて、さまざまな出会いが生まれる世界があります。日本だけではなく世界中で、新しいコミュニケーションのツールになっていく可能性はあると思いますね。</p><p>ーーすごく面白い世界になっていきそうですね!今後のカルクルの展開に、さらに注目していきたいと思います。本日はありがとうございました。</p><p><br>◆<a href="https://www.kalkul.com/ja"><u>カルクル株式会社</u></a><u><br></u>◆<a href="https://apps.apple.com/jp/app/kalkul-aura/id1502815057?l=en"><u>『AURA』</u></a></p><p></p>
<p>-------------------------------------------<br>MIRAISEでは、課題解決に挑むエンジニア起業家の生の声をお届けするラジオ番組「<a href="https://www.youtube.com/channel/UCV4Ju4OHLYp-2we7vLxWtTg/videos"><u>MIRAISE RADIO</u></a>」を配信しています。こちらのブログでは、「読む MIRAISE RADIO」として、起業家たちのストーリーをラジオの雰囲気そのままにお伝えしていきます。</p><p>● スピーカー|株式会社トドオナダ 代表 松本 泰行<br>● MC|MIRAISE Partner &amp; CEO 岩田 真一 / PR 蓑口 恵美<br>-------------------------------------------</p><p></p><div class="iframe-container width-set height-set dimensions-set" data-width="100%" data-height="232px" data-src="https://open.spotify.com/embed-podcast/episode/1zrWfDUudNRwTGQfJI3Jia"><iframe class="" style="" data-embed-type="generic" data-original-link="&amp;#60;iframe src=&quot;https://open.spotify.com/embed-podcast/episode/1zrWfDUudNRwTGQfJI3Jia&quot; width=&quot;100%&quot; height=&quot;232&quot; frameborder=&quot;0&quot; allowtransparency=&quot;true&quot; allow=&quot;encrypted-media&quot;&amp;#62;&amp;#60;/iframe&amp;#62;" src="https://open.spotify.com/embed-podcast/episode/1zrWfDUudNRwTGQfJI3Jia" width="100%" height="232px" frameborder="0" allowfullscreen="true"></iframe></div><p>情報過多と言われる現代、企業にとって自社が必要としている情報だけを抽出したり、競合と比較したりすることが年々難しくなってきています。個人の発信を含むソーシャルメディアの情報を分析することは、もはや人力では不可能と言えます。</p><p>今回のゲストは、テクノロジーを使ってPRの効果を明確化し、リアルタイムで分析できるプロダクトを開発提供しているトドオナダ株式会社代表の松本泰行(まつもと・やすゆき)さん。溢れる情報の波に流されず、それらを適切に把握してPR、マーケティングに活かしていく独自のサービス「Qlipper(クリッパー)」についてお話を伺いました。</p><p></p><div class="h2 additionalClassesSet " style=""><p><strong>クリッピングを自動化する</strong>リアルタイム メディアモニタリング<strong>サービス「Qlipper」</strong></p></div><div class="img-container"><img src="https://cdn.qurate.cloud/2022/02/07/16/57/35/314179c2-bba5-4b32-961a-a786f689c750/radio25_01.png" link_href="" link_target=""></div><p>――トドオナダが提供しているサービスについて教えていただけますか?</p><p><strong>松本:</strong>当社は2020年1月20日に創業し、翌月2月20日から「Qlipper(クリッパー)」というメディアモニタリングサービスを提供しています。企業などの広報部門の方々にとって、自社が取り上げられた記事をGoogleやSNSなどの各メディアなどで検索して集めるのは日々の重要な仕事のひとつです。しかし、この仕事は非常に手間のかかる作業であり、外部委託するにしてもコストがかかるなど多くの問題があります。そこで、この「クリッピング」と呼ばれる作業を自動化できないかと考え、開発したのがQlipperです。現在、3000を超えるメディアを定点モニタリングする仕組みを提供しています。</p><p>ーーMIRAISEにとっては、PRソリューションへの投資はトドオナダが第1号となりますね。</p><p><strong>岩田:</strong>投資させていただいたのは1年半ほど前でしょうか。まさに「ありそうでなかった」サービスだと感じました。僕もSkypeなどの外資系企業のスポークスパーソンとして、取材対応や記者会見の経験があります。その中で実感したのは、PRというのは効果を測るのがとても難しいものだということです。定性的なNPS(Net Promoter Score、顧客ロイヤリティを測る指標)が、1回のPR活動の前後でどれくらい変わったのかを見たり、調査会社に顧客インタビューを依頼したり、広告費に換算してみたりなどといった効果測定の方法がありますが、どれをとっても効果ははっきりと見えづらいんですよね。</p><p>ーー私はかれこれ十数年PRの仕事をしていますが、Webモニタリングってとても難しいし、膨大な情報の中から自社の情報を探し出すのはすごく大変な作業なんですね。ですから、PR界隈の人々にとってQlipperは本当に待ち望まれていたソリューションではないかと思います。</p><p><strong>岩田:</strong>例えば競合他社との比較など、もっと直接的にPRの効果測定ができて、さらにそれをグラフィカルに見ることができるのがQlipperの画期的な特徴ですよね。記事が何クリックされたかというその先まで測れて、その結果から次のPR戦略に繋げていくことができます。SkypeやAtomicoでPRチームの人と一緒に働いていた時にこうしたツールがあれば、もっと効果的なPRができただろうなと思います。</p><p>ーーかつてPRエージェンシーで働いていた頃、始発で出社してクリッピングをしていたことがありました。大きなイベント後や炎上案件があった時などは、先輩たちやクライアントが出社する前にまとめておく必要があって…。本当に大変な業務でした。</p><p><strong>松本:</strong>その点、私も非常に強い問題意識を持っています。業者にクリッピングを依頼すると、納品はだいたい10時〜12時です。ですが、経営会議など重要な会議はその前の8時〜9時頃に行われることが多く、肝心のPR効果についてのデータは間に合わない。ですから、クリッピングや効果測定を自動化し、リアルタイムでモニタリングできるのは当社の大きな強みとなっています。Qlipperなら、朝出社してすぐに分析結果を取り出せて、朝イチの大事な会議に載せることができますから。</p><p><strong>岩田:</strong>ところで、あらゆるPR活動はターゲットを明確にする必要がありますよね。それは発信後の効果測定でも同じで、ターゲットでない人のオーディエンスを測ってもあまり意味がありません。以前Qlipperのデモを見せていただいた時、ある会社を例として競合比較してみたとき、競合相手として選んだ企業の数字があまりに桁がかけ離れていて、比較しても意味がないとわかりました。その時点では、最も気にすべき競合相手は別に存在したことがわかったのです。これもリアルタイムメディアモニタリングの強みで、比較対象を柔軟に変えられるのはすごく便利だなと感じました。</p><p><strong>松本:</strong>例えば、子どもに「漢字テストで40点だった」と言われても、平均点がわからなければその点数が良いのか悪いのかわからない。それと同じで、日本のPR効果測定において、そうした評価基準がKPIに盛り込まれていないのはすごく問題だと思っています。競合や市場におけるシェアなどが実はよくわかっていないから、自分たちの活動が十分なのか、そうでないのかを判断することができないのです。</p><p>ーー現在、Qlipperはどのような企業に使われているのでしょうか?</p><p><strong>松本:</strong>さまざまな業種のお客様がいらっしゃいますが、3つの特徴的な事例があります。1つ目は、ESGに取り組んでいるお客様です。ESGに関しては、競合と比較した発信力が非常に重要となるため、競合分析としても活用いただいています。</p><p>2つ目は大学です。大学のPRは現在大きな岐路に立っていて、困っているお客様も多くいます。業界界隈では「大学もSNSを活用を!」とよく言われていたりはするのですが、実際に活用が進んでいるのはプレスリリース配信サービスだと感じています。大学として、そのサービスを利用してどうPRをしていくか、他校の分析もしつつ戦略を立てていくためにQlipperを使っていただいている事例があります。</p><p>3つ目は、プレスリリース配信サービスの活用が進んでいるゲーム業界です。自社のゲームアプリのイベントなどの際には配信サービスで一気に告知するというのがすでにひとつの文化として根付いているので、その効果測定などに使っていただいていますね。</p><p><strong>岩田:</strong>ESGもそうですが、企業としてメッセージ発信を重要視する機運が高まってきていますね。アメリカでは特に顕著で、例えばブラック・ライブズ・マターに関する出来事が起こったような時に、自分の会社がどんなメッセージを出すかというのを社員がかなり気にしていたりします。自分の会社に誇りを持てるかどうかは、とても大事なことなんですね。ですから米国企業では、率先してメッセージを発信し、社会に対する自社のスタンスや取り組みをどんどんPRしていく動きがかなり進んでいます。おそらく、日本もそのようになっていくでしょう。</p><p></p><div class="h2 additionalClassesSet " style=""><p><strong>効果的なPRに必要なのは、競合分析と長期戦略</strong></p></div><div class="img-container"><img src="https://cdn.qurate.cloud/2022/02/07/16/57/43/ab6d652a-2b3c-4731-b552-d0a66a3872e0/radio25_02.jpeg" link_href="" link_target=""></div><p>ーー次に、松本さんの起業のきっかけについて教えていただけますか?</p><p><strong>松本:</strong>これまで、クローリングや検索エンジンなどを専門に手がけるエンジニアとして20年ほど働いてきました。起業前に勤務していたのはクリッピングサービスを提供している会社でした。そこではPRの効果測定指標とは掲載数のことで、1つの発信に対してどれだけ記事として取り上げられたかを計測することを意味していました。PRの効果測定には課題がたくさんありますが、中でも重要なのは、効果測定のための調査が割高だということです。従量課金が主流であり、掲載された記事の数がわかってから金額が決まるという仕組みのため、予算が非常に決めにくいという問題があります。</p><p>そうした経験と問題意識を背景に、クリッピングと効果測定について、固定料金のサービスを提供できないかと開発したのがQlipperです。Qlipperでは、調査したい競合の数によって料金が決まる仕組みになっています。当社では、競合を設定しない効果測定には意味がないと考えています。そのため、毎回の記事掲載数で料金が変わる従量課金ではなく、設定する競合数に応じた料金設定としています。これなら予算も決めやすいし、設定する競合の増減や変更も柔軟にできるため、常に最適な条件で効果測定を行い、自社の発信力を客観的に把握することができます。</p><p><strong>岩田:</strong>仕事柄、起業家の方々とはよくお会いするのですが、松本さんのように業界知識と技術力の両方を持っている起業家は強いですね。業界知識だけでテックソリューションを作るのは難しいですし、エンジニアとして優れた技術を持っていても、業界知識がなければ刺さるソリューションを思いつくことはできませんから。松本さんは、エンジニアでありながら、業務に対する非常に強い課題感をお持ちでしたね。</p><p><strong>松本:</strong>従来の効果測定方法、つまりプレスリリース1本に対する記事掲載数を調べるという行為自体にはほとんど意味がないのではないかと、毎日疑問に思っていました。先ほど漢字テストの例を挙げましたが、平均値があるから良いか悪いかが判断できます。何かと比べてこそ、数字は活きると思うのです。</p><p>また、プレスリリースの「一球入魂」主義も問題だと感じています。文面を何週間も考えて練りに練って、渾身のプレスリリースを1本出す。そして、その結果に一喜一憂する…そんなパターンがよく見られるのですが、リリース等の発信は、コンスタントに行ってこそ認知が上がるものだと思います。私はPRにおいて心理学がけっこう重要だと考えているのですが、同じものに接する回数が増えるほど好印象を持つようになるという「ザイオンス効果」を活かさない手はないと思うのです。そのためには、競合はどれくらいのペースで発信を行っているのか、自社はその時間軸でちゃんと動けているのかを知る必要があります。それを測るために、Qlipperの分析画面では横軸を時間軸としているのです。</p><p><strong>岩田:</strong>MIRAISEでは、蓑口さんが投資先の皆さんと一緒にコミュニケーション設計図や中長期的PRプランの策定を行っていますね。松本さんがおっしゃるように、PRは「一球入魂」ではなく長期的なコミュニケーションだと私も考えています。お話を伺って、Qlipperは長期的な戦略に適したモニタリングサービスだと感じますし、その理念にも大いに共感できました。</p><p></p><div class="h2 additionalClassesSet " style=""><p><strong>企業の本質は、PRである</strong></p></div><div class="img-container"><img src="https://cdn.qurate.cloud/2022/02/07/16/57/52/272e7609-eeb0-4374-9a62-bfed56bcb442/radio25_03.jpeg" link_href="" link_target=""></div><p><strong>岩田:</strong>これも蓑口さんとよく話していることですが、広報とPR(パブリック・リレーションズ)というのは大きく違うと思っています。広報は発信する、知らせるという意味ですが、PRはコミュニケーションとも言われるように、世の中の人々とどのように関係を作っていくのかという取り組みです。よくプレスリリースにある「新しい製品を開発しました」「〇〇社と提携します」という告知ももちろん必要ですが、これらはあくまで「発表」です。PRというのはさらに一歩進んで、自社の普段の取り組みや、その活動の背景にある思いを世の中に伝えていくことです。そしてリアクションを測って、頻度や内容をコントロールしていく、それがPRの本質だと思います。</p><p><strong>松本:</strong>そうですね。そういう意味では、PRはまだ日本に根づいていないと思います。私は企業の本質はPRだと考えていて、そうすると、営業も広告出稿もすべてがPRです。アメリカではすでにその考えは定着していて、企業活動はまるごとPRであるとして市場形成がなされています。日本でも、最近ではマーケティングと広報との間はある程度縮まってきているように思いますが、未だ広報・PR部門はブロードキャストする役割だけを担っていて、効果測定の部分はあまり問われていないのが現状です。するとどうなるかというと、広報・PR部門は発信するネタを待つ受け身の存在となります。競合が4本プレスリリースを出しているからうちも4本出そうと思っても、ネタがないと言われたら出せないのです。</p><p>そこで当社のサービスを使っていただき、ファクトとして競合のPR状況が見られれば、全社的にPR戦略を考えていこうという気運が生まれるかもしれません。例えば「キャンペーンをあと○本増やしましょう」「そのために取引先とこういう交渉をしてみましょう」というように、私たちがもっとPR視点でビジネスを動かしていく文化を日本に根づかせるための存在となれたらいいなと考えています。</p><p><strong>岩田:</strong>PRドリブンの経営ですね。「PRが企業の本質である」との言葉から、松本さんの強い信念が感じられます。MIRAISEでも「この時期にプレスリリースを出したいから、そのためにこの活動を前倒しでやろう」とか、「こういうストーリー付けをすると、この時勢ならリリースとして出せるよね」など、コミュニケーション設計の中に各種の活動を位置づけていくような取り組みをしています。</p><p></p><div class="h2 additionalClassesSet " style=""><p><strong>中小企業や街のお店にこそ、PR文化を根付かせたい</strong></p></div><div class="img-container"><img src="https://cdn.qurate.cloud/2022/02/07/16/58/04/4bc20cec-e094-4c2b-ab72-da70e3fde5b9/radio25_04.png" link_href="" link_target=""></div><div class="image-caption-1 additionalClassesSet " style=""><p>「Qlipper」のモニタリング画面。さまざまな指標からPR効果を検証できる</p></div><p>ーー企業全体としての発信や代表者の発信が大事なのはもちろんのこと、今後は従業員やお客様といった個人の発信もどんどん増えていくかも知れませんね。それをモニタリングして、適切なタイミングで適切なメッセージを発信していくことは、すべてのビジネスにおいてとても大事になっていくと思います。</p><p><strong>松本:</strong>その通りです。SNSやブログ、口コミなどを分析するソーシャルリスニングは、すでに盛んになされているのですが、クリッピング等のメディアモニタリングとはかなり乖離しているというのが現状です。ですが、そこにはちゃんと関連性があります。「文春砲が飛ぶとSNSで炎上する」という現象はよく知られていますが、実は文春砲が打たれる前にすでにちょっと炎上しているんですね。文春はそれをうまくとらえて記事にしているのです。</p><p>そうしたSNS等の情報とメディアとの関係性を見る上でも、やはり同じ時間軸でソーシャルリスニングも既存メディアのモニタリングもきちんとしていかなければなりません。SNSだけを見ていれば今のビジネスはうまくいくという考え方もありますが、文春砲の例のように、SNSとメディアの関係性にもしっかり目を配っておかなければ、ビジネスはうまくいかないと私は考えています。</p><p>ーーそのためには、わざわざ手作業で逐一調べて報告書を作っている時間はありませんね(笑)。リアルモニタリングをしながら、その日の経営会議で随時情報を連携していくくらいのスピード感と連動性がないと、これからのビジネスは回っていかない。</p><p><strong>岩田:</strong>Qlipperを使えばそれらが全部できるというのは素晴らしいですね。こうしたリアルモニタリングがあれば、経営層に対する広報からの提案も、数字を持った根拠あるものとして受け入れられるようになるのではと思います。そうすると、ビジネスをPR部門が引っ張っていくという、アメリカの形に近くなっていくのではないでしょうか。</p><p>ーー最後に、トドオナダが目指す世界について聞かせてください。</p><p><strong>松本:</strong>現在、PRは以前より手軽になってきています。昔は、広報部門の人は全国紙の記者さんとどれだけお友達になれるかがカギ、みたいな感じだったと思うんですね。メディアリストというものが非常に重要だと考えられていて、PR会社はそれを高い費用で提供していました。しかし、誰でも気軽にプレスリリースを出せる配信サービスが登場し、PRの垣根はずいぶん下がりました。そしてそのことにより、中小企業や街の飲食店などの個人事業主もPRを行っていかなければいけない時代になってきていると感じます。中小企業や商店主の方々にもPR文化を浸透させるべく、我々はそうした方々に伴走していきたいと考えています。そして、日本を代表する大手企業から中小企業・個人事業主まですべてのビジネスパーソンが、PRをビジネスとして捉える社会にしていきたいと思います。</p><p>ーー間違いなくそうした社会に向かっていますよね。PR文化を根付かせるためのトドオナダの挑戦に、今後も注目していきたいと思います。本日はありがとうございました!</p><p><br><br><br></p><p>◆<a href="https://todo-o-nada.com/"><u>株式会社トドオナダ</u></a></p><p>◆<a href="https://qlipper.jp/"><u>『Qipper』</u></a></p><p><br></p>